“いま”のfox capture planサウンド
が届けられた『CAPTURISM TOUR』ファ
イナル公演をレポート
2018.11.4 東京・EX THEATER ROPPONGI
fox capture plan
続けざまに井上のドラムから「Cross View」、さらには岸本のピアノから「行雲流水」に繋げていったのだが、3人が繰り広げるパワフルな演奏や、美しいストリングスの音色だけでなく、ステージ上に多数設置された棒状のLEDライト、スピーディーに切り替わっていくスタイリッシュな映像など、さまざまなものが一体となって作り出されたその空間はなんとも美しかった。そして、カワイのベースから「We Are Confidence Man」へ。アドリブ満載のソロパートも大迫力で、岸本はソロを決めた後に両腕をあげて客席へアピールするなど、前半戦にも関わらず、全員がキレキレの演奏で魅了していた。
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ここで一旦ストリングスカルテットが席を離れ、3人で曲を披露して行くことに。変拍子が絡み合うポストロック的な「衝動の粒子」を皮切りに、エレクトロなシーケンスから始まった「Mad Sympathy」では、クールな印象を与えつつも、ラストで井上のアグレッシヴなドラムソロが飛び出す。その勢いのままだなだれ込んだ「Liberation」では、1曲の中で緩急をつけた構成──とはいえ、「緩」といっても、彼らにしては音数が少ないだけで、調和とアドリブがせめぎ合う緊張感のあるものではあったが──で魅せると、立て続けに「疾走する閃光」へ。まさにその曲題の如く、白色の照明が素早く瞬く中で、3人の音が凄まじい勢いで転がっていく。その勢いをさらに加速させるように、井上が16ビートを猛然と打ち鳴らし始めて突入したのは、Arctic Monkeysの「Brianstorm」! ただでさえ比較的速めな原曲のBPMよりもさらに速いテンポで、スリリングかつダーティーに突撃していく3人の音と姿は、とにかく壮絶。その凄まじさは、演奏後に客席から送られる拍手がまったく鳴り止まなかったことが物語っていた。
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アンコールでは、fox capture planが劇伴を務めたドラマ『健康で文化的な最低限度の生活』のメインテーマ「LIFE」を、ストリングスカルテットを交えた7人編成で披露。どこかセンチメンタルな響きのあるメロディーを奏でる岸本のピアノを、情熱的で躍動感のあるプレイで支えるカワイと井上、ストリングスにはどこか悲哀や切実さ、そして力強さがあり、なんともドラマティックな名演となった。その余韻に浸る間もなく、バスドラムをキックし始める井上と、マイクを持ってステージ前に歩き出す岸本。「なんかボーカリストみたいな動きになってますけど!」と客席を煽った後、定位置に戻り「今日はありがとうございました!」と、「エイジアン・ダンサー」へ。客席から再びクラップが沸き起こり、大団円でツアーの幕を下ろした。
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文=山口哲生 撮影=Takahiro Takinami
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