ABSTRACT MASH、Enfants、Newspeakが
運命の共演を果たした『Hardenbergi
a vol.1』レポート

『Hardenbergia vol.1』2023.9.4(MON)大阪・心斎橋Music Club JANUS
9月4日(月)、大阪・心斎橋にあるMusic Club JANUSにて『Hardenbergia vol.1』が行われた。この『Hardenbergia』は、“ありそうでなかった”組み合わせの妙によって起こる化学反応に期待を込めたスリーマンイベントで、これが初開催。今回はABSTRACT MASH、Enfants、Newspeakの3組が集結し、“運命的な出会い”、“奇跡的な再会”という花言葉を持つ植物・ハーデンベルギアの名を冠した企画にふさわしいライブを繰り広げた。ステージも客席も音楽のミラクルに沸いたイベントの模様を順に紹介する。
Newspeak

Newspeak 撮影=Ryotaro Kawashima

『Hardenbergia』の幕開けを飾るのは、出演者へのリスペクトも込めた曲「Bonfire」。そのスケール感も柔らかな歌声も、音を積み重ねた先に待つサビの広がりもたまらないが、Rei(Vo.Gt)が「大阪、歌えますか!」と呼びかけ、次は「Wide Bright Eyes」と「24/7 What For」を立て続ける挑発へ。荒ぶるコーラス、耳に残るギター、牙をむくボーカル、体を揺さぶるリズム……。フロアには拳も歓声も上がり彼らの煽りにこたえる。

Newspeak 撮影=Ryotaro Kawashima

と、ここでReiが前日まで行われていたABSTRACT MASHとのスプリットツアーを振り返り、またEnfantsについても「かっこいいバンド」と述べ、「最高の1日になると思います」という予言から、サマーチューンでクールダウン&ひと筋縄ではいかない彼ららしいラブソングへ。清涼感あるメロディで人々の手を左右に振らせて一体感を生み、Reiもマイクを観客に向けて楽しさを共有。包み込む歌声でる大きな愛が曲の中へ引き込む。

Newspeak 撮影=Ryotaro Kawashima

だが続くMCは、Reiが関西弁で秘密を公開する笑い多めの時間に。すると話の肝にもなった人気曲「Leviathan」で再度パワーに満ちたプレイで突き抜け、今度は踊れる2曲を連投。エッジーなサウンド、ファンキーなビート、懐かしさもあるテクノなど、多彩な要素で押し寄せる勘所はクラップも曲後の拍手も大だ。そして「最高やで!」(Rei)とファンとのやり取りをはさみ、手拍子とコールを背景に最後は「Blinding Lights」で再びスタジアムの感触。懐深い演奏に触発された会場からは歌が聴こえ、壮観な景色が浮かんでついにゴール。高揚した人たちの熱視線に送られてメンバーは舞台をあとにした。

Newspeak 撮影=Ryotaro Kawashima

Newspeak 撮影=Ryotaro Kawashima
Newspeak 撮影=Ryotaro Kawashima
Enfants
2022年3月から約1年間、ライブのみの活動を続けてきた松本大(ex.LAMP IN TERREN)率いるEnfants。彼らは今年4月に、1st EP「Q.」もリリース。さらに今回の『Hardenbergia vol.1』にも参戦することに。となれば、まずは「Q.」からの「HYS」でスタート。パワフルかつ不敵にボーカルもビートもバーストさせたら、一転、しなやかに次の曲を奏でてオーディエンスを夢の中へ誘うが、翻弄するように叫びへと遷移する。
Enfants
畳みかけて歪むロックに、体を折るようにして絞り出す声に、エモーショナルに迫りくる旋律などで魅了。早くも満足感が漂いだしたところで、折り返しのブレイクに。松本がABSTRACT MASH・村松拓(Vo.Gt)との思い出や、今朝失敗したエピソード、バンド名に込めた思いといった話を次々に繰り出し、最終的に「一人ずつ抱きしめてやろうか(笑)!」のひと言にたどり着いたあとは、シームレスに響かせる「Autopilot」と新曲でゆったりと後半戦へ。
Enfants
耳心地のいい歌声にのせる内省的な詞は観客の心に届いてイノセントなムードのなか集中も高まる。そして始まるスパートはもちろん「Q.」からの曲。キャッチーで爽快な「Drive Living Dead」では、ボーカルもギターも軽やかに広がって明るい空気を醸成するが、勢いそのままに「Play」へと移れば、色を変えて混沌とふてぶてしく。怒りを音楽に昇華し、重く鋭く全員を打ち抜いて終演。冷めない熱をフロアに残し、今夜のトリへとバトンをつないだ。
Enfants
Enfants
Enfants
Enfants

Enfants

ABSTRACT MASH
今年3月に約13年ぶりのアルバム『SIGNALS』を発表した4人が、Newspeakとのスプリットツアー直後に初開催の『Hardenbergia』に登場するとあり、観客の期待は膨らむばかり。そんななか最初に鳴らすのは『SIGNALS』から「Shelf Song」と「紫陽花を描こう」で、息を吹き返したバンドを力がみなぎるプレイで豊かに表現し、小林雄剛(G)も梨本恒平(B)も拳を突き上げる。脈打つビートにワクワクは止まらず、村松のボーカルも鮮明に耳に伝わり、誰もが思い思いに体を揺らせば、村松も気分よく「大阪、堪能しております」と添え、そこからどっしりと流麗に「アスピリ」、さらに「Never Be Alone」と「Tomorrow」でもっとアルバムの中心部へ。
ABSTRACT MASH
豊潤なバンドサウンドは時にポップで、一体となって弾む人々のシルエットは楽しさの証し。温もりや光が宿る穏やかな時も流れる。しかしMCでは盛り上がり過ぎて起きたツアーの朝の惨事などを暴露して爆笑を引き出すものの、「Silent Wheel」で曲に戻れば、じわりと熱を帯びてエモーショナル。加えて村松は次の曲の前に、ちょっとしたいい話から突如のハイテンションで「すべてをFor you! For me‼」のコール&レスポンスを起こして全方位をビッグスマイルに。
ABSTRACT MASH
2011年の活動休止前のナンバーをクラップと疾走感を伴って2つ続け、締めくくりは「Crash a Moment」。ガツンとくるベースや曲の緩急と壮大さは、まさにラストにぴったりの見ごたえと聴きごたえ。メンバーが向き合って破顔する様子も目に焼きついてライブはついに終了……と思われたが、なんと予定外のアンコールが。
「不朽の名作と言われています(笑)」(村松)と選んだのは説明どおりの「1㎜タール」。会場は余裕で沸点を越え、歓声と歌声とクラップにあふれ、一人残らず弾けて大団円。記念すべき『Hardenbergia vol.1』は大きな興奮が渦をまくなか幕を下ろした。このタイミングだから、この3組だから、見えたもの聴こえたものが多かったに違いない『Hardenbergia』。第2回の開催が今から待ち遠しい。
ABSTRACT MASH
ABSTRACT MASH
ABSTRACT MASH
ABSTRACT MASH
ABSTRACT MASH
取材・文=服田昌子 撮影=ハヤシマコ(Enfants、ABSTRACT MASH)、Ryotaro Kawashima(Newspeak)

SPICE

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