【THYME】
取材:ジャガー
珍しくダークな印象を与える作品になっ
た
THYMEにとって初のバラード作品となる「愛する人」は、映画『魔法遣いに大切なこと』の主題歌として、より映画を際立たせる役目を果たしている。歌詞を書いたヴォーカルのthymeに話を訊いてみると、映画用に書き下ろしたわけではなく、偶然イメージが合ったのだという。
『愛する人』は何年か前に作った曲で、前作の1st アルバム『first 9uality』に入れる話もあったんですが…他の曲とのバランスを考えて見送ったんです。それから、しばらくして映画の台本を読ませていただいたらイメージがピッタリだったので、監督に曲を聴いてもらって。テーマとしては“日常にあふれている何気ない会話をもっと大切にしてほしい”というのがあって、そんな思いから生まれた曲です。今となっては、アルバム後のシングルが『愛する人』に決まって、この曲がより新鮮な形でリスナーに届けられるように運命が味方したんだなって思いますね。
やさしい序章からサビに到達すると、どこまでもサウンドが広がっていく。その中を伸びやかに歌うthymeの歌声がすごく心地良く響いているのが印象的だった。
技術的なことよりも、周りの楽器の音に身を委ねることを大切にしながら歌いました。この曲では大切な人への想いを歌っているんですけど、恋人っていう限定した存在だけでなく、聴く人によって思い浮かべる存在は自由であってほしい。広い意味で“愛”を感じ取ってもらえたら本当にうれしいです。
2曲目「keep on my way」は、クールなサウンドやメッセージ性の強い歌詞から、今までのTHYMEよりもぐっと大人のテイストに仕上がっている。
今の世の中って、何を、誰を信じていいのか分からず混乱しているように見えるんです。そんな時代だからこそ、“自分自身で答えを導き出せる人間にならなきゃダメだ!”ってことを私自身に言い聞かせるつもりで作りました。だからかな? 背筋が伸びて、大人になった印象があったのは。私たちにとっては、珍しくダークな印象を与える作品になったんですけど、そこに“keep on my way”(=自分の道を突き進んで行こう)という前向きなフレーズを乗せることでTHYMEらしさも出せたと思います。
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