BLACK BASS | "水"のように展開する
オルタナティブな新世代アートコレク
ティブ
(写真 左下から時計回り:leni、KRICK、GERA、中村俊介、oTTs)
遊びの延長線上でスタート
——— はじめに自己紹介をお願いします。
leni:同じくラッパーのleni(レニ)です。
KRICK:トラックメーカーのKRICK(ケーリック)です。
oTTs:ラッパーのoTTs(オッツ)です。
——— ここまでの4人のみなさんが、音楽をやっていると。
leni:今日はいないんですけど、他にビデオディレクター兼フォトグラファーのAkira Polenghi(アキラ・ポレンギ)とデザイナーのgent(ゲン)がいて、計7人でBLACK BASSです。
——— 最初は確かGERAさん、oTTsさん、KRICKさんの3人だったんですよね?
KRICK:いや、シンガポール(笑)。その時すでに塾の先生と一緒に音楽を作ってました。でも、みんなと同じで僕も当事者になるつもりはなくやってたんですけど、そのうち興味あるどうしの三人が集まって、やってみようかっていう流れになって。
leni:KRICKはもともとヒップホップのビートを作ってたわけじゃないしね。
KRICK:特にこだわりなく、音楽が作れればなんでもって感じだったんですけど、ラップでビートを作ってくれないかって言われてやってみたら面白くて、そこからですね。
——— みなさんぐらい若いとSoundCloudで繋がってとかもよくありますが、そういうわけじゃないんですね?
——— それが最初の音源なんですね。その頃はもうライブもやっていた?
——— 後から加わった、leniさん、俊介さん、Akiraさん、gentさんは、3人の周りにはいたんですか?
俊介:友達の友達ではあったんです。共通の友達にダンサーの女の子がいて。僕とleniは大学一年生の時に映画を作る授業が一緒で、そこで出会いました。「ENOSHIMA」のMVはleniが撮ってるんですけど、じゃあ次のMVは僕が撮ろうかって。あと、個人的に資生堂の映像を作った時に音楽を探してて、その時にまた共通の知り合いがKRICKを紹介してくれました。
KRICK:俊介はFLUMEが好きで、音楽的にもバイブスが合ったんで一緒にやろうかって。
——— では、ローカルシーンでの結びつきとかではなく、友達のつながりでだんだんと集まった感じなんですね。
GERA:僕は川崎ですし、地元も全員違います。
バラバラだけど、最終的にみんなの色があってれば
——— みなさんは、自分たちをどういう集まりだと思ってますか?クルー?それともコレクティブ?
GERA:歌詞にしてもベクトルが同じ方向を向いてて一体感があるっていうのがクルーだと思ってるんですけど、僕らは気持ちや音とかは合ってても、一つの方向に向かっているというよりは一人一人で良い作品を作ろうという感じなんです。
——— クリエイティブに対して、みんなが持ってる能力を結集させていると。ちなみに、B.O.A.T.というアートチームとBLACK BASSの関係というのは?
——— では、現状としてはアートコレクティブで、7人のBLACK BASSだと。
——— これまでシングルが6つ、あとEPで『MIZUZEME』をリリースされていますね。EPは最初『3』っていうタイトルにしようとしていたとか?
oTTs:検索でも引っかかりやすいし、名前がBLACK BASSだから、ちょうどいいかなって。
——— BLACK BASSという名前自体は、図鑑を適当に開いて決めたそうですね。
leni:エゴサーチめっちゃ大変だけどね、基本釣りの動画が出てくるから(笑)。
——— 現時点で、サウンドの方向性というのは?
——— トレンドのサウンド、例えばトラップを追うとかではなくて?
KRICK:具体的にはMURA MASAとかね。流行ってるけど、他とはちょっと違うなってアプローチの感じ。
——— リリックに関してはいかがでしょうか?
