「これが『新テニミュ』だぞ!」とい
う感覚を思い出して! ミュージカル
『新テニスの王子様』The Third Sta
geゲネプロレポート

2023年10月6日(金)TOKYO DOME CITY HALLにて、ミュージカル『新テニスの王子様』The Third Stageが幕を開けた。今作で描かれるのは「U-17 WORLD CUP(アンダーセブンティーンワールドカップ)」、世界各国との戦いである。我らが日本代表チームが国際色豊かなキャストたちと共に繰り広げる新たな“熱戦”、その模様をレポートしたい。
『テニミュ』の世界で活躍していた中学生たちが、高校生と共に日本代表としてさらなる高みへと挑んでいく姿を描く『新テニミュ』、第3章の舞台はオーストラリア! プレU-17 WORLD CUP(アンダーセブンティーンワールドカップ)となるエキシビジョンマッチを経てのグループリーグ、そして決勝トーナメントと盛りだくさんのメニューが観客を待ち構える贅沢な内容だ。
今作の見どころはやはりアメリカ、ドイツ、フランスといった外国チームの参戦。次々に登場する個性豊かな選手たちは、まさに原作からそのまま飛び出してきたようなビジュアル。個々のプレイスタイルも私たちの予想を遥かに超えるアイデアに満ち溢れ、しかも最後はきっちりとテニスというスポーツの楽しさ、素晴らしさに落とし込まれているのは、さすが『新テニスの王子様』である。原作を読んでいる人には「いよいよ“あれ”が目の前に!」という興奮が、そして本作で初めて新テニワールドに触れる人には「こんなの見たことない!」というサプライズが怒涛のように押し寄せてくるはず。
アメージングな対戦の中、日本チームの面々も確実にまた一歩、進化を遂げていく。特に中学生メンバーは強い相手に揉まれてこその成長が顕著で、そんな彼らを時に突き放し、時に鼓舞し、しっかりと引き上げ見守り、愛情を持って育てている高校生メンバーの在り方もいい。シリーズ史上最も多いと言われる試合数、その様子をアクティブに描きながら、要所要所で特定の人物にフォーカスしその心情も丁寧に掬い上げていく。個人があってこそのチーム、チームがあってこその勝利——目の前で繰り広げられる試合の現実離れした展開と、そこから生まれる青春ストーリーのリアル、この絶妙なバランスが堪らない。
舞台上にいる人間だけでも存分にカラフルでダイナミックな世界観が創れるんだぞ、とばかりに、舞台装置は必要最低限のシンプルさ。また、ステージ前方が少し張り出していることで空間によりワイドな印象が生まれ、“世界の広さ”が体感で伝わってくるよう。頭上に国旗が掲げられ全キャストが群舞するセレモニー的なナンバーもまた、そんな雰囲気を盛り上げてくれた。
どの試合も全く異なる色合いで、それぞれのエンターテインメント性の違いもぜひ堪能して欲しいのだが、そこから決勝トーナメントの日本対フランス戦、越前リョーマ(今牧輝琉)vsプランス・ルドヴィック・シャルダール(DION)のシングル3に突入する流れもメリハリが効いている。互いのプライドを正面からぶつけ合った“ザ・テニス”、魂で挑む日本の侍とフランスの騎士の一騎打ちはひたすらに熱い。そして続く最終試合、真田弦一郎(吉田共朗)vsオジュワール・ドロン(才川コージ)のシングルス2は、太鼓の響きに彩られた“歌なし”の真っ向勝負! この展開も、滾った。
世界で活躍する若き日本人アスリートのニュースに触れることも多くなったが、ミュージカル『新テニスの王子様』The Third Stageはまさにリョーマたちもそういう“今”を生き、“今”を戦っているのだと思わせてくれる時代感がある。また、日本の2.5次元ミュージカルに当たり前に外国人キャストがジョインしている様子に、ジャンルとしてのさらなる可能性の広がりの予感が。「まだまだ序盤」と早くも次の対戦に思いを馳せ世界へ踏み出したテニスの王子様たちと一緒に、私たちもまだまだこの先の大きな夢へと手を伸ばしていきたいと思う。
会見コメント
■越前リョーマ役:今牧輝琉
約2年ぶりの『新テニミュ』本公演に帰ってこられて嬉しいです。リョーマくん、まさかのアメリカ代表になりました。見てくださいこの星条旗のジャージ! 自分自身、見慣れないです(笑)。キャラクターもキャストも国際色豊かで、稽古段階から刺激をたくさんいただいたのでこれはすごい舞台になるんじゃないかと思っていますし、稽古をしてきた僕らですら本番でどうなるか予想がつかない。みなさんと一緒にたくさん驚けるような素敵な舞台にできたらいいなと思います。今回のリョーマは仲間への想いやどれだけ周りの人に成長させてもらってきたかが大きく描かれていますので、そこも楽しみにほしい。また、久しぶりの『新テニミュ』の本公演なので、とにかく「これが『新テニミュ』だぞ!」みたいな感覚を観ているみなさんに思い出してほしいです。劇場の中はオーストラリアです! 本当にU-17 WORLD CUP(アンダーセブンティーン ワールドカップ)を観にきてるんだなという熱い気持ちで、ぜひ『新テニスの王子様』の世界のひとりになったつもりで観にきてほしいです。僕たちがたくさん頑張ってきたことをぶつけていきます!
