【由薫 インタビュー】
私は私のままで普通に海外でも
曲を聴いてもらえる日本人でいたい
あり得ないくらいの
スピードで成長できている
スウェーデンで制作した曲もアルバムに収録されていますが、現地のクリエイターも日本語と英語を併用した表現は新鮮に感じていたんじゃないですか?
そうですね。スウェーデンに10日くらい滞在して、毎日違う方々とセッションをしたんです。J-POPに携わっている方々が多いんですけど、日本語と英語のノリの違いみたいなことはよくおっしゃっていました。同じメロディーでも日本語と英語ではノリが変わることをみなさんが理解していたので、英語も使う私が新鮮だったみたいです。
たくさんのクリエイターのみなさんと楽曲制作をしたアルバムですから、その体験から得たものも大きかったのでは?
本当にそのとおりですね。すごく学べました。ひとりきりで音楽をやっていた時と較べたらあり得ないくらいのスピードで成長できている感覚があります。スウェーデンでは毎日別の方とご一緒したので、特に視野が広がった感じがしています。ひとりで曲を作ることもあるので“メロディーラインに詰まった時、あの人はこうしていたな”とか、いろいろ反映できることがあるんです。そういうこともスキルアップにつなげていきたいです。
スウェーデンのクリエイターのみなさんと制作したのは、「E Y E S」と「Blue Moment」ですか?
あと、「Hangry」もそうです。実はスウェーデンで作った曲はもっとあるので、また別の機会にリリースしたいですね。他の国での制作にも興味があるので、いつか行けたらいいなぁと思っています。
どこの国で楽曲制作をしたいですか?
スウェーデンでJ-POPと海外の音楽との違いみたいな話をよくしたんです。“スウェーデンの音楽は歌詞の内容というよりもサウンド感重視だけど、J-POPは歌詞を聴いている人が多い印象がある。由薫は自分で歌詞を書いているから、そこは大事にしたほうがいいよ”ということを言われました。あと、“アメリカの音楽はスウェーデンに近いところがあるけど、イギリスは歌詞に重きを置いている雰囲気があるからJ-POPに近いかもしれない”という話も出たので、アメリカにもイギリスにも行ってみたいと思うようになっています。
由薫さんは歌詞で表現している内容にも独特なものがあると思います。「No stars」を聴いた時、それを強く感じました。人間の心の内にある光の曲ですよね?
はい。2020年の1月からライヴを始めたんですけど、3月くらいからコロナの影響でできなくなっちゃって。でも、そういう真っ暗闇の状況でもどうにかして光を灯そうとするみなさんのパワーを感じたんですよね。ライヴハウスにお客さんに来ていただくことはできなくても、カメラを使って配信できるようにしてくださったりとか。そういうパワーを感じながら書いたのが「No stars」なんです。
《星は必要ない》はなかなか出てくることがないタイプの表現だと思います。
ありがとうございます。でも、この曲のあとにリリースしたのが「星月夜」だったんですよね。スタッフチームから面白がられました(笑)。
「gold」はエレキギターを久しぶりに弾いてみた中で出てきた曲ですよね?
ハードオフで買った安いエレキギターを久しぶりに引っ張り出しました(笑)。最近はピアノでよく作っているんですけど、もともとはアコギが主体だったんです。弾く楽器を変えると出てくる曲も変わる気がしていて、それも不思議なんですよね。そういうことに気づけたのが「gold」です。
作る曲の幅を広げられたのもアルバムの制作を通じて得たひとつの成果ですか?
そうだと思います。「星月夜」をたくさん聴いていただけているのが嬉しいですし、他のいろいろなタイプの曲も自然と受け入れていただけている感覚があって、とてもありがたいことです。
「星月夜」はONE OK ROCKのToruさんのプロデュースでしたね。
はい。英語で歌ったデモがあって、タイアップのお話をいただいてから歌詞を書き直しました。
「星月夜」はゴッホの絵のタイトルが由来ですか?
そうです。もともとのタイトルはゴッホのあの絵の英語タイトルと同じく“Starry Night”だったんですけど。私もゴッホで“星月夜”という言葉を知りました。
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