INTERVIEW | Mina Okabe × Daichi
Yamamoto小袋成彬プロデュース曲で
邂逅した両者の音楽性、アイデンティ
ティ 小袋成彬プロデュース曲で邂逅
した両者の音楽性、アイデンティティ

デンマークのコペンハーゲンを拠点に活動するSSW・Mina Okabe(ミイナ・オカベ)と、京都出身のラッパー・Daichi Yamamoto。2人は10月から放送されているフジテレビ系月9ドラマ『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』の主題歌“Flashback feat. Daichi Yamamoto”で共演。小袋成彬がプロデュースを手がけるジャジーでグルーヴィな曲の中で、情感豊かな美しいボーカルと鋭くも情熱的なラップを披露している。今回の対談では2人に“Flashback”の制作背景から音楽的ルーツ、そして学生時代に経験したアイデンティティの戸惑いなどを語ってもらった。
デンマーク人の父と日本人の母を持つMina Okabeは、一昨年リリースされた“Every Second”がSNS上で75億回超の再生回数を記録するなど、世界的にバズを起こしている期待のアーティストである。日本でもより認知を広めていくであろうMina Okabeと、国内で大きなリスペクトを集めるDaichi Yamamoto。2人の会話は終始和やな空気で進んでいった。
Interview & Text by Ryutaro Kuroda(https://twitter.com/KURODARyutaro)
Photo by Ryo Sato(https://www.ryosato.website/)
小袋成彬プロデュースで作り上げた“Flashback”
――おふたりが初めて顔を合わせたのは?
Daichi Yamamoto(以下、Daichi):“Flashback”のMV撮影のときです。
Mina Okabe(以下、Mina):いろんなことがギュッと凝縮された1日でした。
――それぞれお互いの作品、もしくはアーティストイメージに対して、どんな印象を持っていましたか。
Daichi:繊細な声のトーンが綺麗で、細かい部分の声の操作がすごくカッコいい。“Flashback”のデモとでき上がった音源を聴き比べても、細かいところの調整が素晴らしいので、ボーカリストとして勉強になります。
Mina:That’s So Nice!
――(笑)。Minaさんはどうですか?
Mina:日本の楽曲を聴くようになったのは最近なんです。Daichiさんの曲を初めて聴いたとき、日本語のリリックを日本っぽいメロディとプロダクションに乗せているのがすごくクールだと思いました。ビジュアルと曲が融合している感じも素晴らしいです。
――“Flashback”はジャジーなテイストが新鮮でした。制作はどのように進んでいきましたか。
Mina:ドラマ『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』のテーマ曲を歌えると聞いて、非常にワクワクしました。楽曲もジャズっぽい曲にラップが入ると聞いて、その構成に興奮しましたし、どういうサウンドになるのかすごく興味深かったです。でき上がった音源を聴いてみたら、「なんてクールなんだろう」って感じました。Daichiさんのラップも素晴らしかったです。私にとっては日本のプロデューサーと仕事をするのも、日本でボーカルレコーディングするのも初めてのことでした。
Daichi:僕は京都から遠隔で作業しました。小袋さんもMinaさんも以前から聴いてたので、お話をいただいたときには「ぜひ!」という感じでした。制作の前に小袋さんと京都の喫茶店で会ったんですけど、そこでどんな楽曲にしたいのかを明確に伝えてくれて。ヴァースがあって、フックがあって、ラップがあって……みたいな構成じゃなくて、いきなりジャズプレイヤーのサックスソロが入ってきたり、途中からラップが急に入ってくる、みたいな話でした。なので事前に大体のイメージを持ってからレコーディングできましたね。
――小袋さんとのコミュニケーションで印象に残っていることはありますか?
