カメレオン・ライム・ウーピーパイ、
2年連続出演となった『SXSW』ライブ
レポート到着

Text by 宮原亜矢

世界最大級の音楽フェスティバルのひとつであり、世界中のアーティストや音楽関係者が注目する『SXSW』にカメレオン・ライム・ウーピーパイ(CLWP)が昨年に続いて2度目の出演を果たした。

昨年はかのQuincy Jonesが創業者の一人という老舗媒体「VIBE」が、10組のベストライブアクトに彼らを選出していたが、今年も英国メディアのCLASHが「特別な存在であり、間違いなく注目すべき」とプレビューした(*公演後、同誌はCLWPを「SXSW 2024: ベスト15 アクト」に選出)ほか、地元メディア「Do512」が、<私たちのお気に入りのバンド>としてピックアップしたのは昨年彼らが愛されたという他でもない証。沢山のショウケースやフェスティバルから出演オファーが寄せられた中から出演した全4公演のうち、オフィシャル2公演について振り返る。
1本目は3月11日。日本最大級のサーキット・フェスで『SXSW』での開催は昨年に続き2年目となる『Tokyo Calling』主催のステージ。バックドロップ・シンデレラやHALLEYら計5組が出演したイベントの3番目、深夜11時からという『SXSW』ではとてもいい時間帯の出演だ。500名収容の「Elysium」は人をかき分けて進まなければい
けないほど邦楽ファンで埋め尽くされる中、CLWPショウの1曲目の定番にして《死ぬまではGroovy》のフレーズがバンドのポリシーのように思える“LaLaLa”でスタート。

「What’s upAustiiiinnn!?」とのChi-の煽りに一気に熱温の上がるフロア。彼らの楽曲を聴いたことはあってもライブで観たことのない人にとって、彼らの音が想像以上にベースのグルーヴが太くて良い意味で驚かされると思うが、“Where Is The Storm”もライブで新たな魅力が開花する1曲。週末の雷雨に向けて湿気を帯びたオースティンの街と、『SXSW』ミュージックデイ初日で沸き立つ街の喧騒にChi-のエキセントリックなハイトーンボイスほどフィットするものってあるのか? と言いたくなるほどパワフルだった。
彼らが今回出演した全4公演の内、もう一つのオフィシャルステージが60年以上の歴史を持つイギリスの有名ギターアンプメーカー〈Marshall〉が主催する「Marshall Funhouse」。人気会場「Parish」では2部構成のコンサートやパネル、隣接の駐車場を使った「The Lot」ではゲームやDJセットなどが3日間通して行われ、約1万人も
の動員を記録した大人気のフェスティバル。元々「Parish」自体がThom YorkeやSlashといった大物に愛される場所なのだが、このイベントにDinosaur Jr.やShannon & The Clamsらが出演する中、唯一の日本人アーティストとして招聘されたのがCLWP。カーニバルがコンセプトのステージ装飾がすでにオレンジ色が基調のカラフルなものだったり、アメリカのレトロなアニメーションのようなキャラクターを使ったアニメーションのVJ映像が使われていたりとCLWPのイメージにあまりにマッチしていて、まるで彼らのために作られたステージのよう。CLWPも自前のVJ映像を敢えて使わないことを望んだほど気に入っていた。
そんな、もはや運命的ですらある環境下でコール&レスポンスも“Chair”や“Grooving Night”で煽ったハンドクラップも楽しさで頬肉の上がった観客から引き出していく。もはや第2のホームと呼びたくなるような一体感だ。ラストの“Love You!!!!!!”の「Ah!!!!!!」と叫ぶChi-のスクリームには、いつも以上にこの短い宴の終わりを名残り惜しむ気持ちが滲んでいたように思えた。

ほとんどの観客が彼らのあまりに個性的なユニット名すら覚えられないような人たちの目の前でも臆することなく、様々なジャンルとリズムの海原でその場にいる人をどんどんカメレオンワールドに巻き込み、体を委ねさせ、最後は喝采のシャワーを浴びていた彼ら。ただでさえ耳の肥えた人たちが住む街オースティンに、世界中から音楽のプロが集まっている『SXSW』の、しかも人気会場で得た手応えが、今後彼らのライブやサウンドプロダクションにも好影響を与えるのではないだろうかと期待してやまない。
■ カメレオン・ライム・ウーピーパイ オフィシャルサイト(https://clwp.jp/)
Text by 宮原亜矢

