【群咲 インタビュー】
未来がもっと明るいっていう
意味の言葉があってもいい
曲に込められた
情報量が多い
なるほど。そして、「他問他答」は大人めいた歌い回しがカッコ良い。間奏のバンドサウンドと絡み合うスキャットがいいですね。
千咲
新境地ですね。スキャットはラムシーニさんにご指導いただきながら歌いました。
ラムシーニ
そうそう。僕は歌えないんですけど、ソウルやファンクってスキャットがカッコ良いんですよ。
ヴォーカルが演奏とセッションになりますよね。
ラムシーニ
そうなんです。歌唱が楽器の一部になれるっていうのが好きで。
しかも、構成や展開がとんでもない曲なんですよね。
ラムシーニ
最初はジャミロクワイみたいな感じですけど、最後はハードロックになるっていう。ギターも最初は軽い感じだったのですが、最後は歪系を入れてもらって。アレンジで言うとストリングスとピアノはエレクトロスウィングというか、レコードから流れているような感じにしています。土台は現代なんですけど、後ろはレコードみたいな。
予想外の展開がすごいと思いました。
千咲
歌詞では私の皮肉が出ちゃっていますね。自問自答ではない理由は“他の人が勝手に問うてくるやん!”ってことが多くて。私って結構レッテルを貼られることが多いじゃないですか?
ラムシーニ
“多いじゃないですか?”じゃないよ。また、“ご承知のとおり”のような共通言語になっていたよ。本日2回目(笑)。
(笑)。
千咲
あははは。まぁ、声優さんと言えば清純で可愛くて、大人しくて、元気でキラキラでみたいなレッテルを貼られるのがすごく苦手なんです。そして、それを勝手に他人が問うてくるじゃないですか? “お前、それじゃないじゃん!”みたいに。その感じがすごく嫌なので、そんなアンチに向けた曲です(苦笑)。
ラムシーニ
「模造生活」(2023年2月発表のシングル)と同じ時に作っていたので、テーマも似ていますね。でも、「他問他答」の歌詞は、これまでだと一方的に千咲が言う歌詞が多かったんです。そうじゃなくて、肯定とそれに対する反論を自分で考えるようになった気がしますね。じゃないと、ただの罵詈雑言になってしまうので。
千咲
そうしたら、“アンチはこう思ってるからこういう行動するんや”ってことが分かって。アンチに寄り添っているような曲になりました。“みんなで一緒に笑おうよ!”みたいな。
すごいなぁ。ちなみにタイトルは誰が?
千咲
私が考えました。
「他問他答」ってよく出てきましたね。
千咲
ですねぇ。
ラムシーニ
ですねぇじゃない!(苦笑) お母さんか!
あははは。群咲って、ひとつの曲に込められた情報量が多いですよね。聴く人によって受けとらえ方も変わりそう。でも、こうやって楽しく解説してもらうと楽しみ方に深みが増しますよ。
千咲
しゃべれて良かったです。こんな話も作品も聞いていただけてありがとうございます。
ラムシーニ
ふくりゅうさんはカウンセラーじゃないんだから(笑)。曲を作ることが箱庭療法じゃないんだからな。
千咲
えっ! 違うの!? 私たちの心を聞いていただけたのかと(笑)。
ラムシーニ
“自分を見つめ直してね”みたいな(笑)。
そんな治療はしていません(笑)。そして、ラスト「模造生活」はアルバムバージョンですが、ど頭から本当に衝撃的でした。シングルとはちょっと変えたシャウト、魂の叫びが入っていて。あえて文字にはしませんので、音源で楽しんでほしいのですが。
千咲
あれは、ラムシーニさんから“冒頭でこれを言え”って言われたので録音しておいたんです。
ラムシーニ
レコーディングで本気で言ってもらったら、僕は椅子から転げ落ちましたよ(笑)。
千咲
めっちゃ笑われたんです。“えっ! そんなに?”って私も面白くなって(笑)。
ラムシーニ
これはアルバムで使おうって決めていました。キラーフレーズですからね。アルバムバージョンですけど、他は歌も演奏もシングルと同じです(笑)。
千咲
(笑)。
最初に聴いた時、“あれっ? なんって言った? まじか!?”って驚きましたもん。
千咲
ですよね~(笑)。
ラムシーニ
歌詞に情報にも入れていないですから(笑)。
群咲にとってテーマソング、主題歌感の強い「模造生活」が入るとミニアルバムが締まりますよね。本当に素晴らしいミニアルバムが完成したと思います。
千咲
お話を聞いていただき、ありがとうございました〜。
ラムシーニ
検診の最後みたいな締め方をするな!(笑)。でも、いいものができたので、ぜひみなさんに聴いてもらって、細かなところまで楽しんでほしいと思います。
取材:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)