ポーター・ロビンソン独占インタビュ
ー 『Secret Sky Music Festival』開
催で感じた「世界中と繋がっていると
いう実感」

2020年、日本時間の5月10日。インターネット上で一つの音楽フェスが開催された。
ミレニアム世代の天才DJ、ポーター・ロビンソンが主催する『Secret Sky Music Festival』はポーターの盟友であるマデオンや、オランダのDJサン・ホセ、日本からも長谷川白紙、キズナアイ、kz(livetune)といった世界各国のアーティストがライブ配信で参加し、14時間超に及ぶ長時間ライブストリーミング配信は世界中から述べ25万人以上の人々が参加した。
収益(オンライン上での投げ銭)を全てコロナウィルス救済支援に寄付したこの仮想空間の大規模イベントは、どのような思いで開催されたのだろうか?SPICEではポーター・ロビンソンにコンタクトを取り、今回オンラインでインタビューを実施することに成功した。
天才と呼ばれる27歳の彼が抱いている心境は、そして用意されているニューアルバム『Nurture』に込めた思いは? 独占でお届けする。

SECRET SKYで世界中と共有できた「愛と喜び」
――今回のSecret Sky Music Festival (以後「シークレット・スカイ」)、大変楽しませていただきました。
僕も家でこじんまりとした感じで家族と楽しめたよ。部屋の中に大きなプロジェクターを設置して、周りを暗くするために窓に毛布を掛けたり、お母さんがスナックを持ってきたりしてくれたりね(笑)。
――すごくアットホームな感じでプレイされたんですね。
その通り!(笑)
――今回オンラインでシークレット・スカイを開催した意図は?
昨年開催したSecond SkyMusicFestival(以後「セカンド・スカイ」)を毎年やりたかったんだけど、新型コロナウイルスの影響で、今年はリアルでの開催が難しくなってしまったんだ。でも去年の段階で今年もやるよ! と話していたので、このような形でやるしかなかったというのがまず一つ目の理由かな。
それと新たな技術を使ってバーチャルな場でフェスをするというのにもすごく興味があったんだ。こういう新しい考え方や試みが出てくる時は、まだルールなども定まっていないから、みんなが自由にスタートできる最初が一番面白いと思ってるんだ。音楽も新しいジャンルが出てきた時の、みんなが模索してスタイルが決まってくる瞬間が面白いしね。そういういくつかのものが重なったので、オンラインでのフェスをやってみることにしたんだ。
――フェスに参加して、単純にポーターが自分の好きなものを集めたい、という印象を受けました。
そうかもしれない(笑)。僕はミュージシャン・シンガー・DJとしては決してベストな存在ではないと思っているんだけど、みんなとシェアできるラブとパッションを持っているのが自分の強みだと信じてるんだ。そんな自分が理想とするフェスをバーチャルの場で実現して、世界中のみんなと愛と喜びとパッションをシェアしたかったんだ。
――オンラインだからこそ出来た面白い試みもあったと思うのですが、オンラインで良かった事、大変だった事はありますか?
フェスとして面白かったのは、参加アーティストのみんなが互いに話し合いなどまったくしないで、独自に自分のスタイルでやっていったというところかな。フェスに対する解釈もそれぞれ違うのが面白かったね。プロジェクターやグリーンスクリーンを使ったり、自身がまったく姿を見せなかったり、何もない空間を借りてオーディエンス無しでやった人も居たりでとても楽しかったね。
逆に難しかったのは、オンライン用のセッティングかな。普段のツアーなどではいつも僕をサポートしてくれるスタッフ達がいるんだけど、今回はオーディオ・カメラ・プロジェクターなどを自分でセッティングしなければならなかった。僕はそういう技術的な事が得意じゃないので、弟に手伝ってもらったんだけど、トラブルも色々あって大変だったね。
――各クリエイターがそれぞれにシークレット・スカイというものの解釈していた気がします。その中でもポーターが面白かったと思ったクリエイターはいますか?
ルイス・コールとジェネヴィーヴ・アルターディの2人がやっているノウワ―というユニットがライブでやった、ドラムやキーボードの操作をビジュアルシンクロさせたのが面白かったね! すべてのアーティストに言える事だけど、みんなこのフェスをシリアスに考えながら取り組んでくれたので、僕の方が逆に緊張したところもあるんだよ(笑)。
――日本からはKz - Livetune+、長谷川白紙、キズナアイの3人が出演しましたが、今回のラインナップのチョイスについて、ポーターは「こういう人達を呼びたい」という考えやガイドラインがあったんでしょうか?
