Seven Billion Dotsの圧倒的な牽引力
に満ちたロック

2018年2月に結成してから半年経たずに、その夏のSUMMER SONICに出演。冬にはRO JACKで優勝、COWNTDOWN JAPANにも出演するなど、勢いよくスタートダッシュを切ったSeven Billion Dotsが、メジャーデビューE.P.『Stay With Me』をリリース。オルタナティブロックやエレクトロ、ドメスティックなポップ感など、さまざまな音楽性をときに繊細に、ときに大胆に紡ぎ生まれる牽引力に満ちた4曲は、まさに“驚異の新人”と呼ぶにふさわしい。今回はMasafumi(ボーカル)と双子のKen(ギター)とLyo(ドラム)、メンバー3人それぞれの音楽的背景やバンド結成時のことから現在に至る流れを辿り、その実力の秘密に迫る。

Photography_Keiichi Ito
Interview & Text_Taishi Iwami

誰かにとって、新たな考えが生まれるき
っかけになるような音楽を作りたい

――Masafumiさんと双子のKenさんとLyoさんの出会いから、2018年の2月にSeven Billion Dotsを結成するまでの経緯を教えていただけますか?

Masafumi : 出会ったのは2017年の終わり頃です。僕はバンドではなくダンスとボーカルをやっていて、Lyoは別のバンド、Kenはギタリストとしてバンドのサポートや個人の活動と、それぞれ別の畑にいたんです。当時の僕は、どうしてもロックバンドが組みたくて、その気持ちをある人に話したらKenを紹介してくれました。そしたら双子だからってLyoもついてきて(笑)

Ken : 双子だから……(笑)。まあざっくり言えばそんな感じですね。それが2017年の終わり頃のことで。そこから本格的に動き出したのが、2018年の3月ですね。

――Masafumiさんは、なぜロックバンドを組みたかったのですか?

Masafumi : 歌もダンスも自分なりに頑張ってはいたんですけど、なかなかうまくいきませんでした。「才能がない」って言われたこともありましたし、ずっと扉のない部屋の中にいる感じがして、なかなか出口が見つからないような状態でした。そんな時に、Bring Me the Horizonの「Avalanche」を聴いて、すごく感銘を受けたんです。「こんなにも熱いエネルギーが詰まっていて開放的な音楽があるんだ。音楽ってもっと自由にやっていいんだ」って、ハッとしました。
――それまではロックバンドの曲を聴くことはあまりなかったんですか?

Masafumi : All Time Lowはメロディがすごく好きでよく聴いてました。今も曲を作るにあたって影響が出ている部分はあるように思います。でも、ロックに特化していろんなバンドを聴いていたわけではなかったです。

――Bring Me the HorizonやAll Time Lowは、ファッションやパフォーマンスなど、画的な部分も影響力のあるバンドです。そこで腑に落ちた部分もあるんですけど、どうでしょう。

Masafufumi : そこはBring Me the HorizonやAll Time Lowより、国内のバンドから刺激を受けて学ぶことが多いですね。例えば、ONE OK ROCKSUPER BEAVERって、ステージを観たときの”色”も強くてほんとうにカッコいい。曲や歌がいいことは大前提で、僕らの音楽をもっと響かせるためには、視覚から人の心を打つこともすごく重要だと思うんです。僕はもともとダンスをやっていたこともあって、動きの一つひとつに対して、すごく細かいところまで気を配ることは染みついてるんで、当時みたいに踊るわけじゃないですけど、そこはバンドにも活かしていきたいと思って、意識してます。

――KenさんとLyoさんの音楽的なルーツも、聞かせていただけますか?

Lyo : 兄弟でミュージックステーションを観ていたら、L’Arc-en-Cielが出てきて。

Ken : 「Hurry Xmas」を歌うHYDEさんに一目惚れでした。そこからL’Arc-en-Cielのいろんな曲を聴くようになって、バンドをやってみたくなったんです。でも当時は中学生だったし、ギターとベースの役割とか、どの楽器からどんな音が出てるのかとかもわからないまま、なんとなくギターを持って、バンドスコアのタブ譜を見て弦を弾いて、「これがギターか。なんかこの音好きかも」みたいな感じでした。
――そのあとはどのような道を歩むのでしょうか?

