【Various Artist スタジオジブリ
トリビュートアルバム
『ジブリをうたう』 リコメンド】
名曲が輝く
トリビュートアルバムが到着！
音楽で感じるスタジオジブリの世界

　収録されている全曲を聴いてなんとなく感じたのだが、ジブリ作品の音楽にはどこか一貫したトーンのようなものがもしかしたらあるのかもしれない。作詞作曲者、演者がまちまちなので“一貫した”と称するのが奇妙なのは承知の上だが、血の通ったオーガニックなテイスト、心をやさしく満たしてくれる牧歌性、リスナー各々が胸の内にしまっていた何らかの記憶を喚起する郷愁…というような印象が今作に収録されている全曲に対して当てはまる気がする。忙しない日常生活の中で忘れてしまいそうになる大切な何かに立ち還らせてくれるのがジブリのアニメーションであり、あの世界に流れる穏やかな空気で深呼吸させてくれるのが作品を彩ってきた音楽たち――このように紹介しても、決して言い過ぎではないように思う。ジブリ音楽はアニメーションのサウンドトラックとして大きな役割を果たしているわけだが、我々の日々の暮らしを潤すサウンドトラックにもなり得る。このトリビュートアルバムは、そんなことにも気づかせてくれた。

　本作は11月1日にリリースされたが、今後の気になる動きが発表されている。まず、今作のアナログレコードが2024年1月10日に発売されるのだという。重量盤2枚組という形態となるそうなので、温かなアナログ音質で鑑賞したいリスナーにとって宝物のようなアイテムとなること間違いなしだ。アナログレコードのLP盤は、ジャケットがCDと較べてかなり大型になる。宮崎吾朗が描き下ろしたジャケットイラストをこのサイズで部屋に飾れるのは本当に嬉しい。耳はもちろん、目でもジブリの世界に浸ることができそうだ。アナログレコードの予約は各ECサイトでスタートするそうなので、確実に手に入れたい人には早めに情報をチェックすることをお勧めしておく。そして、武部聡志プロデュースによるコンサートが2024年3月27日に東京国際フォーラム ホールAで開催されることも決定した。『ジブリをうたう』に参加した全アーティストの出演を前提とした公演ではないそうだが、スタジオジブリ作品を彩った音楽の世界をライヴパフォーマンスで再現する一夜限りのコンサートとなる。この貴重な機会を見逃さないでいただきたい。