『ジャージー・ボーイズ』主演の中川
晃教、Wキャストに花村想太を迎えた
フランキー・ヴァリ役を「一生、演じ
たい!」

フォーシーズンズの結成から成功、解散に至るまでを描き、「君の瞳に恋してる」など大ヒットナバーで構成されたミュージカル『ジャージー・ボーイズ』が、4年ぶりに大阪へやってくる。フランキー・ヴァリ役の中川晃教はそのままに、初のWキャストにDa-iCEの花村想太を迎え、11月3日(木・祝)〜6日(日)の期間、新歌舞伎座にて再演する。その後も11月10日(木)~13日(日)に博多座、11月26日(土)~27日(日)に愛知の日本特殊陶業市民会館ビレッジホール、12月3日(土)~4日(日)にあきた芸術劇場ミルハス 、12月10日(土)~11日(日)に横須賀芸術劇場と各地をめぐる。全国ツアー開幕を直前に控え、中川晃教が取材会を行い、本公演の魅力を余すところなく語った。
『ジャージー・ボーイズ』中川が所属するチームBLACK 写真提供:東宝演劇部
Sherry(シェリー)」「Can't Take My Eyes Off You(君の瞳に恋してる)」、「Walk Like a Man(恋のハリキリ・ボーイ)」など数多の大ヒットナバーで構成されたミュージカル『ジャージー・ボーイズ』。世界初演は2004年。翌2005年にブロードウェイに進出し、さらに翌年に『トニー賞』作品賞ほか3部門を受賞した。そして2007年に『グラミー賞』の最優秀ミュージカルアルバム賞を受賞。2008年にイギリスの『ローレンス・オリヴィエ賞』最優秀ミュージカル作品賞を受賞。2014年にはクリント・イーストウッド監督が映画化、日本でも高い評価を得た。
快進撃を続ける同作が日本に上陸したのは2016年のこと。演出は藤田俊太郎、フランキー・ヴァリ役の中川晃教をはじめとする日本人キャスト版で上演し、『第42回菊田一夫演劇賞』、『第24回読売演劇大賞』など数々の演劇賞を受賞。2018年の再演では初の全国ツアーを行い、大阪は新歌舞伎座に初お目見えした。
中川晃教
そしてコロナ禍での上演中止を経て2022年、10月29日(土)に東京・日生劇場での公演を終え新歌舞伎座に再登場する。約4年ぶりの大阪公演に「やっと、という感じです」と中川。「初演から携わっている藤岡正明さん、2018年版に出演されたspiくん以外は大阪公演は初めてで。カンパニーみんなでいい意味で大阪のお客様の洗礼を受けながら、この作品の持っている魅力を旋風のごとく巻き起こせたらなと思っています。2018年の熱量がまだ体の中に残ってはいるのですけれども、4年経っていますので、どんな『ジャージー・ボーイズ』をお客様にお届けできるのか、今は期待とドキドキの両方があります」。
作品の魅力については、次のように話した。「音楽が主役の作品ですので、コンサートを観ているような感覚にもなります。たくさんのナンバーを歌って、しかも劇中は役として生きる。その苦労はすごいものがありますけれども、山を越えたときに見る達成感といいますか、これは格別なものがありますね」。
同公演では、「君の瞳に恋してる」をはじめ、誰もが知るヒット曲がいかにして生まれたのか、その過程を芝居で描く。「背景を知ってその歌を聴くと、より刺さるものがあるというか。コンサートとお芝居のバランスも、他の作品では味わえないものがあると思います」。
中川晃教 写真提供:東宝演劇部
初演からフランキー・ヴァリ役を演じている。回を重ねるごとに「再演できる喜びを感じている」という。「たとえば、フランキーが自分の娘を失うシーンがあります。2016年に初めて演じたときは、その悲しみは想像でしかありませんでしたが、この間に僕もいろんなことを経験して、感じ方も変わりました。フランキーは藤岡正明さんと尾上右近さんが演じるトミー・デヴィートに恩義を感じて、フランキーは全米ツアーを行って彼の借金を完済します。そういうシーンでも、「ひとりではできないことがたくさんあるなぁ」と実感がこみ上げてきて。もちろん脚本に書かれていることを忠実に体現しようと稽古をしていますが、ふとした瞬間に共感する部分が自分の中に出てきたときに、この作品と出会えてよかったと思います」。