アーティストのリストやTwitterを見たり、SoundCloudやSpotifyを聴いたりして、どういう人が出てくれたら面白いかというのを考えたんだ。まず長谷川白紙は、世界中のミュージシャンの中でも特に僕が愛している人なんだ。美しいけどカオスな彼の音楽は一見難解かもしれないけど、聴けばみんなその面白さがわかって大好きになっていくと思うんだよ。アメリカのEDMのファン達にも彼の音楽の魅力を伝えたかったので、ある意味僕からしたら挑戦でもあったね。
――では、キズナアイ。彼女はバーチャルYouTuberとしては草分け的存在でもあります。
キズナアイについては、最初は引き受けてくれないかも、と思いながらマネージャーに「一応聞いてみてくれない?」とオファーを出したんだ。そうしたら快く「イエス」と引き受けてくれて、ビックリしちゃったね! 彼女に関してはアメリカ人のオーディエンスもちょっと混乱したみたいだったけど、「すごくセクシーだ!」「キズナアイ? 信じられない!」「本当にリアルな人なのか?」といった様々なリアクションがあって面白かったね。
Kzは僕の友達なんだけど、DJとしての素晴らしいスキルにいつも驚かされているし、大好きなアーティストなんだ。彼の音楽のセレクションもすごくエネルギーにあふれているといつも感じている。日本の音楽やアニメにまったく興味が無い僕の母も、Kzのことは大好きなんだよ。彼のパートはビジュアルの使い方も凄かった。粒子が自分の体に向かってくるのをCGIを使って表現していたのは初めて見たね。
彼ら以外にも出演して欲しいと思うアーティストには貪欲にアプローチしていって、ほとんどの人がOKしてくれたんだ。本当に嬉しかったね!
自分が「オタク」と見られるのは良いことなのか?
――日本でリアルタイムで見ていた人達からは、YouTubeのチャットでポーターが「KZ! キズナアイ!」と叫びまくっていて、「一番のオタクはポーターじゃない?」という笑い話も出ていました(笑)。
ハハハ! 僕自身が世界的にオタクとしてみられるのは良い事なのかな、と感じている部分はあるんだけどね(笑)。Kzが作ったClariSの「irony」とか大好きなんだけど、その曲が主題歌になっていたアニメ『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』は観ていないんだよ。だから本当に僕がオタクと呼ばれて良いのかな? と思うんだ。
――僕たち日本のオタクはポーターが僕らと同じ物が好きという事を誇りに思っています。
どうもありがとう(笑)。日本ではオタクっていうことでポジティブに捉えられているのかな? 確かにオタク的な事に興味は持っているんだけど、オタク過ぎるような感じに見られるのはどうかなって思う部分もあるんだよね。
――そうなんですか?
アメリカでも「一つの側面ばかりに注目が集まるのは良くないんじゃないか?」って意見もあるんだ。一回日本でファッションパーティーがあって、友人とそれに行くか、MOGRA(秋葉原にあるDJバー)に行くか、という話になったんだけど、その時も「日本で“ポーターはオタクだ!”という印象が強くなりすぎるかもよ?」って言われたんだ。まあ僕は「気にせずやりたいことをやるよ!」ってMOGRAに行ったんだけどね(笑)。
――話は戻りますが、今回のフェスでは、初めて見るアーティストやDJもいて、彼らを知る事が出来たのが嬉しかったです。そして彼らがすごく印象的でした。
そう言って貰えるのはすごく嬉しいね! 僕が好きで、みんなが知らないアーティストを多くの人に発見して欲しかったのが、今回のフェスをやった理由でもあるんだ。君はどのアーティストが気になったんだい?
