【yozuca* インタビュー】
全てはインパクトと個性を
全力で出したいという想いから
いろんな局面でyozuca*の曲が
みなさんの人生のスパイスに
「ソフトクリーム」は流麗なバラードなのに、《アイスが食べたい》と歌い出すギャップが衝撃的でした。
こんなに良いメロディーに乗せて、何を高らかに歌っているんだ!?って(笑)。アレンジャーの安瀬 聖さんに“ごめんなさい!”と言いたいです(笑)。もともとはバンドサウンドだったんですけど、ディレクターの土井潤一さんから“すごくきれいなアレンジでギャップのあるくだらないことを熱唱したら面白いんじゃない?”とアイディアをいただいたんですよ。
歌いながら自分で笑ってしまわなかったですか?
あぁ…「ソフトクリーム」ではないのですが、配信イベントで「半濁音」を生で歌った時、笑って歌えなくなるひと幕がありました。私とは真逆のしっとりとしてお洒落な音楽性を持ったCooRieさんが先に歌ったんですが、そのCooRieさんの素敵な世界観をぶち壊すかのように「半濁音」のイントロが流れ、いざ《ピンポンパン》って歌い始めた瞬間、“私はいったい何をやっているんだ?”って我に返ってしまい、笑いを堪えきれず、頭から歌い直しました(笑)。
(笑)。「ソフトクリーム」の歌詞にはいろんな種類のアイスクリームが出てきますね。
「熊本には運転免許を取ったばかりの若者がよく行くドライブコースが阿蘇と天草にあって、天草に行く途中の道路沿いにソフトクリームやたこ焼きを売っているワゴン車がたくさん停まっているんですね。私が熊本にいた頃は、それこそ走っていると5分おきくらいにワゴン車が停まっていて、“ここはミルクが濃い”とか“ここはサラッとして食べやすい”とか、車ごとの味の違いがあって楽しんです!
味噌味や醤油味とか、ご当地ソフトも歌詞に出てきますね。
歌詞を書くにあたって調べたんですけど、ほんといろいろあるんですよ。でも、やっぱり私はチョコとバニラのミックスが好きですね。熊本はスイカやメロンの産地としても有名ですけど、スイカのソフトはまだ出会ったことがないです。
アルバムに話を戻しましょう。今作にはゲーム『D.C.III DreamDays 〜ダ・カーポIII〜 ドリームデイズ』OPテーマ「キミと僕のキセキ」なども収録されているのですが、yozuca*さんのデビューは『D.C. 〜ダ・カーポ〜』のオープニングテーマ「ダ・カーポ 〜第2ボタンの誓い〜」(2002年8月発表)でしたね。
もう19年目ですけど、『ダ・カーポ』のシリーズがずっと愛されていることが嬉しいですし、そこにずっと起用していただけていることには感謝の気持ちしかありません。自分的にも『ダ・カーポ』はともに歩んできた存在なので、『ダ・カーポ』関連の曲だけを聴いても、デビュー当時の歌声とか楽曲とか自分の歩みが分かりますね。
『ダ・カーポ』シリーズの楽曲は青春感や儚さ、切なさを、あらゆる角度で切り取ってますが、その切り口や視点はどのように考えているんですか?
以前は自分が作品の中に入り込んで、登場人物たちの感情を歌うことが多かったんですけど、今作に収録の「キミと僕のキセキ」は一歩引いた視点で歌詞を書くことができました。“もしも恋愛の神様がいたらどういう感じなのかな?”と。
ついに神様の域ですか!
神視点です(笑)。例えば“この人が好きだ”と思って告白するとして、それは自分で道を選んで人生を歩んでいるつもりだったとしても、本当は神様が決めていて、まんまと出会って、まんまと恋に落ちているのかもしれない。そうだとしたら神様は出会ったふたりをどういう気持ちで見ているんだろうと。それを“運命”と言うのかもしれないですよね。そんな想像をしていたら歌詞を書く手が止まらなくなって、気づいたら書き上げていました。
どの曲もそうですが、yozuca*さんは独特な視点をお持ちのようで。
でも、その視点は年々変わってきています。最近2ndアルバム(2006年8月発表の『nico.』)の曲を聴き返したんですけど、当時は恋の相手に対して“こっちを見てよ!”といった感じで、自分が恋愛のさなかにいる恋する女の子の曲を作っていて。でも、最近は「キミと僕のキセキ」のように一歩引いた目線で書くことが増えてるんですよ。
大人になったんでしょうか?
大人になれば、自然と視点も変わりますからね。でも、そもそも私自身が自然体で仕上がっちゃっているので(笑)、作る楽曲に対してもその時の自分がそのまま表れているんです。応援してくださる方も着実に私と一緒に年齢を重ねているので、私の視点が変わるのと同じく、応援してくださる方の視点も変わっていて。だから、一緒に歩んでいるということを年々強く感じています。
では、そんな今作をファンの人にどう楽しんでもらいたいですか?
「ソフトクリーム」を除いてテンポが良い曲が揃っているので、元気がない時に聴いてほしいし、元気な時にも聴いてほしいですね。そっと側にいるというか、いろんな局面でyozuca*の曲が、みなさんの人生のスパイスになってくれたら嬉しいです。
取材:榑林史章