作品のテーマは愛。「観終わって劇場を去るとき、自分の身の回りにある幸せを思い出して嬉しくなるような、嫌なことも「ま、いっか」と流せるような、そういうポジティブな気持ちを常に持たせてくれる作品です」。
花村想太 写真提供:東宝演劇部
初のWキャストの花村想太については、「探していたもうひとりのフランキー・ヴァリに出会えた」と顔をほころばせる。「この作品が多くの方々に愛され、長く上演を続けたいという思いがありましたので、将来、フランキー・ヴァリ役の方に出会えたらいいなという思いでずっと生きていました。そこに綺羅星のごとく花村想太さんとの出会いがあって。そんな奇跡と、これまでの軌跡を実感しています」。
花村の存在が中川をさらなる高みへと導く。「この4年間、トワングという、ファルセットとはまた異なる独特の高音の発声に磨きをかけてきました。今回、思う存分フランキー・ヴァリ役を演じることができているのも、(シングルキャストとは異なり、公演中も喉のケアができるので)Wキャストの花村さんのおかげかなと思っています」。
花村率いるチームGREEN 写真提供:東宝演劇部
人気ダンス&ボーカルグループDa-iCEのボーカルでもある花村に託したい思いもある。「花村さんが歌う「君の瞳に恋してる」を初めて聴いたときに、また新しいものが生まれたと思ったんですよね。花村さんは(ボーイズグループとミュージカルというジャンルを超えて)エンターテイメントを繋いでくださると信じています。太く長く、繋いでほしいと思っています」。
フランキー・ヴァリ(中川晃教・花村想太)、トミー・デヴィート(藤岡正明・尾上右近)、ボブ・ゴーディオ(東 啓介・有澤樟太郎)、ニック・マッシ(大山真志・spi)という4人のハーモニーも注目だ。中川、藤岡、東、大山からなる「チームBLACK」がハーモニーを奏でる際に最も大切にしている思いとは何だろうか。「ハーモニーは、相手の声を聞いて、自分の声と相手の距離感や音量、声の質感、音の質感と合わせていきながら作っていきます。お互いに聞き合い、感じ合い、より添う。そして「行くところは行けー!」とみんなで勢いをつけて行く。限られた時間の中で作り上げたハーモニーがピタッと合った瞬間、コーラスグループの説得力が生まれて、そこで初めてフランキー・ヴァリ&ザ・フォー・シーズンズを体現できるのかなと思います」。
チームBLACK 写真提供:東宝演劇部
チームBLACKは「藤岡氏なしでは成立しない」という。感覚派の中川に対し、藤岡は論理的に各楽曲の音楽性を理解し、声の出し方から共演者にレクチャーするのだそう。「またニックはベース、トミーはギター、ボブはピアノを弾きます。舞台上では役者も弾いているフリをするのですが、様々な要素を持ったフォーシーズンズの楽曲を体現するためには、全員が実際に弾けなければいけないということで、みなさん楽器の練習もされていました」と、藤岡の音楽に対する追求心を窺わせた。
中川は舞台への思いを次のように明かした。「舞台はひとりでは開けられなくて、カンパニーみんなで手を携えて開けていくわけです。それはやっぱりお客様に喜んでほしいから。お客様に「いいもの観た、また明日から頑張ろう」と思ってもらえる感動を届けていく仕事だと思っています。そこに誇りを持ちたいなと日ごろから思っていて、そういう気持ちとこの作品は重なる部分があります。一生、フランキー・ヴァリを演じていきたいです。実際、フランキー・ヴァリさんは88歳の今でも、あの高い声で歌われているので、僕も頑張ります! あと40年はやりたいです!」。
2022年もコロナ禍と隣り合わせの日々が続く。それだけに「1公演1公演が本当に特別」と話す。「特別だからこそ、幕開けの瞬間に1人でも多くの方に立ち会っていただけることを心から願っています。そのために私達も最高のハーモニーをお届けしたいと思います」。
中川晃教
取材・文=K.Iwamoto 撮影=SPICE編集部

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