GERA:僕は日本語と英語の組み合わせで歌詞を作るのが好きで。例えば「LOOOP」の冒頭だと、英語の中に一語だけ「梅酒」って単語を入れてるんですね。「a ship of 梅酒」で「梅酒をちょっとすすると君のこと思い出す」みたいな意味で、”梅酒”と”I miss you”をかけてて。英語と日本語だからこそできる、似た言葉を繋げて一つのセンテンスにして聴き心地も良く、歌詞をみたら意味もなるほどっていうような言葉遊びをやってます。
——— GERAさんはトリリンガルだと聞きましたが?
GERA:いや違うんだけどみたいな(笑)。でもMOMENT JOONさんは、いつも聴いてるプレイリストに入れさせてもらってるぐらい俺らもずっと聴いてたんで、良いねって言ってくれたのをきっかけに連絡してみたら、一緒にやりませんかって話になって。それで、ビート的に「LOOOP」がMOMENT JOONさんに合いそうな感じだったので、リミックスを作りました。一応言語でいうと、僕は昔ニュージーランドに住んでたんでバイリンガルではあります。
——— GERAさんが、"MC区役所"とだったというのは?
leni:黒歴史だよね(笑)。
GERA:まだ遊びでやってた頃に、僕が”MC区役所”で、oTTsが”爆裂チョリソー”って名前で(笑)。
leni:「ENOSHIMA」まではその名前だったよね。それで初めて一緒に仕事した時に「さすがにそれはないと思うよって」言ったら、次の日にLINEで「じゃあoTTsってどうかな?」って送られてきて。
——— ちなみにoTTsの由来は?
——— GERAさんはどうしてGERAに?
個性豊かなメンバーのルーツ
——— みなさんの音楽的なルーツもお伺いしたいのですが、せっかくなのでBLACK BASSで作っているプレイリストを見ながら語っていただければ。
KRICK:Phum Viphuritは僕ですね。タイ人なんですよ、ファンク系で。
leni:僕は宇多田ヒカル好きだから入れてます。
oTTs:僕は割と邦楽のロックも好きで、くるりとか。
KRICK:Silk City、GoldLink、Desiignerの「LOUD」も僕かな。
GERA:ここには入れてないんですけど、フランク・オーシャンはよく聴いてますね。ちなみに、映画音楽やアートも含めて南アフリカのカルチャーが好きで、来年から住むことになってるんですけど、去年1ヶ月ぐらい行ってる時に、現地でできた友達と一緒にレストランに行ったら、たまたまSOULECTIONの方と知り合いになったんです。最初全然知らずに「Spotifyに僕らの曲あります」とか言っちゃって、後でもう本当にすいませんみたいな(笑)。
leni:Lil SkiesとLandon Cubeの「Nowadays」やJuiceWRLDの「Black & White」とかSoundCloud系のエモいのは僕で。$uicideboy$やLilpeepとかも好きで。多分、ゴリゴリのヒップホップを一番好んで聴くのは僕だと思います。あとはOpus Innの「Grand Illusion」ですね。Opus Innは直接付き合いがあるんですが、音の作り方がすごい好きで尊敬しています。ぜひ一緒に仕事もしたいですね。
KRICK:「Tulips」みたいなお洒落な曲は昔から聴いてるんですけど、こういう雰囲気の曲に3人のラップが乗るとメッセージ性が出たりするんですよね。
leni:「HAPPYMEAL」っていう曲があるんですけど、ビートがストレンジな感じになってて、僕ら3人もよくわかんない感じでラップを乗せてるという(笑)。KRICKから「これはロックンロールです」って曲のデータが届いて、聴いたら「これロックロールなの?」って。
KRICK:The Policeの「Every Breath You Take」のギターリフだけをサンプリングしてるんで、それを伝えたかったんですけど言葉足らずで(笑)。
——— 楽曲に関してはKRICKさんがプロデューサーということでしょうか?
KRICK:音の部分は全て僕がやってますね。発想に関しては3人に任せてる感じで。
——— 映像担当ですが、俊介さんの好きな音楽は?
