【Ayummy】いろいろな場面で応援でき
たらいいな

クールなカッコ良さと温かみが共存した歌声で聴き手を魅了するAyummy。彼女が綴った詞は、自分の思いを真っ直ぐに伝えようとしている。“応援”をテーマにしたミニアルバム『SCENE』の聴きどころを語ってもらった。
取材:桂泉晴名

Ayummyさんは兵庫県西宮出身だそうですね。3曲目の「believe」は高校野球千葉大会甲子園予選の番組『高校野球ダイジェスト』のテーマ曲なのですが、甲子園球場は小さい頃から身近な存在だったのでしょうか?

全国高等学校野球選手権大会の開会式で行進する時、各校のプラカードを持つ女子高校生が映っていますよね。あれは母校が50年くらい前から担当しているんです。私が1年生の時は記念大会で、旗を持つ役割に選ばれて開会式に出ました。また、西宮市では毎年市内の小、中、高校を集めて運動会をやるんですけど、会場が甲子園球場なので、私は4回甲子園の土を踏んでいます。

回数で言うと高校球児より多いかもしれないですね! まさに「believe」は高校野球をイメージで作ったのですか?

今回、アルバム自体が“応援”というテーマでいこうとなって。“応援したい人って誰だろう?”と思い浮かべた時に、高校野球って1回負けたら終わりじゃないですか。その分、必死さがすごく伝わってくる。そういう高校球児を応援できたらいいなと思って歌詞を書きました。実際、高校野球の試合も観ていますし。

「believe」が『高校野球ダイジェスト』のテーマ曲に決まった時はいかがでしかた?

すごく嬉しかったです。久しぶりに甲子園まで観に行きたいですね。暑いジリジリとした中で観るのも楽しいだろうなと思っています

ちなみに、作詞はいくつの時から始めたのですか?

私はもともと“作詞家さんの素敵な歌詞があるならば、それに感情移入して歌うほうが歌としてはいい歌になるんじゃないか”と思っていたんです。でも、周りの人から“自分で書いたほうが気持ちも乗りやすいよ”と言っていただいたことがきっかけで、上京してから詞を書き始めました。もともと詩集は好きだったんですよ。親が相田みつをさんや谷川俊太郎さんのファンだったので。

今回のミニアルバムでは、ご自身の作詞が5曲ありますが、歌詞の書き方とかにこだわりや意識していることはありますか?

私は集中しないと何も思い浮かばないタイプなので、“書くぞ”というモードになってから書き始めます。一旦、紙にバーッと書くと、いくつかのワードが重なるんです。例えば、「believe」を書いていたら、“信じる”という言葉がすごく出てくると気付いたから、それをサビにしよう!っていうふうに決めていきます。

「believe」では《染まる茜色》や《輝き増す空の青》など、色の描写が印象的でした。

私、小さい頃に着ていた服の色を覚えていたりするんですよ。

じゃあ、失恋した時の服のことも覚えているとか?

はい。“あの時のデートで、この服を着た”と覚えているから、すごく引きずっちゃう。だから、一切合切捨てちゃいます(笑)。

徹底していますね(笑)。恋愛と言えば、1曲目のダンサブルな「you and me」は片思いソングですね。

この曲に関しては、設定を細かくして書きました。高校生くらいのクラスメイト同士で、女の子はいじっぱりで、男の子はすごく鈍感っていう。で、同じグループで一緒に遊園地に行ったりするんだけれど、女の子はわざと男の子に冷たくしたりして。“お前、好きな人いるのかよ”言われて、心の中で“好きなのはあんただって”と思う、みたいな。世の中に片思いしている子もいっぱいいるから、応援したいという気持ちがありました。学生さんが“私だけじゃないんだ”と思ってくれたらいいな。私も強がっちゃうタイプなので、よく分かります。

強がりな女の子ということでは、2曲目の「smile again」に《もっと素直になれたら 何か変わったかな?》という詞がありますね。

私はわりとポジティブな性格なんですけど、恋愛に関してはネガティブで…。だから、付き合っていても“いつか別れちゃうんだろうな。こんな幸せな日があったら、逆に思い出すのはあとで辛くならないかな”とか思っちゃうんですよ。「smile again」は心の中でボロボロに泣いているんですけど、“笑顔で会おうね”って精一杯言っている女の子の感じを書きました。

5曲目の「sing sing!!」はハッピーになれる温かい曲ですね。

この曲はクリスマスソングにしようと思って書きました。でも、今は“結婚したくない”って言っている子もいるし、“カップルじゃないから寂しい”ということもなく、女子会で楽しくやっている人もいるじゃないですか。だからこそ、カップルで聴いても楽しめて、女の子が聴いても楽しい歌がいいなと思って。あまり彼氏がいないから寂しいと決め付けるのは嫌だなと。私自身も昔はクリスマスの時に何もないと、“なんでこんな日に私はアルバイト?”って悲しい気持ちになっていたんですけど、最近はそういった気持ちを飛び越えて、“すごい! 街がきれい。みんな楽しそう!”と喜べる自分がいるんですよね。

そんな6曲を収録した本作の“SCENE”というタイトルにはどんな思いが込められているのですか?

いろいろな場面で応援できたらいいな、という思いが入っています。あと、私の曲を好きだとおっしゃってくださる方々から“家でも聴くけど、特に車に乗ると聴きたくなるんだよね”と言われることが多いんです。私の声ってリピートして聴いても、嫌にならないらしいんですね。長時間のドライブの時は、ぴったりみたいなんです。だからこそ、いつでも手に取ってもらいやすいアルバムにしたいな、と思いました

ちなみにAyummyさんが歌について大切にしていることは?

歌を続けていて実感するのは、その場の空気感が良くも悪くも伝わっちゃうから、気持ちが一番大事なんだな、ということ。自分はそんなつもりがなくても、緊張したら歌よりも緊張のほうが伝わって、本当に届けたいことの半分くらいしか伝わってなかったりしますし。逆に音は甘いんだけれど、伝わっている日もあって。そういうのが難しいですね。楽器だと譜面が目の前にあって、わりとマニュアル化できることもあるんですけど、歌は臨機応変な部分が必要ですから。

これからはどんなことを目標にしていこうと?

良くも悪くも昔からガツガツした気持ちがない人間ですが、歌に関してはもっと幅広く挑戦したいです。何より応援してくださっている方が、“歌い続けてね”と言ってくださるので。そう言ってくださる方がひとりでもいるなら、いつまでもやっていたいなと思いますし。人に喜んでもらえることが一番嬉しいですね。
『SCENE』
    • 『SCENE』
    • UMZJ-0174
    • 2015.06.05
    • 1890円
Ayummy プロフィール

アユミ:兵庫県西宮市出身。専門学生時代からクオリティーの高さがライヴハウスで話題となる。UMJ主催のヴォーカリストオーディションに参加し、関西代表メンバーに選ばれる。2010年発売のコンピレーションアルバムに収録された「sing my soul」の完成度の高さが音楽ジャーナリストに称賛され、UMJよりデビュー。繊細だが、どこか真の強さを感じさせる歌声と、日記を書くように素直な気持ちを綴った歌詞で、女性を中心に注目を集めている。Ayummy オフィシャルHP

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