――僕自身が印象的だったのは、DOSSですね。
DOSS!(笑) DOSSを気に入ってくれたのはすごく嬉しいな。彼女はエレクトロニックミュージックを2000年くらいからやっていて、最近また2000年代の音楽がリバイバルブームになっているけれど、最初からああいう音をやっていた
のがすごい所だよね。
――DOSSはハードテクノからスタートして、最終的にはとてもトランシーな展開になって、とても美しいと思ったんです。
僕も同じように感じたね。彼女のミュージックセレクションはとてもスタイリッシュだったな。
――先ほどDOSSは女性とのことでしたが。
そうなんだよ、今回フェスを見てくれた人達は、DOSSが女性だという事に驚いたんじゃないかな。こういう音楽はだいたい男性が初めたことが多いと思うんだけど、男性だけのものじゃないというところで、彼女はもっと評価されるべきだと思って今回オファーしたんだ。
――もちろん他のアーティストも素晴らしくて最高のプレイをしていたと思います。そんな中で最後のトリを務めたのがリル・テキサスでした。
リル・テキサスのファッションやビジュアルは一見ショッキングだと思うんだ。ガバ・ミュージックの爆音をプレイしているのがカウボーイスタイルのタトゥーだらけの男だからね(笑)。彼は今後みんなが無視できない存在だと思うし、成功していくと確信しているよ。
――まさかシークレット・スカイのラストがBPM200オーバーで終わるとは思っていなかったので、忘れられないという意見もありました。
そう言って貰えて非常に嬉しいね(笑)。面白いのはアメリカでも「なんでリル・テキサスがラストなんだ、適任じゃないのでは?」というリアクションがあったことだね。僕自身は「何でそう思われるんだろう?」とビックリしたんだけど、このフェスをオーディエンス、そして僕の中のファン目線で見ると「成る程、そう思われるんだな」というのが後から分かったんだ。僕としてはこの選択は非常にノーマルだったんだけどなぁ。
――僕はすごく面白かったです。
僕としては、最後を速いテンポで終わらせるという所で、リル・テキサスのガバやハードコアとポーター・ロビンソンのプレイは共通性があると感じているんだけどね。
ニューアルバム『Nurture』タイトルに込めた思い
――では、ポーター自身のDJプレイに関しても聞かせてください。僕はポーターのプレイを何回か見ていますが、その中でも今回は楽しさと美しさにあふれたセットリストだったと思いました。
ありがとう! 本当はライブで唄ったり演奏したりピアノも弾いたりもしていきたいと思っていて、今回もできればライブでやりたかったんだけど、新型コロナウイルスのためにそれが不可能になってしまったんだ。
――従来の形でのオフラインのフェスをやっていたら、生演奏だったり唄ったりというのをメインにやっていきたかったと。
そうだね、今準備しているニューアルバム『Nurture』では自分で歌うという事を考えていたんけど、実際にリアルな会場では今は歌えないからね。なのでエフェクトを使って声を変えて、ずっと高い女性に近い声にしてみたんだ。僕の夢としてはライブで生のパフォーマンスをする事なんだけど今はできないから、ユニークなやり方として、こういったアプローチを選んでみた。今回のDJセットでは新しいアルバムから流れに合った曲を選ぶのが大変だったね。
――『Nurture』は非常に久し振りにリリースするアルバムになると思いますが、タイトルは日本語に訳すると「成長」や「育成」という意味です。このタイトルに込めた想いなどお聞きできたら。
英語では「Nurture」に色々な意味があるんだ。パーソナリティー(性格)の形成という部分で、その人が生まれた自然のままの部分「Nature(ネイチャー)」と、自分が直面して、作り育て上げていく部分の「Nurture(ナーチャー)」の二つがあって、英語だとこの二つの言葉は響きも似ているし、関連のある言葉なんだ。
僕はアルバム制作の時期に、「自分がもう音楽を作れないんじゃないか」と悩んでいた。新曲ができずにとても怖かったんだ。その中で自分自身が何ができるんだろう、これからどうやって前に進んでいったらいいんだろう? ってすごく考えてしまった。
――制作時の段階で迷いがあったんですね。
その時に自然にあってコントロールできないもの(Nature)と、自分がこれからコントロールして作りあげていけるもの、改善していけるもの(Nurture)があるって思ったんだ。このまま何も変化しないでいれば未来は明るくないけど、そんな暗い未来は嫌だし、ずっとこんな風に落ち込んでいたくはなかった。自分を変えたかった。それを考えていた時にこの『Nurture』という言葉がアルバムタイトルでいいんじゃないか、って発想が生まれたんだ。
――ポーターがとても悩んでいたというのは他のニュースやインタビューで僕も見ていました。だから今回のシークレット・スカイで、まずポーターが楽しんでいたのがすごく嬉しかったんです。
ありがとう。良かったというコメントもたくさん貰ったんだけど、その中で日本語でも英語でも「今回のフェスを見て自分も音楽を作っていきたくなった」という声が多く寄せられたのが嬉しかったね。
今の状況が改善されても、オンライン・フェスの開催には意味がある
――次にシークレット・スカイのWebサイトについてお聞きしたいです。すごく美しい作りで、インターネット上に会場を作るという意味ではとても成功していると思います。
