【the band apart インタビュー】
結成20周年を記念した
濃密な2作品が同時リリース
ライヴで演奏する楽しさを
やっと噛み締められるようになった
では、ベスト盤『20 years』の話題に入りましょう。
木暮
20周年だし、ベストを出すとしたらこのタイミングかなっていうのがありましたね。
荒井
せっかくなので、昔のものは録り直しもしつつですね。DISC 1が1枚目から5枚目までの曲で録り直してます。DISC 2は6枚目以降の近年のものなので、それはそのまま入れたんです。あと、新曲を入れました。
録り直しにはどんなテーマがあったんですか?
荒井
ライヴアレンジで自然と変わっていった感じをそのまま入れようと思いました。「Eric.W」「Fool Proof」「I love you Wasted Junks & Greens」「Taipei」とかそうですね。もともとの曲と構成が変わったのが大半です。そういうところでは、意味のある録り直しだったと思います。
録り直し曲はどれも原曲からバージョンアップした感がありますね。
木暮
そうですね。「Eric.W」なんか15年前の曲ですからね。
でも、古さを感じないんですよね。曲の強度が強いし、それがバンアパの強みでもあるのかなと。
そういう感じもバンアパっぽいなと(笑)。結果的にみんなから“すげー!”って言われるみたいな(笑)。
荒井
そんな感じですね(笑)。あと、当時は涼しい顔をしてましたけど、実際みんな必死で作ってたんですよね。“よくできた!”って噛み締める間もなく世に出してることが多かったから。だから、今になって録り直して、その良さを噛み締めるみたいなものもありましたね。
録り直して一番昔と違う感覚で聴けた曲は?
木暮
「SOMETIMES」かな。昔は録った段階でいっぱいいっぱいで、ライヴでもできてなかったんです。今、振り返ると、初期の自分たちにしか作れないものの集大成って感じがありますね。「KATANA」もそうだよね。
荒井
そうだね。この曲、リクエストツアーでリクエストを募った時に1位になったんです。“なぜこれが?”って思いつつ、改めて録り直したり、ライヴでやったりすると、この曲ってほんとに昔の感覚じゃなかったら作れなかったなって。今、これを作ろうとは思わないかもしれない(笑)。しかも、もともとリード曲っぽく扱われてたものじゃないし、むしろアルバムの変化球ゾーンに位置付けられてた曲だから。それが1位になって、陽の目を浴びたっていう(笑)。
本人たち的にもかなりの驚きがありますよね。
荒井
そうですね、かなりびっくりしました。でも、“お客さんはこれ、やってほしいんだな”って教わった感じがします。
木暮
その辺もベスト盤の曲選びの参考になりましたね。
トリビュート盤、ベスト盤含めた一連の流れで、the band apartを自分たちで再確認するって感覚もありましたか?
荒井
いっぱいありましたね。わりと内に入っていく活動をずっとやってきたので、ここで初めて外の意見を聞いてパッと開くのはいい経験だったなと。そういうことを避けてきたわけじゃなかったけど、ほんとに外に目を向けてる余裕がなかったんですよ。曲を作るにしても、演奏するにも。最近、やっと楽しさを噛み締めてます(笑)。
20年目にして“バンド、楽しい!”に辿り着いたと(笑)。
荒井
そうですね。ライヴで演奏する楽しさを噛み締めてることは多いです。ほんと昔は楽しくなかったから(笑)。なぜなら、全てに余裕がなさすぎたので(笑)。
木暮さんは今回の一連の作業を通じてバンドについて、何か改めて感じたことはありますか?
木暮
やっぱり時期によって曲の作り方が違うなっていうのと、微妙に影響を4人が与え合ってこうなってきたんだなっていうのを感じますね。それぞれの曲の作り方は違うけど、昔みたいな演奏者としてのエゴがなくなったんです。柔軟になったけど、メンバーの個性はすごく出てるみたいな。特に原と川崎の出す音はシグネチャーになってるってことを、マスタリングとかでまとめて聴いてて思いました。
あと、新曲「君が大人になっても」についても聞かせてください。
木暮
タイトルからして年相応な感じもあっていいなと。ただ、俺と荒井のパートを録ったのが1年以上前なんです。だから、新鮮に感じるのかも(笑)。
荒井
それはあるね(笑)。もともと8枚目のアルバムの『Memories to Go』に入るはずだったけど間に合わず、イントロダクション的に曲を使ってたんです。それがついに完成したんですよ。だから、歌は歌えるけど、ギターは何をやったかほんとに覚えてなくて(笑)。ライヴに向けて早く練習しないとヤバいなって。
(笑)。ベスト盤に新曲を入れるというのは、バンドがまだまだ前向いてるっていうのが分かりますね。
バンアパって4人ともクリエイティブさを失わずに活動してきているグループだというのをすごく感じました。
良い意味であまり他を見ず、探究心を持って音楽を作り続けていることがバンドの魅力にもなっているのかなと。
荒井
これからもそういう気持ちでやっていけたらとは思いますね。
では、これからの予定を聞きたいんですが、残念ながら20周年イベントが延期になってしまったんですよね。
荒井
そうなんですよ。ただ来年の早めにはやりたいです。
木暮
その代わりじゃないけど、急遽、新代田FEVERでワンマンがあって、フェスに呼ぶつもりだったMock Orangeと京都で2マンをやって、大阪ではACIDMAN、FRONTIER BACKYARD、KEYTALKとMock Orangeが出るイベントをやります。
荒井
いろいろ楽しみです。ぜひ、みなさんどこかに足を運んでいただけたら嬉しいですね。
取材:土屋恵介
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アルバム『tribute to the band apart』2018年9月19日発売
PONY CANYON
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アルバム『20 years』2018年9月19日発売
asian gothic label
『the band apart、Mock Orange 「Smooth Like Daniels Tour 2018」』
10/08(月) 東京・新代田FEVER ※the band apartワンマン
10/09(火) 東京・新代田FEVER ※Mock Orangeワンマン
10/10(水) 愛知・名古屋 UPSET ※2マン
10/11(木) 京都・LIVE HOUSE GATTACA ※2マン
『the band apart 20th anniversary 「SMOOTH LIKE GREENSPIA 2018」』
10/13(土) 大阪・服部緑地野外音楽堂
w)ACIDMAN、FRONTIER BACKYARD、Mock Orange、KEYTALK、GLARE SOUNDS PROJECTION
ザ・バンド・アパート:1998年結成。04年に自らが運営する“asian gothic label”での独立を果たす。ツアーでは両国国技館や幕張メッセでのライヴを成功させ、毎年数々の野外フェスで多くのアーティストとの共演を重ねながら自らのサウンドを確立してきた。さらに、レーベル所属のMock Orangeとのアメリカツアーや、台湾、フランスでのライヴを行なうなど、ワールドワイドな活動も展開している。結成20周年を記念し、18年には初のトリビュートアルバム『tribute to the band apart』と再録ベストアルバム『20 years』を同時リリースした。the band apart オフィシャルHP