Gilles de RaisがExtasy Recordsから
発表した『殺意』は
1990年代インディーズを代表する
傑作アルバムのひとつ
“Gilles de Rais Project”として
再始動
最後に、名盤紹介から話題は少し離れるが、現在のGilles de Raisについて少し触れておきたい。ポニーキャニオンで3枚のアルバム、4th『Gilles de Rais』(1993年)、5th『JAPAN』(1993年)、6th『Crack A Boy』(1994年)を発表したのち、1995年に解散したバンドは、2017年に“Gilles de Rais Project”として再始動を果たしている。しかしながら、ひと口に再始動と言っても、そこまでの道程は決して平坦なものではなかったようだ。いや、今も決して楽な活動ではないかもしれない。というのも、2008年、JOE(Vo)が交通事故に遭って心肺停止となる重傷を負っていたというのだ。この辺は“Gilles de Rais Project”のウェブサイトに詳しいので、ぜひググっていただきたい。何とか一命をとりとめたものの、JOEに後遺症は残ったままだという。筆者は冒頭で述べた通り、ほぼ予断を持たないままに先日の高田馬場でのライヴを拝見したのだが、それだけに当初、Moi dix MoisのSeth(Vo)とのツインヴォーカルのスタイルであったことを“おや?”と思ったし、ツインヴォーカルと言っても、JOEはシャウト担当、Sethはメロディー担当といった感じでありつつ、しかも明確にパートが分かれているわけではない感じもあって、“これはどういうことだろう?”と思ってステージを観ていたところはある。ただ、彼のパフォーマンスというか、ステージでの佇まいは、ロックバンドのフロントマンそのものの熱さ漲るものであったため、ライヴそのものは集中して観ることができた。
そうは言っても、MCが滑らかなものではなかったところで異変は感じていたので、あとから、この日、ゲストとして出演していたシン・ドクサツテロリストのイチロウ(Vo)にここまでの顛末をうかがった。そして、理解した。彼によれば、JOEは話すのも大変そうだという。そんな状態でありながら、Gilles de Raisに加えて、JOEは、その高田馬場でのライヴでオープニングアクトを務めたC.I.JOE’S PUNXでもヴォーカルを務めている。今になって振り返れば、バンドメンバー、ゲストバンドも含めて、周りの仲間たちがJOEを盛り上げ、それに応えてJOEも凛とステージに立っている──そんな様子であったことも思い起こされる。現在のJOEのことを知らなかったことは、単に筆者の勉強不足かもしれない。多くのファンには、何を今さら…という話かもしれない。しかしながら、このコラムをお読みいただいた方の中で、Gilles de Raisの再結成、JOEの現在の状態を知らなかった方──とりわけ30年前はGilles de Raisをよく聴いていたという方の中にそういう方がいらっしゃるのなら、僭越ながら、今回紹介した『殺意』などの音源を聴くだけに留まらず、“Gilles de Rais Project”にアクセスするなり、何かしらアクションを起こしてほしいと考える。別にライヴに行けとか、新たな音源を買えとか言ってるのではない。X(旧Twitter)をフォローするのでもいいと思う。そういうアクションがJOEにさらなる力を与えるのではないだろうか。そう信じたい。
そうは言っても、MCが滑らかなものではなかったところで異変は感じていたので、あとから、この日、ゲストとして出演していたシン・ドクサツテロリストのイチロウ(Vo)にここまでの顛末をうかがった。そして、理解した。彼によれば、JOEは話すのも大変そうだという。そんな状態でありながら、Gilles de Raisに加えて、JOEは、その高田馬場でのライヴでオープニングアクトを務めたC.I.JOE’S PUNXでもヴォーカルを務めている。今になって振り返れば、バンドメンバー、ゲストバンドも含めて、周りの仲間たちがJOEを盛り上げ、それに応えてJOEも凛とステージに立っている──そんな様子であったことも思い起こされる。現在のJOEのことを知らなかったことは、単に筆者の勉強不足かもしれない。多くのファンには、何を今さら…という話かもしれない。しかしながら、このコラムをお読みいただいた方の中で、Gilles de Raisの再結成、JOEの現在の状態を知らなかった方──とりわけ30年前はGilles de Raisをよく聴いていたという方の中にそういう方がいらっしゃるのなら、僭越ながら、今回紹介した『殺意』などの音源を聴くだけに留まらず、“Gilles de Rais Project”にアクセスするなり、何かしらアクションを起こしてほしいと考える。別にライヴに行けとか、新たな音源を買えとか言ってるのではない。X(旧Twitter)をフォローするのでもいいと思う。そういうアクションがJOEにさらなる力を与えるのではないだろうか。そう信じたい。
TEXT:帆苅智之