L→R 阪井一生(Gu)、尼川元気(Ba)、山村隆太(Vo)、小倉誠司(Dr)

L→R 阪井一生(Gu)、尼川元気(Ba)、山村隆太(Vo)、小倉誠司(Dr)

【flumpool インタビュー】
ドラマの世界観と自分たちが
提示したいものを融合できた

今の自分たちが歌いたいことを
曲にしたかった

続いて、アニメ『あひるの空』オープニング曲に起用されたカップリングの「ネバーマインド」はいかがでしょう?

阪井
お話をいただいた時にリクエストされたのは“疾走感のある曲”だったんですよ。アッパーで勢いがある曲をイメージして、最初はflumpoolにあまりないようなアップテンポの曲を作ったんです。でも、それは想像とは違ったようで、“ザ・flumpool”というか、実際のテンポの速さではなく、ミディアムテンポで16ノリの疾走感を出す方向に切り替えてみました。そのテーマのもとに「ネバーマインド」を作って聴いてもらったら、“これでいきましょう!”と決まりました。
山村
歌詞は前向きになっています。活動休止前にタイアップの話をいただいた時は、アニメの中に出てくる言葉を中心にした歌詞を書いていたけど、これは活動を再開した直後に書いた曲だったので、今の自分たちが歌いたいことを曲にしたかったんです。だから、活動休止中に思ったことを書きました。このメンバーで分かち合った、どうしようもない時期…ゼロよりもマイナスのところでくすぶっている時期が長くあって、そうすると自分に負けそうになるんですよ。諦めそうになる。でも、週1くらいでスタジオに入ると、昨日よりも今日、今日よりも明日という感じで、少しずつ良くなっていったんです。それで、急に100点を取るんじゃなくて、少しずつ加点しながら自信を取り戻していこうと思えるようになった。その期間のことを思い返して、自分に負けないために“できない自分”より“できる自分”を見て、前向きに気持ちをつなげていくことが大事だと思ったんです。その気持ちをストレートに書きました。
小倉
この曲は悪い意味ではなく、歌謡曲のいいところをすごく活かしていると思いました。アニメのタイアップ曲だけど、アニメっぽくない印象というか。ドラム的には疾走感というワードを聞いていたので16分を意識しながらも、逆に隙間を大事にしようというイメージでレコーディングしました。自分の中でイメージしたドラムにはなったと思います。

この曲のドラムはスクエアなビートと、少し後ノリのフィルの取り合わせがカッコ良いです。

小倉
ありがとうございます。専門学校に通っている時に、BPM(1分間に刻む拍数)をキープした上でフィルの入口を速くして出口を遅くしたり、遅く入って出口を速くすることでニュアンスがすごく変わることを学んだんです。テンポ感をどういうふうに感じるかは、最近は特に意識して練習しているので、そう言ってもらえると嬉しいです。
尼川
ベースはスピード感のあるフレーズを大事にしました。サビの16分の感じは、特にそれが出ていますね。キレの良さが命になる曲なので、一曲を通して休符の長さを意識しました。それを強調するために、音が余分に伸びているところは波形でカットしたんだよね?
阪井
そう。元気が弾いたトラックがダメだったわけじゃなくて、仕上がりをより良くしたくてエディットしました。イントロはギターとベースをかっちり合わせたくて、音符の頭を揃えて後ろをカットしたり。
尼川
そうしたら曲の印象がかなり変わって。だから、エディットしたのは正解だったと思います。それに、音源とライヴではリスナーが求めるものが違っていて。「ネバーマインド」はライヴではグイグイいってオーケーなタイプの曲なんですよ。ライヴではまた違った良さを出せると思うので、それも期待していてほしいです。
阪井
ギターは楽曲の色をより強めるためにイントロでアコギを鳴らしたり、2番のAメロにクリーントーンの単音フレーズを入れたり、間奏で付点8分のディレイを掛けて色付けをしました。こういう曲でアコギを鳴らすのはちょっと珍しい気がするけど、僕らはアコギが好きだし、自分たちの曲に合うのでよく使っているんです。2番の単音フレーズは変化を付けつつ曲の翳りを強調したくて、間奏の付点8分のディレイは洗練感を出したかった…そんな感じです。
山村
一生は結構細やかな技を活かしてるよね。でかい身体をしてながら(笑)。
阪井
体形は関係ないやん!(笑)
全員
あはは。
山村
いや、見た目とのギャップがいいなと思って(笑)。

キーボードを使いそうなフレーズもギターで弾いているのは特色のひとつになっていますよね。色付けのギターは、いつもどんなふうに作っているのでしょう?

阪井
客観的な耳で聴くと“ここでこういう音が鳴ってほしい”というのが聴こえてくるんですよ。だから、頭の中で鳴ったものをギターに置き換えるパターンですね。ただ、頭の中の音はざっくりした感じだから、細かいところはやってみて決めることが多いです。いろんなフレーズを弾いてみて、自分的にはまったと思えるものが出てくるまで妥協しない。いつも、そうしています。
山村
この曲を歌った時はまだ喉が本調子ではなくて、自分自身に“ネバーマインド!”と言い聞かせている時期だったんですよ。今はその時期を越えたけど、当時はまだ声が出るように必死に歌っていて、そういう切迫感が漂っている。今聴くとそう感じますね。ただ、この曲に関してはそれが悪いほうには出ていないというか。僕の中には常にきれいに歌いたいという気持ちがあるけど、この曲の歌はザラザラしていて、それがマッチしてる気がするんですよ。それに、こういう時期があったということを音源に残せたのも良かったと思う。作品というのは、作り手の一瞬一瞬をパッケージしていきますからね。

