【千葉翔也 インタビュー】
ソロデビュー曲には
その時にしかできないことがある
僕が歌っていないところも含めて
世界観を丸ごと楽しんでほしい
どの曲もギターソロが入っていますよね。最近はない曲も多いのですが。
個人的にはあったほうが嬉しいです。作品を通して、僕が歌っていないところはお休みではなく、楽器が歌の代わりに表現してくれていて。「WISH」も歌っていないところが長くあったりするんですけど、そこにこそ何かを感じてほしいです。僕が歌っていないところも含めた、全体とか世界観を丸ごと楽しんでほしい。
「感情論」は打ち込みも入ったサウンドで、2番の冒頭にラップがあるのが印象的でした。
最初はもっと打ち込み色が強かったんですけど、それをバンドサウンドに落とし込んでキーを上げました。ラップもデモには入っていなかったんですが、僕からやりたいと言っていれさせてもらいました。
ラップは『パリピ孔明』でラッパーのKABE太人を演じたのも影響していますか?
そうですね。KABE太人をやってすごく楽しかったし、ラップって自分にはできないと思っていてもやりたくなってしまう魅力があって(笑)。今後はもっとラップがメインの曲があってもいいかなって思っています。アニメ作品は別ですけど、僕が僕の曲でラップすることで意味が生まれるなら、ヒップホップ調の曲があってもいいなと。
曲の最後のほうでフェイクも聴かせていますね。
6時間くらいやったレコーディングの最後に録ったんですけど、作家さんの強いこだわりがあって、このフェイクのところだけで10回くらい歌いました。こういうR&Bとかのテイストはあまり通っていなかったので苦労しましたけど、自分なりに解釈してうまくまとめることができたんじゃないかと思います。
先ほど話に出たエモーショナルなミディアムナンバー「WISH」については?
当初はアコースティック調のサウンドで、聴き手と歌い手の距離が一番近い曲にしたいと思って発注しました。聴き手に僕が求める願いは、笑っていてほしいということ。つらいことがあって、何もしたくなくなることもあると思うけど、せめて笑っていてほしいと。最終的にアコースティックの部分はイントロとアウトロだけで、その他は海外の渋めのロックのような雰囲気になりました。
スタンドマイクにもたれかかって歌う姿が想像できました。
あぁ、確かに。それに演奏もシンプルなことをしているから、同じことの繰り返しに感情を乗せてどんどんアツくなっていく感じが想像できますね。曲の最後はストロボの照明で盛り上げたいとか、ライヴの演出ビジョンがどんどん浮かんできました。歌の収録も結構な回数のテイクを重ねたんですけど、結局2テイクめに歌った何も装飾していない感じがいいということで採用されました。今回の5曲の中で、もっとも生々しい歌なんじゃないかと思います。
全体の話で言うと、どの曲もキーがすごく高くないですか?
めちゃくちゃ高いです。作品で携わらせていただく曲もキーの高い曲が多く、そのほうが表現の幅が広がる実感を得ていました。別に高ければ高いほどいいと思っているわけではないですが、難易度の高い曲もしっかり歌えたらいいなと思います。個人的に僕が聴いていたメタルバンドもハイトーンがカッコ良かったですから。ハイトーンには言い訳のできない圧倒的な強さがあるんですよね。メタルのシャウトって普通は絶対できないから、そういう強者感への憧れもあって、ハイトーンは極めていきたいことのひとつではあります。
どういうメタルバンドを聴いてきたのですか?
日本ならGALNERYUSが好きで、海外ならデスメタルよりメロスピ(メロディックスピードメタル)、女性ヴォーカルものならフィンランドのNightwishかな? メタルバンドのみなさんは来日する機会も少なく、ライヴも行くこともほとんどないのですが、今年は勉強も兼ねてたくさんライヴに足を運びたいですね。
1月18日に池袋・サンシャインシティ噴水広場でフリーライヴを開催するそうですね。
声優の方でフリーライヴをやる人はあまり多くないので、自分でも予想もしていませんでした。僕の初めての曲たちを、こんなに間口を広くお届けできる機会をいただけるのは嬉しいです。お子さん連れや、お買い物に来た方、たまたま訪れた人に足を止めて聴いてもらえるように頑張りたいです。ネットで拡散するやり方がメジャーな時代ですけど、たまたまその場にいた方に知ってもらえるのって、音楽活動の原点的な感じでいいなと思います。
ひと昔前なら路上ライヴが主流でしたよね。そういう泥臭いほうが好きなんですか?
もちろんネットでもバズりたいですけど、やっぱり相手の顔が見えているほうが嬉しいじゃないですか。
確かに。今後はどんなところでライヴをやってみたいですか?
47都道府県でやりたいし、ライヴハウスでやりたいです。ライヴハウスってお客さんとの距離も近くて、何十人しか入らないライヴハウスを何個も回ったら、本当にそこでしか会えない人に会えそうな気がします。
取材:榑林史章
「Blessing」MV
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