Daichi:「歌ってるときに何の楽器が鳴っているのか聴いてほしい」「そのバランスを感じて自由にやってほしい」と言われて。それを聞いて、個人的にもハッとしましたね。ラップって結構畳みかけちゃうので、トラックが聴こえなくなることも多いんですけど、ちゃんとスペースを残して、楽器がアドリブしてる瞬間を引き立てるとか。たぶんそういうことなのかなと、自分なりに解釈して録りました。
Mina:ボーカルのレコーディングに入ったときに、インプロビゼーション──つまり、自分にとって自然な歌をハメる余白があると思ったのが印象的でした。自分がやりたいことに対して、小袋さんもオープンな気持ちで受け入れてくれたので、即興でアドリブを入れるのもウェルカムな感じで、すごく自然に入り込めました。
――なるほど。
Mina:あとは発音の部分でもとても助けてもらいました。私にとって日本語で歌うことは、慣れ親しんでる環境から敢えて飛び出していく、挑戦的なことなんです。
ただ、日本語で歌いたいという思いは昔からあって。“Every Second”で初めてトライして、“Flashback”が2回目だったんですけど、レコーディングのときはすごく緊張しました。そこで鍵となったのが、リリックの中にあるいくつかの覚えていた言葉たち。《もう一度だけ》とか《甘い言葉》などのワードを頼りに、リリック全体を理解しようと試みました。日本語はある程度わかるのですが、リリックになると複雑なので、自分のものにするのは大変なことでした。でも、みんな親切で辛抱強くレコーディングに付き合ってくれて、楽しかったし勉強になりましたね。
切実な思いや実体験を元にしたリリック
――MinaさんとDaichiさんは、音楽的なルーツで重なるところはあると思いますか?
Mina:どうでしょう……(笑)。お互いに音楽性はだいぶ違うので、バックボーンも異なる気がします。
Daichi:ルーツですか……最近ですけどヒップホップだったらKendrick Lamarだったり……あとはJames Blakeからも影響を受けています。あとSamphaやYoung Fathersなどもよく聴いていますね。
Mina:Daichiさんは小さい頃から日本の音楽を聴いていましたか?
Daichi:あまり聴いてなかったですね。日本のヒップホップを聴き始めたのが高校の終わりくらい。それまでメジャーな日本の曲とかは耳にしていました。
――Minaさんは宇多田ヒカルが家で流れていたと耳にしたんですけど、何か覚えていることはありますか?
Mina:宇多田ヒカルは母がよくかけていました。自分にとって懐かしさを覚えるような曲は“Automatic”や“Flavor Of Life”、あとは“First Love”とか、レミオロメンの“粉雪”です。
――レミオロメンもかかっていたんですね。
Mina:はい。父がデンマーク人で母が日本人なので、両親から別々の音楽を勧められましたし、インターナショナルスクールに通っていたときはユースコーラスに入っていたので、様々な言語の曲を歌いました。
――なるほど。
Mina:あと、いろんな国で育ったので、その時々でその国で流行っていたものを吸収しました。小さい頃は主にポップスを聴いていて、10歳くらいの頃はAvril Lavigneが大好きでした。ロンドンに住んでいたときはThe CureOasisをよく聴いていて、父から紹介されたAmy Winehouseは自分にとってとても大きなインスピレーションになりましたね。誠実にったリリック、実体験からインスピレーションを受けて書くというところに影響を受けました。
Daichi:Amy Winehouseは僕も聴いていましたね。多分18歳か19歳くらいの頃かな、テレビでライブ映像が流れていて、それを見てCDを買ったんですよね。イギリスに行ったときにはAmy Winehouseがよくライブしていたパブを巡ったりもしました。
――Minaさんも曲を書くときには、自分の中にある切実な思いや体験を綴ることが多いですか?
Mina:そうですね。自分の個人的な体験や感情、思っていることを曲にします。普段は自分の感情を表に出すことがあまり得意ではないんですよね。そんな私が悲しかったことや怒っていること、自身のフラストレーションやハッピーだったことを音楽を通して表現しているので、曲をリリースすると友だちから「そんなふうに思ってたの? 大丈夫?」って聞かれることがあります(笑)。
Daichi:めちゃくちゃ共感します。僕も普段言えないことなどをリリックとして書くことがあるので、友だちから「大丈夫か?」って連絡がきます(笑)。
――楽曲制作において、ネガティブな感情や体験がトリガーになることが多いですか?
Daichi:多いですね。最近自分の曲を聴いて、めっちゃ暗いなと思いました(笑)。
――普段言えないことも楽曲にすることで歌えるのはなぜだと思いますか?
