FEATURE / Who is tobi lou? デジタ
ル・ネイティブ世代の突然変異 & 超
進化系ラッパー、tobi louとは何者な
のか?
SNSにおける表現がアーティストのブレイク(ときには炎上)に大きな影響を及ぼすようになって久しいです。様々なプラットフォームの隆盛に呼応しながら、アーティスト自身の発信だけでなく、リスナーが自由に楽曲を用いて自己表現することでバズり、そのままその楽曲のビッグ・プロモーションに繋がることも増えました。それらが専門家でも予想できない新たな音楽マーケティングの潮流になっていることは否定できません。
その中でも動画に特化したSNSであるTikTokは若年層を中心に人気を博し、「TikTok売れ」という言葉が話題になるなど、同プラットフォームの消費への影響力は計り知れず、音楽シーンにおいても大きな存在感を発揮しています。
今回ご紹介するtobi lou(トビ・ルー)というアーティストもまさにTikTokでのバイラル・ヒットにより、人気を博しているラッパーのひとり。2018年にリリースしたEP『tobi lou and the Loop』収録の「Buff Baby」のイントロ部分で多くのユーザーがダンス・チャレンジを披露したことで、同曲が広く知れ渡ることになりました。
自身が登場する動画はアーティストに対する親近感に繋がることはもちろんですが、動画それ自体のクオリティも高くなければいけません。注目に値するものでなければいけないわけです。その点、tobi louはコミカルな寸劇やダンスシーンなどを惜しげもなく繰り広げつつ、それぞれがインスタントにおもしろい。
@tobilou SEVENTEEEEEEEEN
ここで付記しておきたいのは、tobi louとSEVENTEENの関係。米メディア「W Magazine」に掲載された tobi louのインタビュー(https://www.wmagazine.com/story/buff-baby-tiktok-dance-tobi-lou-new-album-parrish-blue-social-qs) によると、SEVENTEENのメンバーであるVernonとは友人関係なのだそう。2019年にリリースされたアルバム『Live on Ice』にはVernonをフィーチャーした曲も収録されていたり、彼からFinsta(Instagramの裏アカ)を始めることを勧められたことを前述のインタビューで語っていたり、その関係はかなり親密なことが伺えます。この辺りのワールド・ワイドな交感関係もデジタル・ネイティブ世代の賜物であると想像できそうです。
UKガラージビートが聴ける「Meaningless」や2020年にリリースした曲をT-Painを迎えて再構築した「2hrs+」など聴き応え充分な楽曲が並ぶ中、Durand Jones & The Indicationsの「Cruisin’ to the Park」をサンプリングした「Babycakes」やフィナーレを飾る「The Last Dance(feat.CHIKA)」などは、公言しているKanye Westからの影響も感じさせたりしています。
tobi lou 『Non-Perishable』
Label:Artclub / EMPIRE
Tracklist:
1. Hopeless Romantic
2. Babycakes
3. Meaningless
4. 2hrs+ (plus) (Ft. T-Pain)
5. WIDE Open (Ft. Jean Deaux)
6. Jelly
7. Yamaguchi
8. She Know My Name
9. Hurry-Up Offense
10. Busy
11. The Last Dance (Ft. CHIKA)
■ tobi lou オフィシャル・サイト(https://www.tobilou.com/)
Spincoaster
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