「わたしを離さないで」で主演を務める綾瀬はるか(左)と原作者、カズオ・イシグロ氏(右)との対談がロンドンにて実現。 (c)TBS

「わたしを離さないで」で主演を務める綾瀬はるか(左)と原作者、カズオ・イシグロ氏(右)との対談がロンドンにて実現。 (c)TBS

ドラマ「わたしを離さないで」主演・
綾瀬はるか、原作のカズオ・イシグロ
氏と念願の対談

2016年1月15日(金)放送開始のTBS金曜ドラマ「わたしを離さないで」主演の綾瀬はるか。ドラマの世界観をより深めるべく、ロンドンに在住の原作小説を手掛ける世界的ベストセラー作家、カズオ・イシグロ氏の元を訪れ、2人の対談が実現した。
このドラマは、イシグロ氏の原作小説をベースに、脚本を担当する森下佳子がドラマに合わせてアレンジを行ったもので、世間から隔離された施設・陽光学苑で「良質な」教育を与えられ育てられてきた人物として、綾瀬はるか演じる主人公の恭子、三浦春馬演じる友彦、水川あさみ演じる美和が登場。子どもらしい生活、子どもらしい教育を享受し「普通の子ども」であったはずの彼らはある日、生まれながらにある使命を与えられた「特別な子ども」であると教えられ、自分たちの「本当の運命」を知らされる・・・という世界観。

綾瀬は恭子を演じるにあたり、作品・役柄についてより深く理解したいと考えていたといい、このことを知ったプロデューサーがイシグロ氏にコンタクトを取りこの対談が実現した。
TBS金曜ドラマ「わたしを離さないで」出演者、左から友彦役の三浦春馬、主人公の恭子役の綾瀬はるか、美和役の水川あさみ

TBS金曜ドラマ「わたしを離さないで」出演者、左から友彦役の三浦春馬、主人公の恭子役の綾瀬はるか、美和役の水川あさみ

■綾瀬はるか「イシグロ先生に聞きたい
ことがたくさんある」

「イシグロ先生に聞きたいことがたくさんある」という綾瀬は「わたしを離さないで」を生み出した成り立ちやキャラクターの作り方などを次々と質問すると、イシグロ氏もその想いに応え、熱いトークが繰り広げられた。

綾瀬から「キャシー(ドラマでは恭子)のキャラクターについて」聞かれたイシグロ氏は「映像作品は(脚本の)森下さんやはるかさんのそれぞれの解釈が合わさってコラボレーションで作ることがエキサイティングなところ」と語りながらも「キャシーは現実の人物に近いんじゃないかな」と具体例を挙げて説明。

また、綾瀬がこの作品の持つメッセージ性について質問をすると、執筆過程の秘話を明かした上で、「人生は短いということを書きたかった。すべての人は死を迎える。その短い人生の中で避けられない死に直面したときに何が重要なのか、そういうテーマについて書きたいと思った」と話し、それを聞いた綾瀬はじっと受け止めて考え込むような様子を見せた。

■カズオ・イシグロ「役者さんが自分の
解釈を加えて新しいものにしていく、と
いうプロセスが映像作品の面白さ」

一方、ドラマの脚本を読んだイシグロ氏からは、「森下さんが原作の中から新しい部分を探し出して、まるで、そこにあった開けていなかった新しいドアを開けて、何かを探してくれているようだ。それぞれの役に、役者さんが自分の解釈を加えて新しいものにしていく、というプロセスが映像作品の面白さ」と話し、自身の小説が世界で初めてドラマ化されることへの期待感を伝えた。

また途中、綾瀬が出演した2009年のドラマ「JIN-仁―」のVTRを取り寄せて見たというイシグロ氏はから演技力を絶賛され、綾瀬が「Thank you very much」と照れた表情を浮かべる場面も。

その後も対談は続き、ドラマの話題から“役者と作家という表現者としての違い”など深いテーマにも及び、綾瀬がどうしても聞こうと思っていたという「わたしを離さないで」というタイトルにこめられた意味をイシグロ氏が明かすなど、予定時間を大幅に超え4時間に渡る熱いトークが繰り広げられたという。

■綾瀬はるか「充実したお話ができて、
来てよかったです。」

対談後、綾瀬は「充実したお話ができて、来てよかったです。“自分が思うようにやってください”とイシグロ先生がおっしゃってくださったので、自分が思う恭子という役を素直に演じられたらと思います。ロンドンは初めてだったのですが、街並みや公園もとても落ち着いていて、すごく好きな街です。また来たいと思いました」とうれしそうに語り、撮影への手ごたえを感じた様子だった。

なお、この綾瀬はるかとカズオ・イシグロ氏の対談は2016年1月8日(金)発売の月刊「文藝春秋」2月号に掲載されるほか、TBSで放送されるドラマのメイキング番組内でオンエアされる。

TBS金曜ドラマ「わたしを離さないで」は2016年1月15日(金)22時よりTBS系で放送される。

■カズオ・イシグロ著「わたしを離さな
いで」

優秀な介護人キャシー・Hは「提供者」と呼ばれる人々の世話をしている。生まれ育った施設へールシャムの親友トミーやルースも「提供者」だった。キャシーは施設での奇妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に力を入れた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちのぎこちない態度……。彼女の回想はヘールシャムの残酷な真実を明かしていく。
「わたしを離さないで」で主演を務める綾瀬はるか(左)と原作者、カズオ・イシグロ氏(右)との対談がロンドンにて実現。 (c)TBS

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    OKMusic編集部

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