Daichi:たしかに……何でなんですかね。音楽に乗せると嫌なことも真に受けないというか、シリアスになり過ぎないというか。お笑いでも嫌なことを笑いにしてウケたら、昇華されたりする部分もあると思うんですけど、それに近いのかもしれません。
自身のアイデンティティの揺らぎ
――Daichiさんは昨年リリースしたシングル“EVERYDAY PEOPLE”で、幼少期のアイデンティティの戸惑いを綴られていたと思うんですけど、Minaさんも周りとの違いから、自分のアイデンティティに疑問や戸惑いを感じたことはありますか?
Mina:そうですね。子供は自分と周りを比較するところがありますし、少なくとも自分はそうでしたね。ロンドンやNYの学校、フィリピンのインタースクールなどに通っていたときは、それぞれルーツやバックボーンが多様な、いろんな国の友だちがいました。そこからハイスクール時代はデンマークの学校に移ったんですけど、そこにはほとんどデンマーク人しかいなくて。アジア人は自分を含めて2人いたかな、くらいの環境だったので、突然不安になって自分が揺らいでしまうことも少しありました。
――なるほど。
Mina:そのときはデンマーク語があまり上手くなかったので、それも要因だったのかもしれないです。そうした揺らぎがあったのが9年生(日本での中学3年生)からハイスクールが始まるくらいの頃で、ハイスクールの後半になってからようやく自信が生まれてきました。でも、自分自身を恥に思ったことはないので、「こういう風になりたい」とか、「こういうルックスになりたい」と思うようなことは全くなかったです。
――なぜ自信を取り戻せたんだと思いますか?
Mina:うーん……答えたいんですけど、正直わからないですね(笑)。でも、やっぱり友だちの影響かな。「そのままのMinaでいいんだよ」って、自然体で受け入れてくれる友だちがいたからじゃないかなと思います。
――Daichiさんはどうして“EVERYDAY PEOPLE”のような曲を発表できたんだと思いますか?
Daichi:自分のアイデンティティについての曲を書きたいという思いはずっとあったんです。ただ、ああいうことを歌うと、“かまってちゃん”みたいな風に捉えられるんじゃないかって躊躇していました。でも、1回試しに書いてみて、(“EVERYDAY PEOPLE”のプロデュースを手がけた)JJJさんに投げてみたら、「めっちゃいいじゃん」って言ってくれて。その辺りからこういうトピックも話していいんだな、と思いました。なので、僕の場合も結局周りの人たちのおかげかも。
――おふたりが今後の活動でイメージしていることを教えていただけますか。
Daichi:音楽をもっと自由に表現したいです。すごく抽象的なんですけど、まだ自分の中にトレンドへの目配せや、「ヒップホップってこういうもんだよね」みたいな固定概念がある気がするんですよね。そういうものを飛び越えるというか、自分にしかないジャンルみたいな作品を作れるようになりたい。あと、音楽以外の美術とかでも、そういう表現をやってみたいです。
Mina:私は今アルバムの制作に入っていて、それに取り組んでいる最中です。あとは日本でライブがやりたいですね。単独公演はまだやれてないんですけど、今後も曲を作り続けて、またライブしに日本に戻ってこれることを楽しみにしています。
――ちなみに、Minaさんは何か好きな日本食はありますか?
