Berryz工房と私～出会い～:鈴木詩子
連載24番外編

ため息が全部お金になったらいいのに…

鈴木詩子の「私が出会ったウンザリ女」

　Berryz工房の無期限活動休止を知り、ショックで寝込んでいたところに…担当さんから「今回は番外編として【Berryz工房と私】を書いてみてはいかがですか？」と、優しい言葉をかけて頂いたので…今回はBerryz工房との出会いを書いてみたいと思います。

　私が初めて生のBerryz工房を見たのは、2004年1月14日に中野サンプラザで行われたBerryz工房結成お披露目会でした。
その頃、ハロプロ全般にハマっていた私は、ハロプロの新しい動きはとりあえずチェックしなくちゃ！ぐらいの気持ちで、会場に足を運びました。
正直、初めてBerryz工房を見た時の感想は
（うっわ！まだ子供じゃん…）でした。更に、メンバーが自己紹介で
「好きな給食のメニューは…」と言ってるのを聞いてひっくり返りそうになり…
（みんな可愛いけど…まぁ、こんな子供にハマる事は無いな…でも、ハロプロの未来の為に頑張って！ 応援してあげるからね‼）とと…この日は、ちょっと上から目線な気持ちでBerryz工房を見守ってる気になっていました。

　そして、2004年2月7日「ハロープロジェクト・キッズFCツアー2004」ハロプロキッズ（現ベリキュー）初めてのファンの集いです。
イベントが始まり、15名全員で踊る『GO Girl！～恋のビィクトリー～』のあまりの可愛さにニヤニヤしながら気を抜いてたら…
この日、初披露されたBerryz工房のデビュー曲『あなたなしでは生きていけない』が、あまりに衝撃的で腰が抜けそうになりました。
楽曲が素晴らしいのは、もちろんの事…初々しいながらもしっかりとしたパフォーマンスっぷりに見惚れてしまい…今、目の前で起こっている事の重大さにドキドキが止まりません。ちょっと前まで
（まだ、子供じゃん…）
なんて、上から目線でいた自分が恥ずかしくてたまらなくなりました。

　そして、なんと…イベントの最後にメンバーとの握手会があったのです！ 私は、『よろしく！センパイ』（ハロプロキッズのドキュメンタリー番組）を観て、嗣永桃子ちゃんのマンガみたいにわざとらしい女子的リアクションに惹かれていたので…
（桃子に、この思いを伝えなきゃ…）と心に決め、握手会の列に並びました。
初めての握手会だけあってキッズのみんなの緊張が伝わってきます…
ヲタ「頑張って下さい！」
キッズ「ありがとうございます！」
ヲタ「可愛いね！」
キッズ「ありがとうございます！」
キッズのみんなは、一定のリズムで「ありがとうございます！」を繰り返すだけで精一杯という感じでした…そりゃそうです。初めてだし当然だと思います。
でも、桃子はちょっと違っていたんですよ…。
まず、握手の握力が強いんです。そこでまず、ハッとさせられます。そして
「アイドル性、抜群ですね」と声をかけると…桃子は私の目をジッと見て一拍の間をあけてから
「ありがとうございます！　嬉しいです」と、満面の笑みで返してくれたのです。その…一拍あける事により、桃子が私の言った事をちゃんと聞いて、考えて、返してくれた感じが凄くしたんですよ。
なんていうか…今までの流れるようなリズミカルな握手から、その一拍あける事でリズムが崩れ、桃子の印象がより深く残るというか…。
桃子は、初めての握手会でなんでこんな事が出来ちゃうのでしょうか？
私は、完全に心を掴まれてしまいました。
桃子の、自分自身で奇跡を起こし人生を切り開いて行く姿勢に感動してしまい…私は、彼女にとても大切な事を教えてもらった気がしました。

（はぁ…この時、小5だった桃子が今では22歳だなんて…本当に時が経つのは早いですね！）

【鈴木詩子：プロフィール】
すずきしいこ…漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなアイドルは嗣永桃子。著書に『女ヒエラルキー底辺少女』（青林工藝舎）

チヤホヤされたい女子高生・桃子は、いつだって残念な感じだった。でも、そんなのもうイヤ！　立ち上がった桃子の熱い想いは、クラスのみんなに届くのか!?
オススメコミック：『女ヒエラルキー底辺少女』[コミック]（青林工藝舎）／著：鈴木詩子
オススメ新書：読むモー娘。 AKB、ももクロに立場を逆転された後に、なぜ再び返り咲くことができたのか (コア新書)／花山十也・著