CHiCO

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【CHiCO インタビュー】
変わっていかないとダメだし、
生きていれば自然と変わっていくもの

今春のZeppツアーをもってCHiCO with HoneyWorksの活動を一時休止し、ソロアーティストとして始動したCHiCO。ソロで初となるCDシングル「エース」はTVアニメのタイアップ曲ながら、現在の彼女自身の心境も重ね合わせた等身大のロックチューンだ。よりリアルで共感を呼べるメッセージを携え、CHiCOが新たな一歩を踏み出す。

自分が持っていないものに
憧れて悔しくなることがある

配信シングル「光のありか」(2023年7月発表)でCHiCOとしてのソロ活動を始動されましたが、CHiCO with HoneyWorks(以降、チコハニ)の時と比べて、どんな変化を感じられています?

自分が作品にかかわれている実感が、よりいっそう持てるようになりました。もちろんチコハニでも歌い方や歌詞を自分の中で噛み砕くことで届けられることもたくさんあったんですけど、ソロとしての1曲目ということで「光のありか」では作詞にチャレンジしたんです。曲を聴いた時から歌いたいメッセージは決まっていたので、“ソロCHiCO”にかかわるスタッフ全員で話し合いながら制作して、もちろんチコハニも大好きだから、チコハニのデビュー曲「世界は恋に落ちている」(2014年8月発表)のフレーズを入れ込んだり。その結果、ファンの方々からも“チコハニのことを大事に思っていることが伝わってきた”とか“チコハニで培ってきたものがソロCHiCOでも感じられた”と言っていただけて嬉しかったです。

まさに「光のありか」は新しい始まりを感じさせる曲でしたが、今回の「エース」も前向きなパワーがあふれていますよね。そのあたりは作詞作曲のDECO*27さんにもリクエストされたのでしょうか?

歌詞に関してはDECO*27さんにお任せしていました。ただ、楽曲に関してはTVアニメ『シャングリラ・フロンティア』のエンディングではあるけれど、エンディング感は意識していただかなくていいと。私のソロとしての1枚目のシングルなので、勢いのあるものにしてほしいというオーダーはお伝えしていました。そしたら、とんでもなくカッコ良いロック曲に仕上がって、むしろアニメチームは困惑したんじゃないかと思います(笑)。私は学生の頃からDECO*27さんの大ファンなんです。なので、“初のソロCDを出すにあたり、もし良ければ…”とお願いしたら、“CHiCOさんのためならやりますよ”と快諾してくださって。めちゃくちゃ幸せでした! 特にDECO*27さんの歌詞の紡ぎ方が大好きなんです。

タイトルの“エース”はゲーム用語が由来だそうですね。

FPSゲームのチーム戦で、敵をひとりで全滅させることを“エース”と呼ぶので、それがもとになっています。『シャングリラ・フロンティア』の主人公はB級ゲームの達人で、そこで培ってきた知識を活かし、人気のA級ゲームで頂点を目指していくというキャラなんです。私自身もゲーム配信をやっているくらいゲームが好きなので、“この世界観でゲームがしたい!”って共感しながら原作コミックも読めました。主人公は“自分が楽しければ、何だって全力でやる!”という思いきりの良さがあって、そこにソロになって一発目のCDという気持ちを絶妙に乗せた歌詞をDECO*27さんが書いてくださったんですよね。作品に寄り添いつつ“ぶつかってやるぜ!”的な前向きな歌詞を紡いでくださったので、“DECO*27さんってエスパーなのかな?”って思いました(笑)。DECO*27さんに初めてお会いしたのはラジオのゲストに来てくださった時なんですけど、その時に“どうやって作詞されているんですか?”とうかがったら、“人となりやしゃべり方を見ていて、それを歌詞に反映したりします”っておっしゃっていたんです。だから、ラジオの時点で結構見抜かれていたんでしょうね(笑)。

“前に突き進んでいこう!”という意気込みにあふれた歌詞で、ソロ活動を始めたばかりの今のCHiCOさんにはぴったりですもんね。

まさに《絶望も割と上等》とか《唸るぜってーやってやるって鼓動が》とか、“誰になんと言われようが、自分が良ければいいんだから突き進んでやるよ!”みたいな感じのオラオラ感って、ソロ始動したばかりの自分にはすごく大事なものなんです。《諦めちゃうほうがつらいや》とか《いつだって本気であれ》という気持ちも、まさに自分が“ソロ始動をするぞ!”となった時に持っていたものだったので、レコーディングでも気持ちを込めながら歌えました。

個人的に《そうやって変わることを嫌って思うの?》と歌うCメロが非常に印象的だったのですが、今、変化の真っただ中にあるCHiCOさんは、この“変わる”ということをどうとらえています?