Ken : L’Arc-en-Cielの曲をたくさんコピーしているうちに、ギターの音がどんどん好きになりました。でも、そのあとはずっとヘビーメタル。高校に入学したときにできた友達が、みんなメタル好きで、でも楽器は初心者だったんです。僕だけがX JAPANの「紅」とか、ちょっと弾けたから、「オマエ、メタルできるよ」ってなってバンドに入ることになって。メロディックデスメタルのバンドとかもやってました。

――メロディックデスメタルといえば、In FlamesChildren of Bodomは00年代のユールカルチャーにおいてもムーブメントになりましたが、少し後追いですよね?

Lyo : そうですね。Children of Bodomは僕も大好きです。

――Lyoさんは、なぜドラムを選んだのですか?

Lyo : 僕はL’Arc-en-Cielから入って、しばらくしてX JAPANに出会って、YOSHIKIさんがドラムを叩く姿に衝撃を受けたんです。当時の知識だと、あんなにドラムが目立ってるバンドはほかに知らなかったし、とにかくあそこまで叩けるようになりたくて、頑張ってました。

――2017年末に集まった段階で、MasafumiさんはKenさんとLyoさんとは初対面。そこからお互いの感覚をどう擦り合わせ、Seven Billion Dotsのサウンドを作っていったのですか?

Masafum : 僕が持ってたメロディと歌詞をもとに、3人で作りながら擦り合わせていきました。感覚的には、音楽性を固定するというより、それぞれの個性を活かして起こる化学反応を楽しんでましたね。

――そして結成初年からオーディションで勝ち抜いて、「SUMMER SONIC」や「COUNT DOWN JAPAN」に出演されます。

Masafumi : 2年目でメジャーデビューが決まったことも含めて予想外でしたし、まだまだ至らないことだらけだとは思いつつ、素直に嬉しいです。そして、何より、僕らに力を貸してくれる人たちや、投票をしてくれたりコメントをくれたりする人たちへの感謝が大きいです。この先、みんなでいろんな景色を見ていきたいと思っています。

――どんな景色を想像しますか?

Masafumi : 音楽的には自由にいろんなことをやっていきたいんですけど、そのうえで、大きな目標としては、たくさんの人々に届く曲を作っていきたいですし、日本だけに留まらず海外に出ていきたいですね。

――どんな想いを多くの人々に届けたいのですか?

Masafumi : 僕が個人的な活動のことでふさぎ込んでいた時に、Bring Me the Horizonの「Avalanche」を聴いたことが転機になったように、誰かにとって新たな道を作る、新たな考えが生まれるきっかけになるような音楽を作ってライブをしたいんです。

ライブには、僕らにぶつかるくらいの勢
いで楽しみに来てほしい

――まさに、今作『Stay With Me』は、聴いた人々を新たな場所に導き、感受性の扉を開くような音楽であることが芯にあるからこその、多面的な魅力を持つ作品だと思いました。また前ミニアルバム『pieces』と並べても、音楽的なレンジの広い作品になっています。

Masafumi : 特に大きな変化があったわけではないんですけど、僕ら3人だけでなく、チームとしての仕事の賜物だと思います。バンドとして初めから考えていたのは、表現の幅を広げようということ。「Stay With Me」は、今までもこれからも、僕らの主軸となってくる部分で、ほかの3曲は、そこからどんどん可能性を広げていくための一歩になったように思います。

――「Stay With Me」は、これぞアンセムだと思いました。

Masafumi : :この曲はかなりライブを意識しています。イントロからシンガロングできるコーラスがあって、そのメロと同じリードギターを鳴らして、ギターのフレーズだけ聴いても合唱できる曲にすることで、さらに一体感を高めて、みんなで一緒に進んで行くようなイメージでした。

――そのフレーズも含めた全体のギターワークがすごく興味深い曲ですが、どんなイメージで音を重ねたのでしょう。

Ken : 例えば、サビはバッキングが2本と1本はメロディを弾いてるんですけど、聴いてくれた人たちに、空とか、そういう大きな景色が浮かぶような、スケール感や心地いい残響は意識しました。

――ドラムは、打ち込みと生のグルーブとの関係性やリズムのバリエーションについて、どんなことを考えましたか?