——— ちなみに、「LOOOP」のMVはどのようなコンセプトに基づいて制作されたんですか?
——— また、今日はいませんがAkiraさんとgentさんはどんな音楽が好きなんでしょうか?
leni:Akiraはロックかな。あとは、ビルボードのチャートに入ってるようなのが好きだよね。G-Eazyとか。
GERA:そして、gentに関しては知らないという(笑)。
——— みなさんはどうやって音楽を探したり聴いたりしていますか?
leni:好きなアーティストが影響を受けた音楽をさかのぼっていくことが多いですね。
KRICK:Spotifyのプレイリストですね。垂れ流しにして、いいなと思ったら保存したり。
oTTs:日本の曲も好きだから、音楽アプリよりもYouTubeで映像と一緒に聴いたりしますね。あと、良いと思った曲はメンバー内でシェアしているんです。
GERA:たしかに一番のdigはメンバー間の共有だよね。グループLINEで送り合ってるんですけど、基本良い曲ばかりだからコメントとかしなくても絶対みんな聴いてるし。
水のように、そしてオルタナティブであり続ける
——— お伺いすると、それぞれみなさんルーツが違う集まりだと思うんですが、ストリートだったり、フューチャリスティックだったり、コレクティブとして色んな見え方がある中で、BLACK BASSはどう自分たちを見せていきたいですか?
leni:攻撃的な音で人生に介入していくというより、色をつけてくみたいなイメージかな。無理にストリート感を出さなくてもいいと思っていて、それよりBLACK BASSしかないものを出していきたいし、他との勝ち負けというよりオンリーワンの存在でありたいですね。少し話は変わるかもしれないんですけど、ストリートカルチャーってそもそもオルタナティブなものじゃないですか。だから、いわゆる「ストリートっぽい」ことって商業的だと思うし、それって言ったらIKEAで大量生産されてるグラフィティアートと変わらないんで。僕らとしては、そうじゃなくてオルタナティブであり続けることが大事なのかなって思ってます。
——— 理想とするアーティストはいたりしますか?
KRICK:まぁでも少しクサい言い方をすると、誰かを目標にしちゃうとその人の上にはいけないから、理想とかはあまり考えないようにしてて。これからも変化していくと思うんで、その変化にしっかりと対応しつつ流れは組んで筋を通してやっていくのがいいかなと思ってます。
——— 今後の予定を教えてください。
oTTs:恵比寿baticaで来年の二月初めに企画をやる予定なんですけど、アートコレクティブならではのイベントにしようと思ってます。ハコの空間作りからトータルプロデュースして、映画のような設定で、それに沿ったブッキングまでして、世界観を作り込むつもりです。空間作りがメインで、プラスそこにライブもありますみたいな。
leni:あと、東高円寺駅近くの杉並区和田に、木造の古いアパートを改造したスタジオ兼ギャラリーをBLACK BASSメンバーで開設予定です。とりあえず年内に改造を終わらせたくて、もしスペースのデザインについてアイデアのあるアーティストの方がいらっしゃったら連絡いただきたいですね。
KRICK:新しいEPを今年中にリリースできるよう進めてます。それぞれのソロもみんな制作に入っているんで楽しみにしていてください。
leni:僕のソロMVに関してはもう発表されます。監督は今日いないAkiraがやってくれてるんだけど、超かっこいいです。ソロとしてはBLACK BASSの第一弾かな。
俊介:仲良い友達なんですけど、OMEGA SAPIENっていう韓国から来ていま日本に住んでるラッパーがいて、その繋がりで韓国のBig Marvelっていうチャンネル登録者が550万人以上いるYouTuberのMVを撮ったんですけど、これもある意味BLACK BASSの一部の作品っていうことで、ぜひ見てみてください!
BLACK BASS (ブラックバス)
YouTube
TuneCore Japan
関連ニュース
TuneCore Japan
チューンコアは、自分の楽曲をiTunes, Amazon Music, Google Play Musicなど世界120ヵ国以上の配信ストアで販売できるサービスです。