Tsubasa Shimada(PRIZMAX)
presents『Wet Crate』
- 第35回 Joe Sample -
PRIZMAXのパフォーマーでありながらDJとしても活躍する島田翼が、長年集め続けた珠玉のレコードコレクションの中からお気に入りを紹介する、偏ったエゴ満載の連載企画。この機会にぜひ、ループミュージックの世界観に浸ってみてはいかがでしょうか?
僕は平成8年生まれですから、生きているなかで元号が変わることははじめてでありまして、時代の変化を体感する貴重なゴールデンウィークです。
我々PRIZMAXは平成の終わりに大きな変化を迎え、滑り込むように一枚のアルバムを世界に向けてドロップしました。いまや音楽は波形情報となって世界中を飛び回り、どこの国の、誰が耳にしているか、それは令和何年のことなのか、僕には想像することしかできません。
それはレコードも同じです。いま僕が中古で買ったレコードが、ひとつ前はどこの、どんな人が所持していたものなのか、ではふたつ前は…そしてその人はこの音楽とどんなエピソードがあったのか、どんな出会いをしたのか。
引っ越しで止む無く手放されたレコードなのかな。もしかしたらコレクションしすぎて誰かに怒られた結果勝手に売り飛ばされたものなのかな。など。音楽は旅をします。
家のレコードコレクションを整理しているとひとつひとつの盤を手に取りながらそんなことを考えています。
このJoe Sampleのレコードは僕が昨年末に横浜のディスクユニオンで棚の奥の奥から引っ張り出してきたものです。音楽に詳しくなくても、いろんな思い出や過去のことを想像しながら、ゆっくり針を落とす時間を設けてみると、なんだか音楽の情報だけでなく、そのレコードの声までが聴こえるような気がするんです。