Mina:全部です。もうなんでも好きです。寿司、ラーメン、うどん、そば、コンビニフード、おにぎり、日本的な味付けのお肉、てんぷら、たこやき、フルーツ大福……あと、何年も前に食べた沖縄の豆腐(ジーマミ豆腐)もモチモチしていて好きでした。
――日本に住んでいる人よりも色々なものを食べてそうですね(笑)。
Mina:たしかに(笑)。
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※チェキはランダムでの発送となります。

※当選のお知らせに対して48時間以内に返信がない場合、誠に勝手ながら辞退とさせていただきます。
※住所の送付が可能な方のみご応募下さい。頂いた個人情報はプレゼントの発送以外には使用いたしません。
※発送先は国内のみとさせていただきます。
※フリマサイトなどでの転売は固く禁じます
【リリース情報】
※CD/デジタル
※CDには歌詞・対訳付
■ Mina Okabe 日本オフィシャルサイト(http://minaokabe.jp)
■Daichi Yamamoto: X(Twitter)(https://twitter.com/daichiyamoto) / Instagram(https://www.instagram.com/daichibarnett)
デンマークのコペンハーゲンを拠点に活動するSSW・Mina Okabe(ミイナ・オカベ)と、京都出身のラッパー・Daichi Yamamoto。2人は10月から放送されているフジテレビ系月9ドラマ『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』の主題歌“Flashback feat. Daichi Yamamoto”で共演。小袋成彬がプロデュースを手がけるジャジーでグルーヴィな曲の中で、情感豊かな美しいボーカルと鋭くも情熱的なラップを披露している。今回の対談では2人に“Flashback”の制作背景から音楽的ルーツ、そして学生時代に経験したアイデンティティの戸惑いなどを語ってもらった。
デンマーク人の父と日本人の母を持つMina Okabeは、一昨年リリースされた“Every Second”がSNS上で75億回超の再生回数を記録するなど、世界的にバズを起こしている期待のアーティストである。日本でもより認知を広めていくであろうMina Okabeと、国内で大きなリスペクトを集めるDaichi Yamamoto。2人の会話は終始和やな空気で進んでいった。
Interview & Text by Ryutaro Kuroda(https://twitter.com/KURODARyutaro)
Photo by Ryo Sato(https://www.ryosato.website/)
小袋成彬プロデュースで作り上げた“Flashback”
――おふたりが初めて顔を合わせたのは?
Daichi Yamamoto(以下、Daichi):“Flashback”のMV撮影のときです。
Mina Okabe(以下、Mina):いろんなことがギュッと凝縮された1日でした。
――それぞれお互いの作品、もしくはアーティストイメージに対して、どんな印象を持っていましたか。
Daichi:繊細な声のトーンが綺麗で、細かい部分の声の操作がすごくカッコいい。“Flashback”のデモとでき上がった音源を聴き比べても、細かいところの調整が素晴らしいので、ボーカリストとして勉強になります。
Mina:That’s So Nice!
――(笑)。Minaさんはどうですか?
Mina:日本の楽曲を聴くようになったのは最近なんです。Daichiさんの曲を初めて聴いたとき、日本語のリリックを日本っぽいメロディとプロダクションに乗せているのがすごくクールだと思いました。ビジュアルと曲が融合している感じも素晴らしいです。
――“Flashback”はジャジーなテイストが新鮮でした。制作はどのように進んでいきましたか。
Mina:ドラマ『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』のテーマ曲を歌えると聞いて、非常にワクワクしました。楽曲もジャズっぽい曲にラップが入ると聞いて、その構成に興奮しましたし、どういうサウンドになるのかすごく興味深かったです。でき上がった音源を聴いてみたら、「なんてクールなんだろう」って感じました。Daichiさんのラップも素晴らしかったです。私にとっては日本のプロデューサーと仕事をするのも、日本でボーカルレコーディングするのも初めてのことでした。
Daichi:僕は京都から遠隔で作業しました。小袋さんもMinaさんも以前から聴いてたので、お話をいただいたときには「ぜひ!」という感じでした。制作の前に小袋さんと京都の喫茶店で会ったんですけど、そこでどんな楽曲にしたいのかを明確に伝えてくれて。ヴァースがあって、フックがあって、ラップがあって……みたいな構成じゃなくて、いきなりジャズプレイヤーのサックスソロが入ってきたり、途中からラップが急に入ってくる、みたいな話でした。なので事前に大体のイメージを持ってからレコーディングできましたね。
――小袋さんとのコミュニケーションで印象に残っていることはありますか?