■平等院鳳凰役:佐々木 崇
全員一丸となって稽古を走り抜けました。ここにいるザックも稽古序盤から長ゼリフを覚えていて、日本人キャストがみんな焦るということがありました(笑)。僕たちも今日ミュージカル『新テニスの王子様』The Third Stageがオープンするのが楽しみです。ミュージカル『新テニスの王子様』The Second StageからThe Third Stageと、とても色濃くバトンが渡ってきました。前作に出ていたキャストの想いも受けてさらに登っていきたいです。また、平等院はシリーズ全体としてのテーマ、“義”“強くあるとは”をとても担っている役だと感じていて、僕自身はそこを常に大切に演じていきたいです。通し稽古も初めて見る光景で、本当に今までにない舞台になっていると感じています。「ここは日本じゃないのでは?」と思うようなシーンもありますし、終演後には「観て良かった。明日も頑張ろう!」と思ってもらえるような舞台になっています。来てくださるお客さまと一緒にこの作品を楽しんでいけることを嬉しく思っています。
■ユルゲン・バリーサヴィチ・ボルク役:ザック・コバヤシ
舞台の経験はありますが、プロとしてステージに立つのは今回が初めてです。稽古が始まる前は「ファンのみなさまのために頑張らなきゃいけない」という気持ちがあり、緊張してうまくキャストの中に入れるかどうか不安だったのですが、みなさんが超優しく、いろいろ手伝ってくれたり教えてくれたので、今ではファミリーになった気持ち。とても感謝しています。ボルクはとても強くて真面目、ストイックなキャラクターですが、首につけているこのネックウォーマーはファンからもらったという設定があって、多分、ファンのみなさんのために頑張るというリマインダーなのかなと。彼のそういう優しい部分も観てもらいたいです。みなさんと一緒に頑張って稽古してきました。熱い試合をお届けしたいと思います。とにかく頑張ります!
手塚国光役:山田健登
稽古場でそれぞれのチームで向き合ってきた結果が今日から舞台上で出ると思います。早く届けたい気持ちはキャスト一同あったので、自分たちもすごくワクワクしていますし、お客さまにも楽しみにしていてほしいですね。原作の物語を知っている方も観に来てくださると思うんですけど、試合展開を知っている上で「次、どうなるんだろう?」とドキドキした気持ちで観ていただけたら。ドイツチームに入った手塚国光はまだ舞台で誰も演じたことがないという責任やプレッシャーはありますが、楽しみです。個人的な見どころは、青学(せいがく)でいつも手塚が部員たちに言っている言葉を手塚がボルクから言われるシーン。また新たな歴史が刻まれていきます。目を離さず最後まで応援していただけたら嬉しいです。
■プランス・ルドヴィック・シャルダール役:DION
僕は今回が初舞台で、右も左も分からず緊張もしているんですけど、稽古で頑張ってきたことを一生懸命やり、みなさまに楽しんでいただけたらなと思っています。長い歴史がある作品に新しいキャラクターとして出るということで、原作読者の方々のイメージを壊さないように、でも新しいものを見せられたら。原作漫画でもアニメでも見られない、歌ったり踊ったりしている王子をお見せしたいと思っています。プランスは王子なので、気品高く、誇り高く、ピシッとしたキャラなんですが、ルシャボウくん(リョーマ)との試合の中でだんだん熱くなっていくところがお互い中学1年生らしいなと(笑)。可愛らしい部分とかっこいい部分のギャップを感じていただけたら嬉しいです。僕自身子供の頃から観ていたミュージカル『テニスの王子様』の影響でテニスを始めたりもしました。僕が感じたあの感動やワクワク、かっこよさを客席のみなさんにも感じていただけたらと思います。
取材・文=横澤由香

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