MORRIE

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【MORRIE インタビュー】
いかに自分なりに
新鮮味を維持していくか?

“私”っていうものは、
僕の言葉では“Nowhere, Nobody”

MORRIEさんは“SOLITUDE=孤独”をどのようにとらえていますか?

そういう話をしちゃっていいんですか?(笑)

この記事のスペース内で収まるお話になるのであれば(笑)。

端的に言うと…って、それだと余計に誤解されそうですけど。“私とは何か?”という場合のこの“私”っていうものは、僕の言葉では“Nowhere, Nobody”なんです。何なのか分からないし、どこにあるのかも分からない謎の何か。これを解明したいというのが僕の最大の願望と言えます。今ここに存在していますが、何なのか、どこあるのか分からないが、“今ここ”に厳然と存在しているところの“これ”だけが在り、それが全てである。そこから見るとあらゆる現象は幻である…説明するのが難しいなぁ(笑)。『HARD CORE REVERIE』(2014年12月発表のアルバム)を出した時のキャッチフレーズが“Nowhere, Nobody, Go Under”でしたけど、この“私”という真理を追求して生きると、この世では“堕落”せざるを得ないということです。僕の思う“SOLITUDE”の本当の意味は、絶対的孤絶。本当の現実=真実としての。こうやって言葉にすると、同じふうな感覚を持っている人には通じてしまうのですが、言葉にすると真実を裏切ってしまうのでダメなんです。なぜならば、この“私”というのはこの私だけなので…というような話をたまにするんですけど、みなさんが記事にするのを苦労されているので、この話は端折ってください(笑)。

(笑)。孤独に関しては、「完璧な空」で歌っていますね。《孤独になれるでしょう/あなたは完璧な空》という一節がありますから。

この頃は、孤独の意味合いが違うというか。この曲が入っているアルバムが出たのはいつでしたっけ?

『ロマンティックな、余りにロマンティックな』ですから1992年です。

当時はワーズワースとかのロマン主義に対する批判みたいな文脈だったと思うんですが、神秘的に何かと一体化するっていうことに対して、“そうじゃないぜ!”っていうような。そういうニュアンスの頃なので、空と一体化するのを良しとするのではなく、批判しているんですね。空と一体化しても完璧ではない、そこには何か自己欺瞞があるというような。自己批判みたいなところもあります。

さまざまな時期に作った曲が収録されているアルバムですから、ご自身の物事のとらえ方の変遷を感じる部分もあるのではないでしょうか?

そうですね。恥ずかしい歌詞もあります。でも、歌詞を変えるわけにはいかない。『SOLITUDE』でやっている曲ばかりなので、今の歌で歌い直したいというのはありました。新曲は「訣別」と「Epinoia」です。どちらも最近のライヴでやっています。「Think Blue, Count Infinity」は、その次の曲の「完璧な空」への導入として作ったのでトラックとして分けてはいますが曲ではないです。『SOLITUDE』に来ている人たちは全曲分かると思います。

1曲目の「Melancholia III」と11曲目の「Epinoia」には波の音が入っていますね。

波音で始まり、波音で終わる。それぞれのタイトルが“Melancholia III”と“Epinoia”っていうちょっとした言葉のつながりみたいなことは、当初から考えていました。「Melancholia III」は、『光る曠野』に入っているので2019年。あのアルバムの時、1曲目にするつもりだったんですけど、録り終わってから何かが違う感じがして後ろのほうにしたんです。本来は1曲目にしたかったので、今回はそうするつもりでやり直しました。

「Melancholia III」は音の残響感、さまざまな要素の配置によって立体的な空間が構築されていますね。

はい。そこはいろいろ考えながら作っていきました。というか、考えながらというよりも直感的に感じたものを音にしていきました。フレーズで構築していくというよりも、4小節毎に色を塗っていく感じでしたね。

DTMの作業はもともとお好きなんですか?

1990年に1stソロアルバム『ignorance』をN.Y.で作った時に、プロデューサーのロリ・モシマンがアタリのコンピュータを使っていたんです。ソフトはキューベースで、作業をしているのを横で見ていました。日本に帰ってからMacを買って僕もやり始めて、それが結実したのが2ndアルバムの『ロマンティックな、余りにロマンティックな』です。あの時はサンプラーも買って、結構いろいろやっていましたね。

DTMを始めたのは、かなり早かったんですね。

まぁ、YMOとかに比べたら全然遅いですけど。でも、僕の周りでは早いほうだったと思います。めちゃくちゃのめり込んでやっていましたね。稚拙なところもありますけど、『ロマンティックな、余りにロマンティックな』は、ほぼ自分で打ち込みました。1995年に出たソロの3rdアルバム『影の饗宴』の時はバンド回帰したい想いが強くなっていた時で、基本的なことは僕が打ち込みましたけど、マニピュレーターに任せたところが多かったです。その後、10年以上の空白期間を経てCREATURE CREATUREを始めた時は、デモテープなど大もとの土台はコンピュータで作っていました。あの時はノーコンピュータのバンドをやりたかったので、コンピュータの作業はあくまでデモを作るためで、打ち込みには凝らなかったです。

今回の制作は久しぶりに打ち込みに没頭した制作ということですね?

はい。腹を括って、30年振りくらいに真剣な打ち込みに回帰しました。ロジックで打ち込みを仕上げて、プロトゥールスでオーディオ録音するというふたつのソフトを行ったり来たりでやっています。最新の音源ソフトを入手して、使い方を覚えたり、その音色をチェックするところから始まりました。そのために予定より2カ月ほど遅れましたが。自分のやりたいようにやるためには、やっぱりマニピュレーターに任せるよりも自分でやるほうがいいですからね。

OKMusic編集部

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