【LIV MOON インタビュー】
シンプルだけど
ご満足いただける一品になったと思う
舞台俳優としても活躍するAKANE LIV(Vo)によるシンフォニックメタルユニット、LIV MOONのEP『You Live in Me』が完成した。メインメンバー星野沙織(Vn)によるタイトル曲をはじめ、MASAKI(Ba)作曲のメタルチューン、ドヴォルザークの「新世界より」カバー、既発曲の新録バージョンと、聴き応えたっぷりの4曲が収録されている。
きれいなだけではない
歌にしたかった
実は今回のタイトル曲を聴いてちょっと泣いてしまいました。
このご時世というのもありますし、私もここ最近大事な人を相次いで亡くしていて、まずそれを歌詞に書いたんですけど、自分の中で今抱えているものなどいろんな想いを沙織ちゃんには全部説明しました。悲しみだけの曲じゃないものにしたいということも伝えて。今回のEPのタイトルにもしているぐらい、自分の中ではとても大切な曲になりましたね。
こんなドラマチックな楽曲が上がってくるっていうのはイメージしていました?
LIV MOONで曲を作る時に詞先なのは沙織ちゃんだけなんですよ。他のメンバーはみんな先に曲を上げてきてくださって、そこに私が歌詞を乗せるという順番なんですね。それまでは曲をいただいて歌詞を書くということしかやってきていなかったんですけど、前回のアルバム『OUR STORIES』(2022年12月発表)に収録されていた「Anemone」の時に、沙織ちゃんから先に歌詞を書いてほしいと言われて。「Anemone」も“ザ・シンフォニックメタル”って曲でもないし、どのジャンルに当てはまるか分からない面白い楽曲だったんですけども、曲にとらわれずに自分が言いたいことを書けるっていうのはより伝えられることが増えるんですよ。ひとつの物語をダーッて書いていく感じで、止まらずに集中して入っていけるんですよね。曲に導かれて出てくる歌詞ももちろんいっぱいあるんですが、やっぱり尺の制限などはあるので。「You Live in Me」については、たぶん他の人があの歌詞を曲にするのってすごく難しいと思うんです。同じ字数に揃えてもいないし。私が書いたものから彼女が部分的に言葉を入れ替えたり、足してくれているワードもあったりするんですよ。彼女は私の舞台をほぼ全部観てくれていることもあって、イメージを共有しやすいんだと思います。“ここの部分はこういうシーンで、AKANEさんがこう歌っているイメージなんです”と的確に伝えてくれたり、私からも“荒波の岸壁に自分が立って歌っているイメージ”っていうのを伝えたりすると“そうだよね”って共有できているので。彼女の世界観ってジャンルを超えてクラシックにもすごく精通しているから、本当に羽ばたいていけるんです。まず世界観としてこういうことを言いたい、一番自分の中で伝えたい言葉は“You Live in Me”だから何度か出てきてほしいっていうのはあったんですけど、最後に“You Live in Me”の連呼が来るっていうのは驚きました。あれは沙織ちゃんのアイディアなんです。
あのフレーズの畳みかけは胸に刺さりました。
大事な人を亡くすっていうのは誰しも経験している思うので、その痛みをみなさんも感じたことがあると思うんですね。この曲のテーマは亡くなった人もそうだし、命の灯が弱くなってきている人…私のおばあちゃんが施設にいて、毎週訪ねに行ってるんですけど、おばあちゃんはもう今を生きてないというか。会話をしていても30秒で話がまた戻っちゃったりして。そんなおばあちゃんの姿も書いていているので、歌っていると自分にとって大事な人たちが走馬灯のように巡って、気持ちを持っていかれちゃうんですけど、それをギリギリのところで抑えながら歌っていて…きれいなだけではない歌にしたかったんです。最初はすごく美しく始まって、大事な人たちが自分の中に生きているということも言いつつ、ラストでは今ここに生きている人たちの魂をすごく感じる。それをみなさんに伝えたいと思って。
悲しいとか儚いとかだけではなくて、力強さみたいなものも伝わってきます。
最初のリハでやった時にMASAKIさんも“これ、めっちゃいいですね”と言ってくれて。ロックとかメタルとかそういうもので括るのではなく、同じ想いを誰もが抱えているから響いたんだなって。メンバーにも響いたのが嬉しかったです。そういう曲になったと思いますね。
テクニカルなシンフォニックメタルでありつつ、シアトリカルな感じもありますね。
シアトリカルでもありつつ、LIV MOONにとってのレクイエムみたいなものでもあるっていうのは沙織ちゃんとも話していて。これからこの曲をずっと歌い続けていく中で、自分の中で思う人々が悲しくも増えていくと思うんですよ。
残念ながらそれは時とともに増えますね。
それがまた違うエネルギーにも変わっていくし、進化していく一曲になるかなと思います。そういういろんな人の鎮魂歌にもなったらいいかなって思いますね。