Webサイトについては僕も大変満足しているよ。空間を共有してリアルな会場を作り出す事を考えていたんだけど、何千人もの人々とバーチャルなスペースを共有しているというところで、リアル感を出したいという狙いがあったんだ。
新型コロナウイルスの影響でみんなが孤立した状態で、家に篭もって過ごさなければいけない今、他の人と一緒になることの重要性を感じたんだ。TwitterなどのSNSで交流を持っていても、リアルな人とのやりとりとは違う部分があると僕は思うんだよ。バーチャルな空間では口論したり傷つけ合うことも非常に多いけど、実際のリアルな生活ではそんなことばかりしているわけじゃない。そういったリアルライフのいいところというか、物理的な空間を共有してみんながうまくやっているんだ、というところを、ウェブ上でもリアルに表現したかったんだ。
――その試みに関しては成功していたと思います。僕はシークレット・スカイのWebサイトにログインした瞬間にとてもワクワクしたんです。それはステイホームしている中で、久々に感じた感覚でした。
そう言ってもらえるのはとても嬉しい! 君以外にもステイホームが始まって以来、こんな良い日が来たのは初めてと言ってくれた人もいたんだ。こんな大変な時に誰かを幸せな気分に出来たのはハッピーだね。
――今回のシークレット・スカイのお話と、先程の「Nature」と「Nurture」の話を聞いて思ったのは、今僕たちは窮屈な思いをしているけど、ほんの少しの切っ掛け、例えば音楽だったり、人の言葉でこんなにも楽しむ事が出来るし、心は自由になれるということを教えてもらったような気がしました。
そうだね、新しいアルバムも本当に長い間、5年もかけて製作を進めてきて、終わらないかも! と思ったこともあったけど、すごく良いものになってきて、楽しみにしてたんだ。
――世界中のファンもそうだと思います。
本当にこういう言い方は自分勝手だと思うんだけど、アルバム製作で本当に落ち込んで、どうしようと思っていたところで、新型コロナウイルスのせいでそんなことは問題では無くなってしまい、こんなにラブとパッションを入り込んできたものが、誰にも聴かれることがなくなっちゃうんじゃないかって思ったりもしていたんだ。でも今回のシークレット・スカイでみんなと交流できて、感想をたくさんもらえてとても嬉しく思っているよ。アルバムも期待してほしいな。
――今この新型コロナウイルスによる状況をポーターはどう思っているのでしょうか?
僕自身の事を言うと、違った意味で少し自由になったかなと思ったね。いつも〆切に追われて「この音楽をいつまでにださなきゃ」とか、ライブはこことあそこでする! とか計画が沢山あったんだけど、それがすべてキャンセルになった。ただ沢山の方々が悲惨な状況になっているというのはわかっているし、大変な状況に追い込まれたり、仕事ができなくなってしまった人や、亡くなられる方がいたり……そういったことはとても悲しいね。僕は家に居て少しだけ自由な時間を持てたけど、必死に尽力してる人たちがいて、日々大変なことが起きているということが毎日入り混じっているように感じて、複雑な心境ではあるね。
――この新型コロナウイルスは音楽だけではなく、様々なジャンルでのあり方、生活に影響を及ぼしています。ポーターは今後のミュージックフェスの在り方は変わってくると思いますか?
コンサートが実際に始まるとなった場合には、プロモーターは今まで以上に安全性に気を遣っていくことになるよね。まずコンサート会場でマスクをすることになるんじゃないかな。マスクに馴染みのないアメリカを初めとする西側諸国でもそうなってくると思うし、手を消毒したり、より少ない人を入れてスペースを確保するという事が必要になってくるよね。僕自身はそういった安全対策をとってもらえることは良いことだと思う。まずアメリカというのはこれまでマスク文化がなかったんだよね。以前であれば病気であってもマスクしていると変な目で見られるというか「本当に死にそうなくらい大変なのか?」それとも「変な人なのか?」と見られていた所があるんだけど、それが普通のことになるのは良いことだよね。
――リアルライブの形はまだ変わっていきそうですね。またシークレット・スカイの話に戻りますが、今回、チャリティ(投げ銭)も多数寄せられていましたね。
チャリティはセカンド・スカイの時にもやっていたんだ。2016年に弟が若くしてガンになったんだ。今はもう大丈夫なんだけど、その時に医師からアフリカのマラウイでは非常にガン患者が多くて、子どもや10代の若い子達が、とても危険な状態にあることを聞かされた。それで非常にショックを受けたんだよね。弟は生き延びたけどマラウイでは多くの人が亡くなっている。そこに対して援助をしたいと思って、セカンド・スカイはチャリティをやったんだ。だから今回が初めてというわけではないんだよ。
――日本のYouTubeでは、チャリティにお金を投げたくても投げられないという人がたくさんいてコメントもしていました。
本当にありがとう! 日本でも同じような状況で仕事が無くなって困っている人達は沢山居ると思う。日本国内でもそういうチャリティが行われているんじゃないかな? 是非そういう動きには支援してもらいたいと思うね。僕自身はチャリティの収益からお金を受け取るつもりは無くて、必要な人に届けたいと思ってる。本当にエンターテインメントに関してはどこの国でもみんな苦しい状況だから、みんなや会場が何とか生き残ってほしいね。
――このオンライン・フェスという形を今後も続けていこう、という気持ちはあったりするんでしょうか?