Daichi:「歌ってるときに何の楽器が鳴っているのか聴いてほしい」「そのバランスを感じて自由にやってほしい」と言われて。それを聞いて、個人的にもハッとしましたね。ラップって結構畳みかけちゃうので、トラックが聴こえなくなることも多いんですけど、ちゃんとスペースを残して、楽器がアドリブしてる瞬間を引き立てるとか。たぶんそういうことなのかなと、自分なりに解釈して録りました。
Mina:ボーカルのレコーディングに入ったときに、インプロビゼーション──つまり、自分にとって自然な歌をハメる余白があると思ったのが印象的でした。自分がやりたいことに対して、小袋さんもオープンな気持ちで受け入れてくれたので、即興でアドリブを入れるのもウェルカムな感じで、すごく自然に入り込めました。
――なるほど。
Mina:あとは発音の部分でもとても助けてもらいました。私にとって日本語で歌うことは、慣れ親しんでる環境から敢えて飛び出していく、挑戦的なことなんです。
ただ、日本語で歌いたいという思いは昔からあって。“Every Second”で初めてトライして、“Flashback”が2回目だったんですけど、レコーディングのときはすごく緊張しました。そこで鍵となったのが、リリックの中にあるいくつかの覚えていた言葉たち。《もう一度だけ》とか《甘い言葉》などのワードを頼りに、リリック全体を理解しようと試みました。日本語はある程度わかるのですが、リリックになると複雑なので、自分のものにするのは大変なことでした。でも、みんな親切で辛抱強くレコーディングに付き合ってくれて、楽しかったし勉強になりましたね。
切実な思いや実体験を元にしたリリック
――MinaさんとDaichiさんは、音楽的なルーツで重なるところはあると思いますか?
Mina:どうでしょう……(笑)。お互いに音楽性はだいぶ違うので、バックボーンも異なる気がします。
Daichi:ルーツですか……最近ですけどヒップホップだったらKendrick Lamarだったり……あとはJames Blakeからも影響を受けています。あとSamphaやYoung Fathersなどもよく聴いていますね。
Mina:Daichiさんは小さい頃から日本の音楽を聴いていましたか?
Daichi:あまり聴いてなかったですね。日本のヒップホップを聴き始めたのが高校の終わりくらい。それまでメジャーな日本の曲とかは耳にしていました。
――Minaさんは宇多田ヒカルが家で流れていたと耳にしたんですけど、何か覚えていることはありますか?
Mina:宇多田ヒカルは母がよくかけていました。自分にとって懐かしさを覚えるような曲は“Automatic”や“Flavor Of Life”、あとは“First Love”とか、レミオロメンの“粉雪”です。
――レミオロメンもかかっていたんですね。
Mina:はい。父がデンマーク人で母が日本人なので、両親から別々の音楽を勧められましたし、インターナショナルスクールに通っていたときはユースコーラスに入っていたので、様々な言語の曲を歌いました。
――なるほど。
Mina:あと、いろんな国で育ったので、その時々でその国で流行っていたものを吸収しました。小さい頃は主にポップスを聴いていて、10歳くらいの頃はAvril Lavigneが大好きでした。ロンドンに住んでいたときはThe CureやOasisをよく聴いていて、父から紹介されたAmy Winehouseは自分にとってとても大きなインスピレーションになりましたね。誠実に綴ったリリック、実体験からインスピレーションを受けて書くというところに影響を受けました。
Daichi:Amy Winehouseは僕も聴いていましたね。多分18歳か19歳くらいの頃かな、テレビでライブ映像が流れていて、それを見てCDを買ったんですよね。イギリスに行ったときにはAmy Winehouseがよくライブしていたパブを巡ったりもしました。
――Minaさんも曲を書くときには、自分の中にある切実な思いや体験を綴ることが多いですか?
Mina:そうですね。自分の個人的な体験や感情、思っていることを曲にします。普段は自分の感情を表に出すことがあまり得意ではないんですよね。そんな私が悲しかったことや怒っていること、自身のフラストレーションやハッピーだったことを音楽を通して表現しているので、曲をリリースすると友だちから「そんなふうに思ってたの? 大丈夫?」って聞かれることがあります(笑)。
Daichi:めちゃくちゃ共感します。僕も普段言えないことなどをリリックとして書くことがあるので、友だちから「大丈夫か?」って連絡がきます(笑)。
――楽曲制作において、ネガティブな感情や体験がトリガーになることが多いですか?
Daichi:多いですね。最近自分の曲を聴いて、めっちゃ暗いなと思いました(笑)。
――普段言えないことも楽曲にすることで歌えるのはなぜだと思いますか?
