【奥華子 インタビュー】
奥華子がより濃く出た
アルバムになっている
初回限定盤には
自分の色とは違うものを入れた
その幸福感がアルバムの締めに良かったんでしょうね。初回限定盤に入っている4曲についてもうかがいたいのですが、藤田麻衣子さんとのデュエット曲「トライアングル」は奥華子節とは違う切なさがありますね。
そうですね。麻衣子ちゃんとは仲が良くて、去年も3回ライヴが一緒になったんですね。で、“せっかくだから一緒に曲を作ろう”ってなって。私の家で恋愛話とかしたんですけど、恋愛観がまったく違うんですよ。性格も恋愛観も真逆だったんで、そういう曲を作ろうってことで、私が奪う女で麻衣子ちゃんが奪われる女っていう設定にして、それぞれで作ってこようねって。その日はそれで終わったんですけど、麻衣子ちゃんから後日“できましたー”って曲が送られてきたら、フルサイズでコーラスも入っているガチガチに作り込んだもので(笑)。私と一緒にできることが嬉しかったそうで、“作っちゃいました!”みたいな。そういう経緯でできた曲なんです。なので、麻衣子ちゃんの想いが凝縮されていますね。
この曲はおふたりで歌ってこそのものですね。
そうなんですよ! しかも、同じブロックで違うメロディー、違う歌詞を歌うっていうのは、私にはまったくなかった発想だし。麻衣子ちゃんはミュージカルが大好きなので、そういうものに憧れがあったようで…あと、ハモりも好きみたいで。私はハモりってほとんどやったことがなかったから、挑戦でもあったし、面白かったです。この曲、もともとはライヴで一緒にやるためだけに作ったものだったんですけど、“めちゃめちゃいい! CDにしてください!”という反響がすごくあったんで、それでアルバムに入れよう!ってことなったんですよ。私はピアノの弾き語りバージョンを入れて、麻衣子ちゃんは歌うパートを逆にしたものを入れて。
96猫さんに提供した「MOTHER」は、こういう曲が提供曲になるのは珍しいと思うのですが、最初からテーマが“お母さんへの感謝”で?
奥華子”とするのは違うと思って、共作というかたちになっているんです。出だしの《ごめんね 素直になれなくて 大好きなんだよなんて言えたらいいのにな》はメールにあった言葉だし。自分の経験だけだったら、この曲は書けなかったですかね。
この歌詞をお母さんに見せるだけで泣かれそうですね。すごく素直な言葉が綴られているので。
あんまり歌っぽくないというか、手紙にメロディーを付けたみたいな感じがあるんですよ。この曲は96猫さんの手紙なんだという気持ちが強いですね。だから、初回限定盤には自分の色とは違うものを入れたんです。「君が待つあの丘へ」も天月-あまつき-さんのライヴのテーマソングとして作ったものですし。
なるほど。だから、「MOTHER」はいつもの奥華子の色じゃないわけですね。「君が待つあの丘へ」もそうなんですけど、歌い手さんに曲を提供するということで、曲を作る時に意識したこととかありました?
そういうのは特にないですね。でも、「君が待つあの丘へ」のお話をいただいた時に、天月-あまつき-さんが前から奥華子を聴いていてくだっているそうで、“奥華子らしい曲を”お任せでって言われました。
そうなんですね。歌に表情があると思ったので、歌い手さんということを意識してそんな曲を作られたと思ってました。
提供曲を作る時って、その人の今までの作品を聴いたり、観たりするんですね。天月-あまつき-さんってファンタジーなイメージがあって、言葉を伝える力がものすごくて、その表現力に感動したんですよ。それが曲にも出てるのかもしれないですね。“天月-あまつき-さんがこれを歌ったらいいんじゃないかな”って思いながら作ってたんで。
「心が帰る場所」もテイストの違う曲ですよね。これは草加市市政60周年記念アニメ主題歌なのですが。
これはCDにはならない!って聞いていましたので、草加の街を歩いて、写真を撮ったりしながらスケッチみたいに作ったんです。
華子さん自身、草加市に何かゆかりがあるとか?
特になかったので、これは実際に行かないと思って。もちろん行ったことはあったんですけど。だから、歌詞にも草加市のことが分かる言葉をいろいろ入れて…でも、“草加”とは入れてないんで、聴いた人が故郷を想う曲になったらいいなと思ってます。この曲はアレンジまで全部自分でやったので、かなり奥華子臭が強いです(笑)。
この曲、実際の映像と一緒に聴くといいですよね。
昔からなんですけど、私の音楽はそうやって何かと一緒にあるといい曲に聴こえる気がします(笑)。よくニコニコ動画に使ってもらっていたし、それで広まったりもしたので、そういうものと相性がいいのかもしれないです。
これは前にもインタビューで言ったことがあるのですが、華子さんの歌って一歩引いて歌っている印象があるので、それによって他のものと馴染みやすいのかも。
あー、確かに。淡々と歌うように心掛けているところはありますからね。
では、今回のアルバムですが、どんなものができたと思っていますか?
誰かに対して、何かに対して作ったけど、ちゃんと奥華子の曲になっている…ほんと、かすみ草だなって。このタイミングでこういうアルバムが作れて、すごくすっきりしていますね。そういう意味では、奥華子がより濃く出たアルバムになっていると思います。
しかも誕生日に出るというね。そして、そのアルバムを引っ提げての弾き語りツアーも控えていますが。
28カ所を回るんですけど、ほんと久しぶりのツアーですね。去年はイベントとかはあったけど、コンサート自体をやってなかったんで、あえてタイトルに“KASUMISOU”って入れなかったんです。もちろん今回のアルバムの曲も歌いますけど、昔の曲とかも織り交ぜていろいろやりたいと思ってるので、たくさんの人に来てもらいたいですね。
取材:石田博嗣
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アルバム『KASUMISOU』2019年3月20日発売
5/17(金) 北海道・札幌市教育文化会館 小ホール
5/18(土) 大阪・大阪国際交流センター 大ホール
5/24(金) 岡山・岡山ルネスホール
5/25(土) 広島・広島南区民文化センター
6/01(土) 栃木・那須野が原ハーモニーホール
6/02(日) 埼玉・彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
6/07(金) 愛知・名古屋芸術創造センター
6/14(金) 東京・北とぴあさくらホール
6/15(土) 千葉・行徳文化ホール I&I
6/21(金) 新潟・新潟市音楽文化会館
6/23(日) 富山・高岡文化ホール
6/28(金) 神奈川・関内ホール
6/30(日) 茨城・結城市民文化センター 小ホール
7/06(土) 長崎・長崎ブリックホール 国際会議場
7/10(水) 岩手・盛岡劇場 メインホール
7/11(木) 福島・福島テルサ FT ホール
7/14(日) 宮城・仙台銀行ホール イズミティ21 小ホール
7/20(土) 滋賀・米原市民交流プラザ ルッチプラザ
7/26(金) 山形・山形テルサ アプローズ
7/27(土) 秋田・秋田市文化会館 小ホール
7/30(火) 香川・サンポートホール高松小ホール
7/31(水) 愛媛・松山キティホール
8/03(土) 福岡・福岡イムズホール
8/04(日) 熊本・熊本B.9 V1
8/12(月) 静岡・静岡市清水文化会館マリナート小ホール
8/17(土) 群馬・高崎市文化会館
9/06(金) 京都・京都府立府民ホールアルティ
9/07(土) 奈良・秋篠音楽堂
アルバム『KASUMISOU』
全曲ダイジェスト映像
「鞄の中のやきもち」MV