佐野勇斗「デビューの頃の気持ちがよ
みがえります」 『里見八犬伝』で初
座長に抜擢

2012年の初演以降、日本テレビが企画・製作し、再演、再々演とブラッシュアップを重ね続けているスペクタクル時代劇『里見八犬伝』。その4回目となる2019年版で主人公の犬塚信乃に抜擢されたのが、若手俳優の注目株・佐野勇斗だ。8つの玉に導かれた8人の犬士(剣士)たちと悪霊との戦いを描く壮大な物語に立ち向かうフレッシュな才能のきらめきが、今、開花する。
ーーまずは本作への出演が決まったときのお気持ちをお聞かせください。
僕は舞台がこれで2本目になるんですが、初舞台は上京したての18歳の頃、今から3年前のことです。そこから時を経てこんな大きな作品で主演をやらせてもらえるなんて……すごいことですよね。今は正直、不安も大きいです。俳優としてまだまだ未熟な僕にこの役目を任せていただいて、本当に演じ切れるのかと……。
佐野勇斗
ーードラマ出演も多く、映画では主演作も複数。映像のお仕事は多いですよね。
そうですね。でもドラマと舞台とでは求められるお芝居も相当違うと思います。例えるなら、サッカーをやってた人が野球をやらなくちゃっていうくらいに別物。それもあって、『里見八犬伝』への出演が決まってからは結構時間が経つんですけど、自分的にはなかなか実感が持てずにいたんです。ビジュアル撮影でメイクをしていただいて衣装もつけて、それでやっと“あ、ホントにやるんだなぁ”って(笑)、そういう気持ちになれました。照明を落としたところで撮影をしているときはなんとなく舞台の上にいるようなイメージも膨らませることができましたし、改めて、新たな挑戦に向けて引き締まる思いがしました。
ーー佐野さんが演じるのは主人公の犬塚信乃。役へのイメージは?
親を殺してしまったり……いろんな感情がとても複雑に入り混じっているキャラクターだと感じています。年頃ならではの儚さもあり、反面、強さも備えている。そういう“揺れ”もしっかり演じていきたい。いつもは役作りを考える際に台本の裏に自分が演じる役の性格とかそれまでの人生とか……親とはこういう口調で話すのかなっていうような細かなところも含め、台本にはない役のバックボーンを書き出すんです。そうした上で、“佐野勇斗と似ているところは考えなくても大丈夫だから、違うところはどうアプローチしていけばいいのか”というのをよく考えます。ただ今回は時代劇なので感覚も違うでしょうし……ちょっと困ってます(笑)。なにしろ初めてのことがまだまだ多いので。まずは稽古の中で自分らしいやり方をつかんでいかないと。舞台のことを考えると、なんだかデビュー当時の気持ち、初ステージのときの思いがよみがえります。
佐野勇斗
ーー時代劇はこれが初。本格的な殺陣も初めて。
はい。今はまだほんとに練習を始めたばかり。剣の持ち方や振り方など、基本の動きから教わっている段階です。映像で前回公演の様子を見ていると、みなさん軽々と刀を振っているように感じたんですが、実際稽古に臨んだら当たり前ですが相当な体力が必要で。思ったよりも下半身を使う動きも多く、これをあんなに軽々とスマートに見せていたなんて、みなさんすごいと思いました。ただ、僕はダンスをやっていて、動きを真似ることは慣れているので、殺陣でもそこを少しでも活かせたらいいなと思います。でもやっぱり、ダンスと殺陣は根本が違いますよね。難しい。もっともっと稽古したいです。昔の人は刀で人を斬っていたわけですから、そういう歴史的なこともちゃんとわかった上でしっかり殺陣を学んでいきたい。信乃の力強さを生かした殺陣の形を目指しています。​
ーー今日は演出の深作さんともお話しできたそうですね。
少しの時間だったんですけど、「先輩たちとはまた違う八犬伝を一緒に作れたらいいね」と仰っていただきました。優しくて、こちらに寄り添ってくださる方でしたので、稽古でも遠慮せずたくさんお話ししながらやっていければと。あと、人を斬るっていう感覚を今の時代でわかろうとするのは難しいことだよねっていうお話にもなって。そうしたら深作さんが「例えば料理。鶏肉なんかを毎日切ったらいいよ。魚とかも」って。ちょっとドキッとする話ですけど(笑)。あと「刃物でなにかを切るということに日常から慣れていくことで、刀の扱いがわかることもあるんじゃない?」って。なるほど、そういう考えもあるんだなって思いました。もしかしたら僕、舞台が終わる頃には料理上手になっているかもしれないです(笑)。​
佐野勇斗
ーー本格的なお稽古はまだちょっと先ですが、初の主演舞台、初の座長。その心構えなどは?
座長……そうですよねぇ。出演者のなかで、年齢はちょうど真ん中くらいなんですけど、僕はまだまだ未熟者。みなさんに助けられることのほうが多いと思います。そんな座長ですが、やっぱり作品の雰囲気、カンパニーに流れる空気って大事なことだと思うので、まずはお芝居に全力で挑む姿勢ということを忘れず絶やさず頑張っていきたいと思います。先輩方の背中も追いながら、最後まで熱い思いは忘れずに挑み続けるしかないですね。​
ーー熱さ、お客様にも存分に伝えたいですね。
舞台は今まで自分がやってきたライブのステージとも違うし、自分のお芝居をカメラの前じゃなく生のお客様に直接届けるっていうのは、未知の難しさもありますけど……そこで伝えられることの大きさ、感動の大きさはすごいんだろうなと思うと、本当に楽しみです。頑張った分、成果も必ず感じられる場所というか。実は歴史はあまり得意じゃないんですけど(笑)、この世界に入ってからそういうお仕事も多いので、興味を持ち始めているところです。なので、僕のように歴史が苦手な方も、ぜひこの作品をきっかけに時代劇の良さを知ってください。好きになってください。もちろん、僕自身も時代劇をもっともっと好きになりたい。長く愛され続けている作品の主役を演じられる喜びを忘れず、みなさんに作品に込められた“思い”を届けていきたい。そんな気持ちを届けたいです。犬塚信乃、熱く演じられたらと思います。​
佐野勇斗
ヘアメイク::望月光(Reno Beauty)
スタイリスト:本田博仁(HIROHITO_HONDA STYLING OFFICE)
取材・文=横澤 由香 撮影=安西美樹

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