【M!LK インタビュー】
思春期ゆえの強さと弱さを描いた
清涼感99パーセントの
サマーラブソング
失った“君”への想いをバンドサウンドに乗せた、ニューシングル「かすかに、君だった。」。等身大の青春を歌ってきたM!LKだが、滲み出すエモーションを曖昧な情景に投影させることで、さらなるピュアネスを実現している。新体制となって約1年、彼らの“変幻自在”はここからが本領発揮だ。
M!LKにとっても
新しいジャンルの曲が生まれた
新曲の「かすかに、君だった。」はこれまでのM!LKからすると、かなり方向性の違う曲ですよね。バンドサウンドをベースにした清涼感あふれるサマーソングですが、どこか刹那的というか、内省的というか。
山中
最初に聴いた時に“あぁ、すごく良い曲だなぁ”って思ったんですけど、歌詞がよく分からなくて…。
吉田
透明感とミステリアスさがあって、“僕らがこれを歌うの!?”みたいな(笑)。
そうなんですよ。解釈が非常に難しい曲で、とらえどころがなくてミステリアス。そもそも何が“かすかに、君だった。”んでしょう?
塩﨑
要するに主語がないんですよね。好きな人なのか、恋人なのか。
板垣
でも、それを決めてしまったら、ロマンがなくなってしまうのかなって。ただ、歌詞の中に《恋心》ってあるから恋の話であることには間違いなくて…“かすかに”ってことは“君”という存在として確立していない状況なのかなとも思います。それが本当に君だったのか君じゃなかったのか。しかも“君だった”って過去形になってるってことは、別れてしまった相手のことを本当に自分は理解できていたのか、何も知らなくて空気みたいな存在になったから別れたんじゃないのか、っていうとらえ方もできるんですよね。
山中
だから、それを探す曲なんじゃないかなって僕は思いました。
深い! 今回“喪失感”もひとつのキーワードなので、その説は説得力があります。
佐野
高校生の時期とかって、自分の気持ちが分からないとか、そういうこともあると思うんですよね。だから、僕も瑞生の意見に近いかもしれない。僕も歌詞を見た時はよく分からなかったし、それを決めないのがいいのかなって。
吉田
最終的に告白もできず、好きだったのかも伝えられずに終わった歌なのかなって思いました。“過ぎ去っていった君”みたいな感じで。
宮世
僕は好きな人のことかなと思って、み!るきーず(ファンの呼称)のみなさんを思い浮かべました。
曽野
僕の場合…このタイトルの主語は“僕は”ですね。
曽野
理想の自分を追い求めているんだけど、どう磨いていけば理想の姿になれるか分からない…って、自分を探しているという考え方もあるかなって。
板垣
なるほど。“君”に理想の自分を投影していたかもしれないと。
それくらい多様な解釈のできる曲ってことですよね。疾走感のあるテンポが気持ち良い曲ながらも、どこか儚さが感じられて、息の成分多めな山中さんの歌い出しもイメージ的にぴったりで。
佐野
デモの仮歌の段階で“柔太朗っぽいな”って思いましたからね。
山中
レコーディング前のキーチェックの時、めちゃくちゃ練習したんですよ! サビとかも僕にはちょっと僕高すぎたので。
大サビでは宮世さんから板垣さん、そして吉田さんへと歌い継ぐ流れもドラマチックで、同じ学生目線の曲でも、これまでの元気な感じとはまったく違いますよね。
宮世
なので、今までみたいにポップな感じではなく、青春のキラキラ感とモヤモヤ感を上手く混ぜて、自分なりに感情を入れて歌ってみました。
板垣
僕はシンプルに、いるはずのない人に対して歌ってると考えて歌いました。でも、その人には一生届かないっていうニュアンスで。
曽野
正直言って僕は恋の感情っていうのがよく分からなかったので、自分なりに想像して、あえて整理せずに悩みながら歌いましたね。
それぞれとらえ方が違うのがまたリアルですね。それだけ自分の想いだったり、感じたことをそのまま歌っているということでは?
吉田
おかげで僕は歌っていてスカッとしました。素直に歌えるから心が浄化されるというか、何にも邪魔をされずに歌える感じがあって。すでに入っていたメンバーの声も素直だったので、すごく歌いやすかったです。
佐野
こんなふうにエモい感じで攻めるのは、シングルでは初めてなんですよ。そこは表現力を求められるところだけど、そういう新しい部分を見せていけたら、今後のM!LKの新しい引き出しにつながって幅が広がるんじゃないかな。
爽快だけれど切なくてエモいっていうのは、この曲の核心である気がします。水がテーマということで今回はアートワークも青が基調ですが、青をイメージカラーに持つ塩﨑さんはこの機にグループを引っ張っていこうとか…
塩﨑
いやいや、そんな!(笑) でも、青色ってみんな映えますよね。すごくきれいに映る。さわやかな印象があるんで、夏にぴったりだなぁって。
吉田
MVも海沿いのスタジオで撮ったんですけど、光を水面に映したりして、すごく幻想的でしたね。ただ、海岸を走るシーンが大変でした。砂に脚を取られたり、その砂が後ろに続くメンバーの目に入ったり…
曽野
サッカーをやっていたから脚力が違うんですよ! あと、サビのダンスにも意味があって。
吉田
指を写真のフレームみたいなかたちにした振り付けがあって、そこは真似しやすいので、みんなで踊りたいですね。その他の部分はフォーメーションや全体のかたちで魅せるスタイルなんで、全員でひとつのものを作っている感が強いんですよ。それぞれの個性を打ち出してきたこれまでに比べて統一感が出るだろうし、M!LKにとっても新しいジャンルの曲が生まれましたね。