世界最大級の音楽フェスティバルのひとつであり、世界中のアーティストや音楽関係者が注目する『SXSW』にカメレオン・ライム・ウーピーパイ(CLWP)が昨年に続いて2度目の出演を果たした。

昨年はかのQuincy Jonesが創業者の一人という老舗媒体「VIBE」が、10組のベストライブアクトに彼らを選出していたが、今年も英国メディアのCLASHが「特別な存在であり、間違いなく注目すべき」とプレビューした(*公演後、同誌はCLWPを「SXSW 2024: ベスト15 アクト」に選出)ほか、地元メディア「Do512」が、<私たちのお気に入りのバンド>としてピックアップしたのは昨年彼らが愛されたという他でもない証。沢山のショウケースやフェスティバルから出演オファーが寄せられた中から出演した全4公演のうち、オフィシャル2公演について振り返る。
1本目は3月11日。日本最大級のサーキット・フェスで『SXSW』での開催は昨年に続き2年目となる『Tokyo Calling』主催のステージ。バックドロップ・シンデレラやHALLEYら計5組が出演したイベントの3番目、深夜11時からという『SXSW』ではとてもいい時間帯の出演だ。500名収容の「Elysium」は人をかき分けて進まなければい
けないほど邦楽ファンで埋め尽くされる中、CLWPショウの1曲目の定番にして《死ぬまではGroovy》のフレーズがバンドのポリシーのように思える“LaLaLa”でスタート。

「What’s upAustiiiinnn!?」とのChi-の煽りに一気に熱温の上がるフロア。彼らの楽曲を聴いたことはあってもライブで観たことのない人にとって、彼らの音が想像以上にベースのグルーヴが太くて良い意味で驚かされると思うが、“Where Is The Storm”もライブで新たな魅力が開花する1曲。週末の雷雨に向けて湿気を帯びたオースティンの街と、『SXSW』ミュージックデイ初日で沸き立つ街の喧騒にChi-のエキセントリックなハイトーンボイスほどフィットするものってあるのか? と言いたくなるほどパワフルだった。
彼らが今回出演した全4公演の内、もう一つのオフィシャルステージが60年以上の歴史を持つイギリスの有名ギターアンプメーカー〈Marshall〉が主催する「Marshall Funhouse」。人気会場「Parish」では2部構成のコンサートやパネル、隣接の駐車場を使った「The Lot」ではゲームやDJセットなどが3日間通して行われ、約1万人も
の動員を記録した大人気のフェスティバル。元々「Parish」自体がThom YorkeやSlashといった大物に愛される場所なのだが、このイベントにDinosaur Jr.やShannon & The Clamsらが出演する中、唯一の日本人アーティストとして招聘されたのがCLWP。カーニバルがコンセプトのステージ装飾がすでにオレンジ色が基調のカラフルなものだったり、アメリカのレトロなアニメーションのようなキャラクターを使ったアニメーションのVJ映像が使われていたりとCLWPのイメージにあまりにマッチしていて、まるで彼らのために作られたステージのよう。CLWPも自前のVJ映像を敢えて使わないことを望んだほど気に入っていた。
そんな、もはや運命的ですらある環境下でコール&レスポンスも“Chair”や“Grooving Night”で煽ったハンドクラップも楽しさで頬肉の上がった観客から引き出していく。もはや第2のホームと呼びたくなるような一体感だ。ラストの“Love You!!!!!!”の「Ah!!!!!!」と叫ぶChi-のスクリームには、いつも以上にこの短い宴の終わりを名残り惜しむ気持ちが滲んでいたように思えた。

ほとんどの観客が彼らのあまりに個性的なユニット名すら覚えられないような人たちの目の前でも臆することなく、様々なジャンルとリズムの海原でその場にいる人をどんどんカメレオンワールドに巻き込み、体を委ねさせ、最後は喝采のシャワーを浴びていた彼ら。ただでさえ耳の肥えた人たちが住む街オースティンに、世界中から音楽のプロが集まっている『SXSW』の、しかも人気会場で得た手応えが、今後彼らのライブやサウンドプロダクションにも好影響を与えるのではないだろうかと期待してやまない。
■ カメレオン・ライム・ウーピーパイ オフィシャルサイト(https://clwp.jp/)

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