同感です。今作は良質な2曲が並んでいますし、ともにタイアップ曲でいながら“リアルなflumpoolを味わえる”という意味で必聴の一枚になりました。さらに、7月からはホールツアーもアナウンスされています。

山村
このあとは春にアルバムをリリースして、そのあとにツアーが始まる流れになってます。アルバムは“Real”というタイトルになる予定で、ツアーもそれありきのテーマで回ることになるかと。僕らは2008年に『Unreal』というミニアルバムでデビューしたんですけど、“Unreal=非現実”というところから始まって、紆余曲折…挫折や痛みを感じたり、活動休止もあって、いろんな経験をしてきた。その上で、今は等身大の自分たちでリアルな夢を追いかけているんです。そういう姿をちゃんと見せられるアルバムであり、ツアーにしたいと思っています。そういう意味で、今までとはまったく違ったflumpoolを見せられると思うので、楽しみにしていてほしいです。
阪井
アルバムツアーは久しぶりなので、みんなで作った新しい曲を披露するのがすごく楽しみです。新曲に対してどんな反応が返ってくるのかを生で感じられるのは、ライヴの醍醐味ですからね。早くそれを体感しにいきたいなと思っています。
尼川
ライヴがどういうものになるかはまだ全然分からないけど、ツアーはいつも楽しみだし、今回もまた何かを得られる場にしたい。それに今回は久しぶりに行く場所も結構あるので、待ってくれていた人たちに楽しんでもらえるように頑張ります。
小倉
これだけ長いツアーだとアルバムの曲がどんどん育っていくと思うので、それも楽しみです。初めてライヴをする会場もあるんですよ。会場によって箱鳴りは違うので、音の変化も楽しめるツアーにしたいですね。会場によって音が違う、曲が育っていく、リアルな姿を見せていくということが相まって、毎回印象の違うステージになると思う。全公演を観ても、毎回楽しんでもらえるツアーになると思います。

取材:村上孝之

シングル「素晴らしき嘘」2020年2月26日(水)発売 A-Sketch
    • 【初回限定盤(DVD付)】
    • AZZS-101
    • ¥2,300(税抜)
    • 【通常盤】
    • AZCS-2079
    • ¥1,300(税抜)

『flumpool 10th Tour 2020』

07月11日(土) 山形・シェルターなんようホール(南陽市文化会館)
07月12日(日) 岩手・盛岡市文化ホール
07月17日(金) 静岡・静岡市清水文化会館マリナート
07月19日(日) 長野・まつもと市民芸術
07月25日(土) 愛知・愛知県芸術劇場
07月26日(日) 愛知・愛知県芸術劇場
08月10日(月・祝) 大分・J:COMホルトホール大分
08月14日(金) 大阪・フェスティバルホール
08月15日(土) 大阪・フェスティバルホール
08月17日(月) 兵庫・神戸国際会館 こくさいホール
08月22日(土) 茨城・ザ・ヒロサワ・シティ会館(茨城県立県民文化センター)
08月23日(日) 栃木・栃木県総合文化センター
08月29日(土) 東京・オリンパスホール八王子
08月30日(日) 東京・オリンパスホール八王子
09月05日(土) 新潟・新潟県民会館
09月12日(土) 香川・サンポートホール高松
09月13日(日) 福岡・福岡サンパレスホテル&ホール
09月19日(土) 富山・薪川文化ホール(ミラージュホール)
09月20日(日) 石川・本多の森ホール
09月22日(火) 滋賀・滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール
10月02日(金) 埼玉・大宮ソニックシティ
10月11日(日) 広島・広島上野学園ホール
10月17日(土) 奈良・なら100年会館
10月18日(日) 和歌山・和歌山市民会館
10月24日(土) 神奈川・神奈川県民ホール
10月25日(日) 神奈川・神奈川県民ホール
10月31日(土) 北海道・函館市民会館
11月06日(金) 熊本・市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本市民会館)
11月14日(土) 群馬・高崎芸術劇場
11月29日(日) 岡山・岡山市民会館
12月03日(木) 東京・中野サンプラザ
12月04日(金) 東京・中野サンプラザ
12月11日(金) 京都・ロームシアター京都
12月13日(日) 三重・四日市市文化会館
12月19日(土) 北海道・札幌文化芸術劇場 hitaru
12月27日(日) 宮城・仙台サンプラザホール

flumpool プロフィール

フランプール:山村隆太、阪井一生、尼川元気の3人でのアコギユニットを経て、知人の紹介で出会った小倉誠司が加入して結成。2008年10月1日リリースした配信シングル「花になれ」がデビュー10日間で100万ダウンロードを突破して話題に。翌年には日本武道館公演を成功させ、3年連続でNHK紅白歌合戦にも出演を果たした。17年12月に山村が歌唱時機能性発声障害であることが判明し、治療に専念するため活動休止。19年1月13日、バンドの結成日でもあるこの日に大阪・天王寺公園でゲリラライヴを実施し、活動再開を発表した。20年5月にアルバム『Real』をリリースし、22年3月にはコンセプトアルバム『A Spring Breath』を発表。15周年イヤーとなる23年は10月にベストアルバム『The Best flumpool 2.0 ~ Blue[2008-2011]& Red[2019-2023]~』をリリースし、同月6日には日本武道館でのワンマンライヴを開催。flumpool オフィシャルHP

「素晴らしき嘘」
初回限定盤DVDトレーラー

OKMusic編集部

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