変わることに関しては、何も抵抗はないです。むしろ、変わっていかないとダメだし、生きていれば自然と変わっていくものだと思うんですよ。もちろん自分が一番高鳴った瞬間に触れた姿が、一番強く心の中に焼きつくものなんだろうけど、私は根本が変わっていなければ届け方はいくら変えてもいいと思っているタイプなんですね。確かにソロになるにあたって、賛否両論はあると覚悟していました。それでも変わっていかないと、今後、自分が前を向けないから、いつか分かり合える時まで、いったんここでお別れしようっていう、このCメロのフレーズはすごく刺さりますね。決して見放すわけではなく、いつかどこかで会おうっていう。自分がまたチコハニとして活動再会するためにも、CHiCOというソロのアーティストを前に進めるためにも、“変わっていく今”が必要だから“私はどう言われようが進んでいくよ!”って感じです。

その“変わっていく今”は、レコーディングでも体現されていったんでしょうか?

そうですね。Aメロでがなってみたり、逆にちょっと気の抜いた歌い方をしてみたり、ソロならではの表現はしているので、そのあたりの違いを楽しんでほしいです。ただ、楽曲的にはすごくテンポが速くて(苦笑)。滑舌的に頑張らなきゃいけない箇所が結構多かったから、ヴォイストレーニングの先生にお願いをしてリズムキープやリズムの取り方など、いろいろとレコーディングまでに練習していきました。《痛いくらいのEnvyが叫ぶんだよ》という頭サビも、最初はサビと同じ感じで力強く歌っていたんです。そうしたら“逆にここは抑えて、心の中に何か秘めている感じで落としてください”っていう真逆のディレクションがきて、そこでDECO*27さんのディレクションを知った気がしましたね。

言ってみれば、ひたひたと内から湧き上がる熱みたいなイメージですよね。ちなみに“Envy”には“妬み”とか“羨ましさ”といった意味がありますが、今、CHiCOさんの中にある“Envyって何でしょう?

えっ!? いろいろありますけど…やっぱり、自分が持っていないものに憧れて悔しくなることはあります。自分より優れた歌声とかパフォーマンス、おしゃべりもそうですし。それこそゲーム配信の世界で頑張っている方々も、単に話しながらゲームをしているだけじゃなくて。それができるのってすごいことなんだって、自分で配信を始めたからこそ感じています。

あの、これだけ歌手として活動されているCHiCOさんが、そんなにおしゃべりを鍛える必要ってあります?

でも、私ってキャラクター的に寡黙ではないんですよ。雰囲気で何かを語るタイプではなくて、むしろしゃべりたいんです。自分の中でいろいろと考えているものがあるから、ラジオしかり、こういったインタビューしかり、何とか言葉にして伝えたいと思っていて。ただ、そこでうまく言葉をつなぎ合わせられないから、おしゃべりが上手な人たちを見ると“いいなぁ”って痛いくらい叫んでしまうんです。自分の想いをちゃんと伝えられることは、分析力も高いし、自分の中で噛み砕いて消化するのもうまいってことじゃないですか。そういった能力は、音楽活動にも、自分自身の人生にも、活かせるんじゃないかって思うんです。

だから、心の内をうまく言語化できる人に憧れるんですね。トークに定評のある宮島咲良さんと親しいと、コラムの項目でおっしゃっていたのも納得です。

もう、咲良さんはほんとにすごいです! 何か相談すると、ピシャッと返ってくるんですよ。否定的な意見でもちゃんと理由を説明して“それはダメだよ”って言ってくれるので、ずっと友達でいたいです!

裏を返すと、CHiCOさんは否定もOKなんですね。同意して慰めてもらえさえすればいいわけじゃなく、耳の痛い意見もちゃんと解決策として受け入れられる。

同意を求めるだけなら、逆に話さないと思います。否定されたとしても解決したいことをしゃべることが多いんじゃないかな?

なるほど! ちなみに「光のありか」のMVはCHiCOさんのビジュアルがお顔までしっかり映されているということで話題になっていましたけれど、「エース」のMVはどんな仕上がりに?

すごくカッコ良いです! 衣装はレースだったりレイヤーっぽかったりして可愛い要素もあるので、カッコ良いと可愛いが合わさった感じかな? 楽曲がカッコ良いので私自身かなり動いているんですけど、実は“自由に動いていい”という指示が一番怖いんですよね。今まであんまりやってこなかったから。今回も自分的には結構動いたつもりだったんですけど、出来上がりを観たら“もっと大げさにやって良かったな”と反省して…でも、エフェクトも入っていたりするのでカッコ良いですよ! あとは、私が一生懸命にリップシンクをしているのと、撮影中に虫が盛大に手に当たって叫んだというエピソードもあります。しかも、ちょうどスローで撮っていた時だったので、叫んでる顔もスローで撮られたという。あの映像、観させてもらえるのかな?(笑)
CHiCO
シングル「エース」【CHiCO盤】(CD)
シングル「エース」【アニメ盤】(CD)

OKMusic編集部

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