Daichi:たしかに……何でなんですかね。音楽に乗せると嫌なことも真に受けないというか、シリアスになり過ぎないというか。お笑いでも嫌なことを笑いにしてウケたら、昇華されたりする部分もあると思うんですけど、それに近いのかもしれません。
自身のアイデンティティの揺らぎ
――Daichiさんは昨年リリースしたシングル“EVERYDAY PEOPLE”で、幼少期のアイデンティティの戸惑いを綴られていたと思うんですけど、Minaさんも周りとの違いから、自分のアイデンティティに疑問や戸惑いを感じたことはありますか?
Mina:そうですね。子供は自分と周りを比較するところがありますし、少なくとも自分はそうでしたね。ロンドンやNYの学校、フィリピンのインタースクールなどに通っていたときは、それぞれルーツやバックボーンが多様な、いろんな国の友だちがいました。そこからハイスクール時代はデンマークの学校に移ったんですけど、そこにはほとんどデンマーク人しかいなくて。アジア人は自分を含めて2人いたかな、くらいの環境だったので、突然不安になって自分が揺らいでしまうことも少しありました。
――なるほど。
Mina:そのときはデンマーク語があまり上手くなかったので、それも要因だったのかもしれないです。そうした揺らぎがあったのが9年生(日本での中学3年生)からハイスクールが始まるくらいの頃で、ハイスクールの後半になってからようやく自信が生まれてきました。でも、自分自身を恥に思ったことはないので、「こういう風になりたい」とか、「こういうルックスになりたい」と思うようなことは全くなかったです。
――なぜ自信を取り戻せたんだと思いますか?
Mina:うーん……答えたいんですけど、正直わからないですね(笑)。でも、やっぱり友だちの影響かな。「そのままのMinaでいいんだよ」って、自然体で受け入れてくれる友だちがいたからじゃないかなと思います。
――Daichiさんはどうして“EVERYDAY PEOPLE”のような曲を発表できたんだと思いますか?
Daichi:自分のアイデンティティについての曲を書きたいという思いはずっとあったんです。ただ、ああいうことを歌うと、“かまってちゃん”みたいな風に捉えられるんじゃないかって躊躇していました。でも、1回試しに書いてみて、(“EVERYDAY PEOPLE”のプロデュースを手がけた)JJJさんに投げてみたら、「めっちゃいいじゃん」って言ってくれて。その辺りからこういうトピックも話していいんだな、と思いました。なので、僕の場合も結局周りの人たちのおかげかも。
――おふたりが今後の活動でイメージしていることを教えていただけますか。
Daichi:音楽をもっと自由に表現したいです。すごく抽象的なんですけど、まだ自分の中にトレンドへの目配せや、「ヒップホップってこういうもんだよね」みたいな固定概念がある気がするんですよね。そういうものを飛び越えるというか、自分にしかないジャンルみたいな作品を作れるようになりたい。あと、音楽以外の美術とかでも、そういう表現をやってみたいです。
Mina:私は今アルバムの制作に入っていて、それに取り組んでいる最中です。あとは日本でライブがやりたいですね。単独公演はまだやれてないんですけど、今後も曲を作り続けて、またライブしに日本に戻ってこれることを楽しみにしています。
――ちなみに、Minaさんは何か好きな日本食はありますか?
Mina:全部です。もうなんでも好きです。寿司、ラーメン、うどん、そば、コンビニフード、おにぎり、日本的な味付けのお肉、てんぷら、たこやき、フルーツ大福……あと、何年も前に食べた沖縄の豆腐(ジーマミ豆腐)もモチモチしていて好きでした。
――日本に住んでいる人よりも色々なものを食べてそうですね(笑)。
Mina:たしかに(笑)。
【プレゼント企画】
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キャンペーン期間:1月22日(月)19:00〜1月29日(月)19:00

※チェキはランダムでの発送となります。

※当選のお知らせに対して48時間以内に返信がない場合、誠に勝手ながら辞退とさせていただきます。
※住所の送付が可能な方のみご応募下さい。頂いた個人情報はプレゼントの発送以外には使用いたしません。
※発送先は国内のみとさせていただきます。
※フリマサイトなどでの転売は固く禁じます
【リリース情報】
※CD/デジタル
※CDには歌詞・対訳付
■ Mina Okabe 日本オフィシャルサイト(http://minaokabe.jp)
■Daichi Yamamoto: X(Twitter)(https://twitter.com/daichiyamoto) / Instagram(https://www.instagram.com/daichibarnett)

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