Kyo : 前提としてはちゃんと歌に合うフレーズであること。そうえで、出ることろはしっかり出る、みたいな。ノリに関してはかなり感覚的なんです。

――2曲目の「MELTING SALTY ICE CREAM」は、明るいポップソングなんですけど、すごく個性的で、一言で言うと新感覚。

Masafumi : 踊れる曲が1曲欲しいねって。ちょっとチャラいパーティー感を出そうと思ったときに、まずメロディが浮かんで、歌詞もちょっとエッチなアイスクリームの歌に。

――そこに、本格派ロックドラマーとギタリストの顔が出てくる、すごくユーモアのある曲だと思いました。

Masafumi : そうですね。ただのパーティ感じゃない、僕らならではのアレンジになったと思います。

――「アゼリア」はすごく美しい曲線を描くような曲に。Masafumiさんの声にもまた新たな魅力を感じました。

Masafumi : 繊細な歌い方をしてるんですけど、ほかにも「武器になるよね」って言ってくれた人もいました。新しい僕の魅力として伝わっていたなら、嬉しいです。
――おそらく意識はされてないと思うんですけど、90年代へのノスタルジーも感じます。

Ken : 同じことをエンジニアさんにも言われました。テーマが初恋だったんで、ちょっと懐かしい感じは出したくて、ギターは古めなコーラスをかけたまま弾いていったんで、そこが90年代っぽいのかもしれないですね。

――言葉もすごく綺麗で、何度も歌詞を追いました。。

Masafumi : アゼリアはつつじのことなんですけど、白いつつじの花言葉は”初恋”。まだ何も描かれていない真っ白なキャンパスに白い花、白と白の色味がすごく綺麗だと思ったところから始まって、”赤みを帯びた髪”とか、色にまつわる言葉を入れていきました。聴いてくれた人たちに、色や景色が見えるような曲にしたかったんです。

――そして締めの「No looking back」は、本作から始まるさらに大きな未来を想起させます。

Masafumi : これはLyoくんが始めて歌詞を書いたんです。

――書いてみて、どうでしたか?

Lyo : 言葉選びはいろいろ考えましたけど、メロとオケが既にあったんで、テーマはすぐに出てきました。バグパイプとかが入っていて、旅っぽい曲だなって。だから、過去も含めた人生もひとつの旅としてとらえて、昔の友人や仲間に向けて、前を向いていこうって気持ちを込めた曲を書きました。

Masafumi : 「Stay With Me」はアンセムに、「MELTING SALTY ICE CREAM」はみんなで踊って盛り上がれる曲に、「アゼリア」でじっくり聴かせて、この曲で締めて次に繋がる。少ない曲数ですごくいい並びになったんで、今は過去の曲も合わせてどうライブで演奏するか、すごく楽しみです。

――Seven Billion Dotsにとってのライブとは?

Masafumi: : 僕らはもちろん100%出しきることが、想いでもあり責任でもある。さらにお客さんからエネルギーをもらうからこそ発揮できるポテンシャルもあるし、それを受けてみなさんもさらに楽しくなって、その瞬間にしかない空気が生まれることが、ライブの醍醐味だと思います。僕らの曲をそんなに知らなくてもぜんぜん問題ないんで、僕らにぶつかるくらいの勢いで、楽しみに来てくれたら嬉しいですね。

作品情報

Seven Billion Dots Major Debut E.P.
『Stay With Me』
2019.12.11日 release
※TVアニメ『GRANBLUE FANTASY The Animation Season 2』オープニングテーマ収録

・通常盤(CD):ESCL-5302/1,500円(税込)
・初回生産限定盤(CD+DVD):ESCL-5300~01/1,800円(税込)
・期間生産限定盤(CD+DVD):ESCL-5303~04/2,000円(税込)


Seven Billion Dots オフィシャルサイト

Seven Billion Dotsの圧倒的な牽引力に満ちたロックはミーティア(MEETIA)で公開された投稿です。

ミーティア

「Music meets City Culture.」を合言葉に、街(シティ)で起こるあんなことやこんなことを切り取るWEBマガジン。シティカルチャーの住人であるミーティア編集部が「そこに音楽があるならば」な目線でオリジナル記事を毎日発信中。さらに「音楽」をテーマに個性豊かな漫画家による作品も連載中。

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