reGretGirl、異色コラボが浮かび上が
らせたロックバンドとしての真髄 サ
ンリオピューロランド公演オフィシャ
ルレポート

reGretGirlが11月26日にサンリオピューロランドで開催した『reGretGirl ✕ サンリオピューロランド “ファンファンライブ!” ~俺たちめっちゃKAWAII☆~』のオフィシャルレポートが到着した。

reGretGirlがワンマンライブ『reGretGirl ✕ サンリオピューロランド “ファンファンライブ!” ~俺たちめっちゃKAWAII☆~』を11月26日にサンリオピューロランドにて開催した。
9月から10月にかけ、全国9カ所で精鋭たちにラブコールを送ったツーマンツアー『LOVE ✕ CALL TOUR 2023』を完走。さらに11月1日には全曲「告白」をテーマにしたコンセプチュアルな『告白e.p.』をリリースするなど、脂の乗った怒涛の活動を展開中のreGretGirl。その仕上がりを現場でさらに磨き上げ、来年1月に幕を開ける『忘れたくないワンマンツアー“World with you”』へと繋げるための助走期間ともいえるこのタイミングでのライブは、一本一本がバンドにとって大きな意味を持つに違いない。それだけに、異色のコラボレーションとなる本公演の発表はファンを少なからず困惑させたことだろう。
以前、ドン・キホーテとのコラボレーションにより「Miracle Shopping ~ドン・キホーテのテーマ~」をカバーし、ステージに公式キャラクター・ドンペンを招いたこともある彼ら。しかし、今回のライブ前の時点では、サンリオとの間に縁もゆかりも親和性も見えてこなかったのが正直なところだ。果たして、生活感を漂わせる言葉選びで失恋や片思いの痛みを描いてきたreGretGirlが、ファンシーな世界観でグローバルに笑顔を届けてきたサンリオのキャラクターたちといかに交わるのか。開演前のホール内には、単なるライブへの期待とは別種のドキドキ&ワクワク感が充満していた。
16時35分、おなじみのSEをバックに十九川宗裕(Ba)、前田将司(Dr)、少し遅れて平部雅洋(Vo/Gt)の3人がステージイン。平部は、サンリオのキャラクターを模した思い思いのカチューシャを身につけるオーディエンスたちを指し、「その調子で最後まで、可愛く楽しく行きましょう!」と声を上げる。オープニングを飾ったのは、本日の公演名にも冠された「KAWAII」だ。軽やかにスウィングするアンサンブルと平部の突き抜けるようなハイトーンボイスが響き渡る。
続く「ピアス」は、十九川が奏でるベースラインがダイナミックに唸り、楽曲の疾走感をさらに加速させる。「サムデイルーザー」ではギター&ベースのコンビネーションが問われるユニゾンリフをバッチリ決めてみせ、改めてバンドの好調ぶりを感じさせた。
この日最初のMCでは、「今日は俺たちも雰囲気違うでしょ?」と、平部が人生で初めて巻いたという赤いスカーフをアピール。そして、この日ならではのスペシャルゲストとしてハローキティ・ポムポムプリン・ポチャッコをステージに招き入れる。悲鳴にも近い黄色い声が上がり、メンバーは「俺たちより歓声デカい」と苦笑い。当日会場に設置された応募箱に寄せられたメンバー&キャラクターたちへの質問に答えるQ&Aコーナーでは、「女の子がカラオケで歌っていたら可愛いreGretGirlの曲」として「KAWAII」が挙げられたり、「reGretGirlに加入したいですか?」という質問にキャラクターたちが一斉に挙手するシーンに和まされた。
再び楽器を構えた3人は、「出来立てのポップコーンはいかが?」という平部のセリフに続き、なんとおなじみのあの楽曲「ハローキティ」をカバー! ベースソロ&ギターソロも交えたreGretGirl流のロックアレンジに合わせ、キャラクターたちもキュートすぎるダンスを披露。ここでしか見られないスペシャルなステージに、誰もが思わず笑みを浮かべてしまう。
華やかなコラボレーションを終えると、平部はスカーフを外しストイックなモードへ。「ポムポムプリンの曲をやります」と放たれた「pudding」、片想いのこじらせ感をポップかつ多彩なサウンドスケープで表現する「マイフェアレディ」、大きなハンドクラップが巻き起こった「ハングオーバー」。彼らの真骨頂ともいえる切ないすれ違いラブソングの連打が、ライブハウスと変わらぬ熱気を生み出していく。
「ポチャッコのものさしを愛用してた」(十九川)、「使ってるキャッシュカードがけろけろけろっぴ柄」(平部)といったサンリオとの思い出エピソードを挟んだ次なるセクションは、この日のハイライトのひとつだったのではないだろうか。「バブルス」で平部が複雑なギターリフを演奏しながらのラップを見事にこなしたかと思えば、「グッドバイ」では十九川の洒脱なスラップベースが炸裂。ゆったりとしたアレンジとメロディが雄大な「ワールド」は、ミドルなテンポを保ちながら巧みに情景をコントロールする前田のリズムワークが光る。サンリオの色鮮やかな世界に呼応するかのように、彼らの楽曲の幅広い魅力があふれた3曲だ。シンプルなスリーピースギターロックバンドの枠に収まらない懐の広さに、思わず圧倒されてしまう。
「聴き」のモードに切り替わったフロアに届けられたのは、「月の色」「tear」の2曲。温かい歌声が会場中を包み、それぞれの思いを解き放っていく。平部の言葉に、思わず涙を流すファンの姿も散見された。
さて、いよいよライブも終盤。「こっからもう一度ギアを上げていきますけど、みんな大丈夫でしょうか!?」というアジテーションから、『告白e.p.』のオープナー「ページワン」が投下され、バンドは再び前のめりな熱い演奏を再開させる。クライマックスに向けて高まっていくフロアのボルテージは、本編ラストに披露された代表曲「ホワイトアウト」の大合唱でピークに! 手放しでマイクを客席に委ねる平部の眼差しからは、ファンとバンドとの揺るがぬ信頼関係を窺うことができた。
アンコールでは、平部がハローキティ、十九川がポチャッコ、前田がポムポムプリンのカチューシャを身に付け登場。「KAWAIIの定義を決めました。自分らしくあることです! 男も女も関係ない、ここにいるやつみんなKAWAII!」という高らかな宣言とともにこの日2度目の「KAWAII」「ハローキティ」を再登場したキャラクターたちとともに叩き付け、ハートフルなムードでライブの幕を閉じた。
終わってみれば、全19曲にわたるボリューム満点のセットリスト(平部曰く「ファンシーで可愛い空間に合う元気いっぱいなセトリ」)で、時折ロケーションを忘れさせるようなアクセル全開のライブとなった本公演。リリースされたばかりの『告白e.p.』が全曲披露され、そのどれもがショーの場面転換となる重要な局面に配置されていたのも印象に残った。絶え間ない創作と実演の繰り返しによって成長するロックバンドの真髄とも言える姿が、まさかこの場所で見られるなんて!
reGretGirlが響かせるロックサウンドと深くまで突き刺さる言葉は、サンリオのキャラクターたちの柔らかなタッチと一線を画しながらも、ブレないまっすぐな表現をもってファンの心に寄り添うという点では共通しているといえるかもしれない。イレギュラーな環境だからこそ、バンドの強固な軸が色濃く感じられた一日だった。
文=サイトウマサヒロ 撮影=宇都宮
(c)2023 SANRIO CO., LTD. APPROVAL No.P1512011

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