世界征服の実現へ向け、BAND-MAIDが
振り返る世界最高峰のフェス『ロラパ
ルーザ』出演と10年の活動

日本国内のみならず世界各地でお給仕(ライブ)し、ファンであるご主人様、お嬢様を熱狂させているバンド、BAND-MAID。2023年8月にはアメリカ3大フェス『ロラパルーザ2023』にも出演。ケンドリック・ラマー、ビリー・アイリッシュ、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、NewJeansら超大物と一緒にその名を並べた。しかも同フェスへの日本人アーティストの出演はX JAPAN以来、13年ぶりだった。そんな快挙を達成したBAND-MAIDが11月26日(日)、横浜アリーナで『10th ANNIVERSARY TOUR in JAPAN』のファイナルを迎える。今回は、メンバーの小鳩ミク(Gt.Vo)、SAIKI(Vo)に、『ロラパルーザ2023』のことや横浜アリーナでの日本ツアーのファイナルへの意気込みについて話を訊いた。
小鳩ミク(Gt.Vo)
――世界最高峰のフェス『ロラパルーザ2023』でのパフォーマンスはいかがでしたか。
小鳩​:マネージャーから「出演が決まりました」と聞いたときは冗談だと思いましたっぽ。もしそうだとしても「それは私たちが知っている、あの『ロラパルーザ』ですか?」と疑いましたっぽ。大きなニュースがあるときはいつも、マネージャーがシリアスな雰囲気で「ちょっと大事な話があるから……」と話を切り出すんですっぽ。
SAIKI:そのときも「ちょっとみんな座って」と緊張感のある感じで喋り出して。そうしたら「嬉しいお話が! 『ロラパルーザ』が決まりましたー!」と言うんだけど、話が大きすぎてみんな「ん?」と無反応(笑)。驚きのあまり正解のリアクションが分からなかったんですよね。
小鳩​:実際に現地へ行ったら、会場だけではなくシカゴの都市全体でフェスを盛り上げている印象で、街全体が会場みたいなイメージなんですっぽ。今まで経験したことがないフェスの雰囲気で、私たちは「世界征服」を目標に活動しているので、世界最高峰のフェス出演を果たしたことで、その階段をまた一段、上がれた気がしますっぽ。
――8月にリリースされたシングル曲「Shambles」にも<幻想さえ現実にして>という歌詞がありますし、「世界征服」とか、そういう夢や目標を口に出すことの大切さを感じます。
小鳩​:「世界征服」はもともと途方のない夢として語っていたんですっぽ。実際、具体的に「実現するぞ」というイメージではなかったんですっぽ。こうやって結成10周年を迎えて海外にたくさん行けるようになるのも最初は想像もしていなくて。だから後々、こうやって宣言していくことで、現実的に可能性が広がるんだなっていうことにもあらためて気付かされましたっぽ。
SAIKI:「えるために言おうよ」というマインドより、「言ったもん勝ち」の方が強いですね。実現できなかったとしてもそれはそれで、話のオチにはなりますし。
SAIKI(Vo)
――ただBAND-MAIDの楽曲自体、近年、そういうポジティブなメッセージが伝わるものが増えている気がします。
SAIKI:確かに「Shambles」も、アニメ『ケンガンアシュラ』Season2 エンディング主題歌(Netflix)の世界観に合わせて、「どんなことでもがんばりたい」という気持ちの内容になっていますし、コロナ禍になってからそんなポジティブなメッセージ性を持つ曲が増えてきたと思います。
――コロナ禍以前はどうでしたか。
SAIKI:それまでは「お給仕に重きを置いているから、そのときに出会えた人が楽しめたら良い。そういう曲を作るのが自分たちのスタイル」という感じでした。だから楽曲もそこまで深く意図を含めないよう、敢えて意識していたところもあります。聴いてくださる方がそれぞれの捉え方で楽曲を楽しんでくれたらなと。でもコロナ禍、それまで「お給仕が私たちのすべてだ」という感じで活動していたのに、お給仕ができない、やりたくてもできない状況になって、「これってこんなにつらいことなんだ」とメンバーとも話すようになって。そこから、いろんな人の悲しみや苦しみにも深い理解を向けていくようになりました。
小鳩​:「どういう楽曲を出したら、ご主人様、お嬢様が喜んでくれるだろう」「みんなの苦しい気持ちをどうやったら笑顔に変えられるだろう」とか考えるようになりましたっぽ。コロナ禍だからこそ届くメッセージ性を曲に入れていきましたっぽ。
SAIKI:それまでは、楽曲にメッセージ性を強く入れるのはちょっと恥ずかしさもあったよね。「そこまで言わなくて良いかな」って感じで。でも「そうじゃない。こんなに落ち込んでいる世界、知らなかった」となったんです。そのタイミングで自分たちもどこか大人になれた気がして。照れ臭さも減りました。
小鳩​:「そろそろ言っていっても良いんじゃない」となったんですっぽ。お給仕が中心であることは変わらないけど、もっと直接的な表現を大事にしていこうと。「オラオラオラ」という感じでやっていく時期から、ちょっと成長したんですっぽ。
SAIKI:私たちは見た目でナメられるところもあるし、「絶対にギャフンと言わせてやる」という考えがあったから。だから、「私たちは、私たちだから」という雰囲気を出して必死に世界観を作っていましたね。
小鳩:うん、「まだまだ。まだ足りないっぽ。もっと詰め込むっぽ」と。みんなで「負けたくない」とか言ってたけど、あらためて振り返ると、あのときはなにに負けたくなかったんだろうって思いますっぽ(笑)。とにかく「負けちゃダメだ、負けちゃダメだ」と言ってましたっぽ。
――それが今や世界を熱狂させるバンドになりましたよね。『ロラパルーザ』まで出演して、もうナメられることはないですよね。そんなBAND-MAIDが11月26日(日)、『10th ANNIVERSARY TOUR in JAPAN』のファイナルとして上がるステージが横浜アリーナです。
SAIKI:3月からツアーをやってきて、最初は「本当に10年なのかな」と思っていたんです。あまり実感がなくて。だけどいろんな会場で、たくさんのご主人様・お嬢様の顔を見て、久しぶりの人もいれば「初めまして」の方もいらっしゃって。徐々に「10年も活動をやってきたんだな」という気持ちが湧いてきました。なにより私たちも、お客さんもいろいろ複雑な感情があるので。
――複雑な感情とはどういうことですか。
SAIKI:嬉しさ、楽しさはもちろんだし、「BAND-MAIDのお給仕をやっと見ることができた」という気持ちの方もいらっしゃったはず。だって、ハードロックを聴いて泣いているんですから。
小鳩:いやいや、言い方っぽ(笑)。
SAIKI:ハハハ(笑)。でもハードロックって泣くような音楽ではないじゃないですか。それなのに感極まってくれて、「そんなに待っていてくれたんだ。待たせてごめんね」と。そういうぐちゃぐちゃな感情をぶつけて、最後は笑顔でツアーを終えたいですね。
小鳩​:私たちにとって横浜アリーナは、会場の規模としてはこれまでで一番大きいですっぽ。私たちが「世界征服」するためには絶対にやりたい会場ですし、そこに立つことができる興奮がすごくありますっぽ。最高の日にしたいのはもちろんですし、最高の10周年の締めくくりにしたいですっぽ。今まで見せたことがないBAND-MAIDを見せますっぽ。
取材・文=田辺ユウキ 撮影=ハヤシマコ

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