METライブビューイングアンコール「
ロメオとジュリエット」トークショー
に宮尾俊太郎が登場

世界最高峰のオペラを映画館で楽しむMETライブビューイング。2017-2018シーズンを終え、8月4日から10月5日まで、これまでの名舞台をセレクトした「METライブビューイングアンコール2018」が行われている。ヴェルディやプッチーニ、ワーグナーの名作をはじめ、トーマス・アデス「皆殺しの天使」など話題の現代オペラまで、バラエティ豊かな作品が揃う。もう一度見たい作品、見逃した作品などを目にする絶好の機会だ。
なかでもアンナ・ネトレプコとロベルト・アラーニャ主演のグノー作曲によるオペラ「ロメオとジュリエット」は2007-08年シーズンに上演された名舞台のひとつ。8月25日の本作上映前にはKバレエカンパニーのプリンシパルダンサー、宮尾俊太郎が登場し、トークショーとともに、この作品の見どころが語られた。(文章中敬称略)
■世界中のスターを集めた最高峰のオペラ
この日のMETライブビューイングで上映される「ロメオとジュリエット」はグノーが作曲した全5幕のオペラで初演は1867年。ジュリエット役は、世界でもトップクラスの人気歌手の一人、アンナ・ネトレプコ、ロミオ役はMETやミラノ・スカラ座などで活躍するロベルト・アラーニャだ。指揮者は「三大テノール」として名を馳せたプラシド・ドミンゴ。世界屈指のスター歌手を「これ以上揃えるのは無理だろうというくらい揃え」、指揮者、オーケストラ、舞台美術に至るまで、すべてが豪華絢爛であるのがMETの舞台だ。
撮影:西原朋未
登場時に「僕はオペラについては全くの初心者です」と語りながらも、事前にこの作品のDVDを見てきたという宮尾は、「とにかく驚いた。オペラと言えば体躯のいい方々があまり動かずに歌うイメージだったのだけれど、皆シュッとスタイルが良くて美しく、またよく動く。走ったり剣で戦いながら息も切らさずに歌っていて、しかも演技も表情も素晴らしい。そのうちバレエダンサー並みに踊る歌手も出てくるんじゃないかと思った」と、素直な感想を述べた。
さらに「セットもまたモダンなデザインで豪華。特に4幕の寝室のシーンはベッドが星空に宙吊りになっていて2人の世界が歌われる。そのシーンのグノーの音楽がまた甘美で美しい」とライブビューイングの見どころを披露した。
ⒸKen Howard/Metropolitan Opera
■バレエとミュージカルの「ロミオとジュリエット」に出演。「次はオペラ」!?
宮尾は来たる10月12日からKバレエカンパニーの公演「ロミオとジュリエット」にロミオ役で出演予定。またミュージカル「ロミオとジュリエット」では死のダンサーを踊り、2019年の公演も出演が決まっているなど、この作品には縁がある。
「ダンサーとしてこの作品を踊る時、一番気を使う場面は」の問いに、宮尾は「最後の自殺のシーン。バレエは台詞がないだけに、自身の身体表現やオーケストラの音楽が登場人物の感情を表すように踊らなければならないなど、繊細で気を使う。振り付けが決まっているなかで、シェイクスピアの台詞がお客様に聞こえていくように頭に台詞を入れて、14歳と16歳の若い男女の、愛が止まらなくなっている勢いと初々しさを表現しようとしている」と語った。
またトークはオペラやバレエなどにおける恋愛とその意義にも発展。宮尾がシェイクスピアのこの戯曲が400年以上の長きに渡り、これほどまでに愛される作品である理由について、「人と人との争いが消えない限りは、この物語は愛されるのでは。争いがあるから愛が浮きたって見え、そこに皆さんは感情移入するのかもしれない。もし争いがこの世からなくなったら、この物語はとてもつまらないものになってしまうのではないかと思う」と持論を展開。それを受け司会者も「人間はやはり恋愛が大好き。現実世界で実現不可能な恋愛ドラマを展開するのがオペラでありバレエ」と語り、熱い盛り上がりを見せた。
そして宮尾は「僕もライブビューイングに出られるよう頑張ります。(「ロミオとジュリエット」は)バレエも踊り、ミュージカルもやったから、後はオペラかな。絶対無理ですけど(笑)」と語り、笑いで会場を沸かせながらトークを締めくくった。
METライブビューイングアンコールは10月5日までで、東劇、関西、名古屋で行われる。そして11月2日から2018-19シーズンが、やはりネトレプコ主演による「アイーダ」で開幕予定だ。
ⒸMarty Sohl/Metropolitan Opera
取材・文=西原朋未

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