若きギターロックヒーロー爆誕。秋山
黄色1stワンマン『登校の果て』
そんな秋山黄色による初めての単独公演はソールドアウト。会場にはグッズのTシャツやタオルを身につけたファンがひしめき合い、開演前から熱気が充満している。彼がステージに現れると、オーディエンスからは割れんばかりの大歓声が。秋山黄色の初単独ライブ、記念すべき1曲となったのは「猿上がりシティーポップ」だ。
Photography_Yuri Suzuki
Interview & Text_Akihiro Aoyama
居心地悪そうに鬱憤を吐き出すロックン
ロール
続いて「やさぐれカイドー」を披露した後、チューニングしながら初めてのMC。「栃木県宇都宮市から追い出されてやってきました、秋山黄色です。俺のこと知ってるよっていう人?そうなんだよ。ソールドアウトだって、ありがとう!」と話し、「今日は知らない曲もバンバンやるんで」と語ると、会場からは大歓声と拍手が巻き起こった。
「今日は地球上で一番大声出しても許される場所にみなさん来てしまったので、日ごろの鬱憤だとか……みんな鬱憤相当溜まってる顔してる(笑)」と毒っ気混ざった初MCを締めくくり、未発表曲を挟みながら「クラッカー・シャドー」へ。ぶっといベースラインがリードするドラマチックな展開と、「薄暗い 部屋 今日も一人/眩しい 空 みんな一人」と歌われる歌詞の世界観にオーディエンスは再び一つになった。
「Drown In Twinkle」では少し速度を落とし、会場も横に揺れるようなムーヴへ。楽曲ごとに音色を変えて、出色の技巧に蒼い感情を乗せる彼のギターセンスが際立って聴こえる。続く「ドロシー」はこの日初めてのバラード的楽曲で、抑えた伴奏の上をたゆたう歌声とギターのフレーズにオーディエンスは酔いしれていた。
夢から覚めて辿り着いた、素晴らしい登
校の果て
「俺、幼稚園の頃の夢がお寿司屋さんだったんですね。小学生の時は漫画家になりたくて、中学生で夢がなくなったんですよ。それをずっと責められて、結局僕は高校で進路を選ぶときに楽器を選んだんですね。何なら今も不正解だったんじゃないかって思う時が結構あるんです。でもそのお陰で素晴らしい“登校の果て”にたどり着けたので個人的には良かったなと思ってます。あのとき夢がなくなったんじゃなくて、夢から覚めたんだなって思って。そもそも夢って見るもので、叶えるもんじゃない。不正解からスタートするものっていっぱいある。でもこんなもん後から正解にすることなんていくらでもできる。だから自分を持って、酸いも甘いも忘れないでいた方が良いと思う」
そう言って8月に公開されたばかりの最新楽曲「夕暮れに映して」へ。エレアコの音色から始まる、鮮烈なナンバーだ。続いて「弾き語りします」と言い、ここから、未発表の楽曲が立て続けに披露された。まずはエレアコをソリッドなカッティングでかき鳴らし、そのフレーズに手数の多いドラムが張り合う。シームレスにドラムソロへと移行して、再びエレキギターに持ち替え、ギターリフを奏で出すと、続いては強烈なスラップベースがカットイン。そこからレッド・ホット・チリ・ペッパーズを想起させるようなファンキーなジャム・セッションが続いた。
何もいらねぇって気持ちでいたい
終わった後も鳴り止まない拍手と歓声に、秋山黄色が再び登場。2月28日(金)に渋谷WWWで追加公演が開催されることが明かされ、その勢いのままに2度目の披露となった「猿上がりシティーポップ」が演奏された。完全燃焼、という言葉がよく似合う熱気溢れる1時間半だった。
デビューからわずか1年強で、フルアルバム発表前にも関わらず完全ソールドアウトの初ワンマンライブへと辿り着いた秋山黄色。この日居合わせた人々は、宅録部屋に引きこもっていた彼が新たなギターロックヒーローへと生まれ変わる瞬間を目撃したのだ。
秋山黄色 Twitter
若きギターロックヒーロー爆誕。秋山黄色1stワンマン『登校の果て』はミーティア(MEETIA)で公開された投稿です。
ミーティア
「Music meets City Culture.」を合言葉に、街(シティ)で起こるあんなことやこんなことを切り取るWEBマガジン。シティカルチャーの住人であるミーティア編集部が「そこに音楽があるならば」な目線でオリジナル記事を毎日発信中。さらに「音楽」をテーマに個性豊かな漫画家による作品も連載中。