東京五輪世代のチーム8、東京ドーム
出演は伝説となる

 AKB48グループとしては過去にも東京ドーム公演は行なっているものの、メンバーたちにとってもグループ単独でのコンサートは、また違った喜びがあったのではないだろうか。とくに、高橋みなみや小嶋陽菜、峯岸みなみといった1期生にとっては感慨もひとしおだろう。

 MCで、高橋が「今年12月で結成9年目を迎えます」としみじみと語ると、小嶋が「ヤバいねー。私たち9年もやっているんだね」とハニカむ場面もあった。

 AKB48を牽引してきた1期生たちが結成9年目を前にして、かつての夢の舞台に立つ一方で、結成からわずか4ヵ月足らずで東京ドームデビューを飾ったチームがある。

“会いに行くアイドル”こと、「チーム8」の面々だ。

 全国47都道府県で行なわれたオーディションを経て、今年4月に各都道府県の代表メンバーで結成された「チーム8」。活動開始後はレッスンに励みつつ、“会いに行くアイドル”のコンセプトそのままに熊本や徳島、静岡など全国各地でイベントに出演。

 8月5日にはAKB48劇場とSKE48劇場で劇場公演デビューも果たし、HKT48指原莉乃とともに出演しているトヨタ自動車のCMでおなじみの『恋する充電プリウス ~恋するフォーチュンクッキー2~』などを観客に披露した。

 そして8月18日には先輩チームに混じって、東京ドームの舞台に立ち、AKB48の『10年桜』と、自分たちのオリジナル曲である『47の素敵な街』を熱唱した。

 先輩たちに比べると、ダンスをはじめとした技術の面に関しては未熟な部分も当然あるが、4万2000人の観客を前に見せた元気いっぱいのパフォーマンスには、AKB48の“明るい未来”が垣間見えた。

 平均年齢14.4歳のメンバーで結成された「チーム8」は、彼女たちがアイドルとして全盛期を迎える頃に、ちょうど東京五輪(2020年)が開催される。

 そういう意味では、この日のコンサートは今から6年後に“神公演”として振り返られるのはないかとひそかに思っている。すなわち、AKB48の結成メンバーである1期生と、“東京五輪世代”の「チーム8」が、東京ドームの舞台で交わった日としてだ。

 最後に、そんな「チーム8」の中でも、現時点でとくに注目しているメンバーに触れたい。それは、北海道代表の坂口渚沙だ。

 東京に次ぐ2番目の激戦区となった北海道オーディションを勝ち抜き、弱冠13歳にして「チーム8」のメンバーになった坂口だが、同チームの結成会見を取材した際に間近で見た、その吸い込まれるような瞳が強く印象に残っている。

 劇場公演ではセンターを務めるなど、早くもそのアイドルとしての才能の片鱗(へんりん)をうかがわせているが、今後のさらなる飛躍が楽しみだ。


三杉武 全国紙の記者を経てフリーに転身。芸能評論家として各メディア媒体で芸能事象の解説やコメントを手掛けている。アニメ、TRPG、プロレスなどにも造詣が深い。「AKB48総選挙 公式ガイドブック」では3年連続で論客を務めている。

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