今の状況が無くなったとしても、オンラインでフェスをやる事に意味はあると思うよ。それはけっしてライブの代わりでは無くて、家で自由にボリュームや灯りの加減も調整しながら見る事ができて、スナックを食べたりトイレに行ったりも出来るし、遠くに出かけることなく居心地良く楽しめる。そういうことに非常に意味があると思うし、そんな形でみんなにも楽しんでもらいたいね。
それに世界中でみんなが同時に見ることができるというのも非常に素敵だし、世界中がコネクトできるというのもすごい事だなと思うね。今回チャリティの金額よりもさらに良かったと思うのは、みんなが「今日はいい日だった」と思えたことだよ。色々な人が色々なところで苦しい思いをしていると思うけど、それに対してエンターテインメントができることがあって、僕がそれに関わる事が出来たのはラッキーな事だよ。
――そして僕は何よりポーターがこのように動き出してくれたのが嬉しいです。
僕自身あまりみんなに心配をかけたくないと思ってはいるけど、僕が悲しい気持ちになったり苦しかったりした事を話していくのも重要なんじゃないかって思うんだ。そういった思いをしている音楽関係の人も、そうじゃない人も、同じような状況になった時に自分一人じゃないと感じてもらいたいんだ。
――確かに今回のフェスは「僕たちは一人じゃない」というのを強く感じさせてくれたと思います。
そうだね、普段ライブをやった時って、翌日もう疲れ果てて何も出来ないほどぐったりしちゃうんだけど、今回は家から配信でやったにも関わらず同じように疲れ果ててしまったんだ(笑)。 すごく密度の濃いものだったし、ハッピーな気分にもなったし、感情を込める事もできた。参加してくれた人がそんな風に感じ取れたのなら、今回のフェスは間違いなく本物で、みんなと繋がっているって事なんだ。
――そして、僕たちはポーターが日本に来てくれて、思いっきりプレイしてくれるのも楽しみに待っています。待ちわびている日本のファンに一言お願い致します。
僕は日本のみんなにファンになってほしいといつも望んでいるんだ。僕自身が日本の音楽を聴いて育ってきたから、日本人のみんなが僕の音楽を好きでいてくれるというのは凄く嬉しい。シークレット・スカイは一番オーディエンスの数が多かったのはアメリカだったけど、二番目が日本だったというのも本当に嬉しかった。本当にありがとう。
フルツアーが出来るようになったら日本に行きたいと思ってるよ! ライブをやるという事は僕にとって大切なことだしね、必ず実行する。できるだけみんなに早く会いたいね!
――この新型コロナウイルスの状況が良くなって、今度会うときはポーターと気軽にハグができる日を楽しみにしています。
コロナの状況如何に問わず、ハグはしたいと思っているよ!(笑)
後期:3年ぶりに対面した(とは言えPCのモニター越しではあるが)ポーター・ロビンソンはこのイベントを開催し、やり終えた充足感のようなものを纏いリラックスして話してくれた。今ネット、特にSNSを取り巻く環境やその使い方について、改めて議論するフェーズに入ってきたというのを実感しているが、このシークレット・スカイに参加したファンはただ笑い、感動し、夢中になっていた。その真ん中にポーターが悩んだ末に生み出した“音楽”があったというのが、どこか痛快であり、希望でもあったような気がするのだ。
インタビュー・文:加東岳史 構成:林信行 通訳:斎藤 縁

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