国府達矢、2枚同時リリースの新作よ
り新曲先行配信 & MV公開 折坂悠太
、やついいちろうからのコメントも
また、折坂悠太、川谷絵音、やついいちろうからもコメントが到着。すでにコメントを寄せていた七尾旅人、いとうせいこう、磯部涼のコメント共にチェックを。
【折坂悠太 コメント】
【川谷絵音 コメント】
【やついいちろう コメント】
【七尾旅人 コメント】
そして同時に、最も困った存在でもあった。
2000年代初頭、メジャーを飛び出して作り上げた、早すぎた傑作「ロック転生」から、昨年になってようやくリリースされた「ロックブッダ」まで、15年も待たされようとは夢にも思わなかった。
15年間はおよそ5478日。その1日1日に、いろいろなことが起きたはずだ。何もしていなかったわけじゃない。でも一人のミュージシャンにとっては、気の遠くなるような年月だ。音楽の世界で欲望されること、消費の対象は、目まぐるしく移り変わっていく。この社会の、時代の表層的な欲動に国府達矢は背を向けて、5478日のあいだ、深層へ、深層へと、掘り進めていった。
彼にもういちど表舞台で音楽をやってもらうためなら、なんでもしたいと思っていた。しかし何をしても、一抹の不安が残った。その不安が晴れたのは今作「スラップスティックメロディ」のデモ音源を聴いた時。
国府さんは昔からいつでも現実より理想が先立ってしまう人だった。とても深い場所や、高みが見えているのに、肝心の足元が見えなくなる。本人いたって生真面目なのだが、現実の階段を踏みしめる前に、理想を高く高く掲げてしまう。もちろんそういう気質は必要だ。音楽で果てしない夢を見ようと思えば。
しかし、理想のためならこの男、人生まるごと潰してしまうのではないか。理想に喰い殺されかけていないか。そんな不安が拭えなかったし、実際に彼の生活は、いったんほとんど潰れてしまった。凍てついた暗やみの世界に彼は居た。
そのどん底で作られた「スラップスティックメロディ」が、これほど豊かで、広く、強い作品ならば、国府達矢は、これから何度でも立ち上がってくるだろう。そう思えた。
僕の知るそれまでの国府作品とは全く異質なアルバムだった。理想や思想、目指されるべきゴール。冷えた現実の前で、そうしたものの全てを粉々に砕かれて、空っぽのまま、ただ国府達矢として、立っているだけ。歌っているだけ。その姿のなんと美しく、輝かしいことか。ここにあるひとつひとつのメロディ、ハーモニー、言葉、音色、そのどれもが奇跡に思える。
国府さん、あなたは人間的にも音楽家としてもすごいやつだ。これを聴いていったいどれほどの人々が勇気を持つだろう。でもあなたに付き合っていくのはけっこう大変です。それでもあなたの音楽は、僕を一度も裏切らなかった。今までの作品も全て、僕の人生の特別な場所にあるけれど、もし1枚だけ棺桶に入れてもらうのなら、「スラップスティックメロディ」かもしれないな。こんな作品をありがとう。
その時期からさらに落ち込みまくって生死の境を彷徨いながら作ったのが「音の門」だと、自分は知っている。宮沢賢治にも比肩しそうな透徹とした詩をつぶやく国府達矢に、泣いたよ。でもその話はまた今度にしましょう。実際に3作品ならべて聴いてもらうのがいちばん良いもんね。
リリースおめでとう。
今度こそ、ほんとうの意味で、おかえりなさい、国府さん。
【いとうせいこう コメント】
【磯部涼 コメント】
【リリース情報】
国府達矢 『スラップスティックメロディ』
Label:felicity
Tracklist:
01. 青の世界
02. キミはキミのこと
03. 廻ル
04. not matter mood
05. 彼のいいわけも
06. fallen
07. 窓の雨
08. 青ノ頃
09. シン世界
==
国府達矢 『音の門』
Label:felicity
Tracklist:
01. 日捨て
02. きみさえいれば
03. 悪い奇跡
04. KILLERS
05. 重い穴
06. 逃げて
07. こころよりじゆう
08. ライク ア ヴァーチャル
09. Poison free
10. 思獄
11. うぬボケ
12. おつきさま
■ 国府達矢 オフィシャル・サイト(http://kokufutatsuya.com/)
関連ニュース
Spincoaster
『心が震える音楽との出逢いを』独自に厳選した国内外の新鋭MUSICを紹介。音楽ニュース、ここでしか読めないミュージシャンの音楽的ルーツやインタビュー、イベントのレポートも掲載。