フレデリックが地元神戸に凱旋・初の
アリーナワンマンで、新曲発表&“T
OGENKYOの先へ”と向かうライブをレ
ポート

フレデリック『FREDERHYTHM ARENA 2018 ~KOKYOのTOGENKYO~』2018.04.30(mon)神戸 ワールド記念ホール
フレデリックが、4月30日に兵庫・神戸 ワールド記念ホールで初アリーナワンマン『FREDERHYTHM ARENA 2018 ~KOKYOのTOGENKYO~』を開催。神戸は、バンド結成の地であり、メジャーデビュー翌年の15年に上京するまで三原健司(Vo./Gt.)と三原康司(Ba.)、そして赤頭隆児(Gt.)が活動の拠点としてきた街で、昨年には高橋武(Dr.)がメンバーとして正式加入することを発表した場所。彼らが大事な一歩を踏み出してきた、全ての“始まりの地”で、詰めかけた超満員の観客と共に新たなターニングポイントを迎えた。今回は、楽曲のリズムや歌詞の世界観をより広げる趣向を凝らした演出の数々まで、徹底レポートする。
フレデリック
開演の時間が刻一刻と迫るごとに、ボルテージが高まっていた会場が暗転。スクリーンに映し出されたのは、地元・神戸を代表する街並み。三宮駅から会場へ向かう道程に徐々にアルバム「TOGENKYO」にデザインされたカラフルなグラフィックがオーバーラップしていき、ラストは会場のワールド記念ホールに視界が飛び込んでいくというオープニング映像。観客の盛大なクラップに迎えられ、登場したメンバーが鳴らしたのは昨年10月にリリースして以降、ツアーで全国各地のファンとこの曲で想いを繋いできた大事な楽曲「TOGENKYO」。
フレデリック
レーザービームが飛び交い、早くも神戸ワールド記念ホールを“フレデリズム”色に染め、そのまま健司が「極上のエンターテインメントをお届けします!」と口火を切って「リリリピート」に。続けて「トウメイニンゲン」、「パラレルロール」と畳みかけるだけでなく、早くも新曲「シンセンス」まで惜しみなく披露し、クラップの嵐を巻き起こす。
フレデリック
ここで一拍置いて暗転。しばらくの間続いた静寂を切り裂くように、急きょ爆音が轟き「ナイトステップ」へ。油断も隙も無い、常に予想を裏切る演出にメンバーの遊び心がにじみ出ていて心踊らされる。さらに感慨深かったのは、インディーズ時代の楽曲「幸せっていう怪物」がアリーナに響き渡った瞬間。《明日何ができるか》と繰り返し歌い続けて来た彼らが、遂にアリーナワンマンを実現させたんだと改めて実感させてくれた瞬間で、さらにこのライブが終わった“明日”からは、どんな景色を見せてくれるのだろうかと期待に胸を膨らませてくれる瞬間でもあったからだ。事前のインタビューで、神戸でのインディーズ時代を経たからこそ、今の自分たちがあると語っていたメンバー。その時の“明日何ができるか”という感情を綴った楽曲で、過去の想いを現在、そして未来へと繋げようとしているように思えて込み上げてくるものがあった。
そして、観客が鳴らすクラップのリズムを借りて「かなしいうれしい」へとなだれ込んでいき、「うわさのけむりの女の子」では、会場のあちらこちら、スタンド席にまで設置された34台にも及ぶスモークマシンが起動。ステージが見えないぐらいにモクモクと立ちこめる。
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周りが見えないからこそ幻想的に響く音に集中でき、より楽曲の非日常な世界観を味わえる演出に。文字通り、炎がメラメラと吹き上がった、アングリーなナンバー「まちがいさがしの国」から一転。康司と高橋の煌びやかなビートが弾む「RAINY CHINA GIRL」では、ミラーボールが光の雨を降らし、踊っているこの瞬間こそが正解だと思わせてくれる多幸感溢れるダンスタイムに。

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再び暗転。スクリーンには、メンバーが控室のような場所に腰かけ、音を合せているような映像が映し出される。しばらくして、「よし!行こうか」とメンバーが立ち去る映像を、観客が集中して眺めていると、なんとアリーナ席後方からメンバーが登場。そのまま観客と触れ合いながら、会場中央に設置された特設ステージに移動していくサプライズな展開に。
フレデリック
驚きながらも歓喜する観客たちがメンバーの名前をおもむろに叫び、今まで以上に親近感のある温かい声援が飛び交う。インタビューで、ライブハウスと違った広いステージだからこそ、物理的な観客との距離の遠さに孤独感を感じるのではないかと不安を語っていた健司。まさか、こんな形で、まさに物理的な距離を縮めるだけでなく、さらに心の距離まで縮めるとは……。楽器機材の他、ソファやベッド、花瓶などの家具が置かれた部屋のようなラフなセットの特設ステージでは、アコースティック形式のバンド“FAB”として、一味違うステージングでみせる。
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「2年ぐらい前、上京して全国に活動を移していこうというタイミングで、自分たちの伝えたいことも増えてきた中で作った大事な曲です。アリーナでこの曲を、アコースティックで、俺の歌で歌えることを嬉しく感じます」と切り出し、健司の弾き語りから「ハローグッバイ」を披露。アコギの温かみのあるサウンドが、楽曲のメッセージ性を強め、観客とも大合唱を成功させた。
フレデリック
ここまで、ほぼMCなしで進んできたのが、セットのラフさもあり緩やかなMCタイムに。改めて、メンバーによる自己紹介タイムに。康司は、「自分の始まりの土地で、目指していた場所でライブができることがほんまにうれしいです。幸せもんですわ!」と喜びをかみしめ、高橋も「ちょうど、1年前に神戸で加入を発表して。それから今日、ここで最高の景色をみせようと、フレデリックとチームで一丸となって作ってきました。実際に立ってみて分かったんですけど、こっちから見る景色も最高です!」と想いを語る。赤頭は部屋風のセットを見渡しながら「関西に住んでいた時、こんな感じで俺の家で曲を作ったりしたことを思い出した」と、当時を振り返った。それから、「アリーナ!スタンド!」というお決まりのコール&レスポンスも決める。何気ない場面だが、改めて痛感したのは、歓声の大きさと一体感。当たり前だが、この日はフレデリックのアリーナのワンマン。みんなフレデリックが、彼らの音楽が好きで集まった人たちばかりだということを、メンバーも再確認したのか満面の笑みを浮かべていた。「非常に浮かれているのには訳があります」と健司。実は今日、三原家が集合しているんです。康司と双子で生まれ育ったから、2倍迷惑をかけてきました。その分、2倍、恩返ししたくて……それを見てもらえるのが嬉しい。その気持ちを音楽で伝えたいです」と、ステージにかける想いの丈を語り、「最強のフレデリックという船で、ワールド記念ホールという海を渡っていきたいと思います!」と「ほねのふね」へ。
フレデリック
特設ステージが上昇すると、レーザービームとスモークが水平線を作り出し、固定ミラーボールからの光の粒と相まってアリーナから見るとまるでステージが月明かりに照らされた静かな海原に浮かんでいるような演出に、また驚かされる。
メインステージに戻って、今度は「FUTURE ICE CREAM」。アコースティックの後だからこそ、余計にダイナミックに感じるバンドサウンドが熱を帯びていき、《今この瞬間を待ち望んでいた》と熱唱した「シンクロック」、まだまだ遊び足りないと言わんばかりに《帰りたくない》と繰り返す「KITAKU BEATS」ではミラーボールにネオン、レーザービームのフルコンボ!興奮の沸点をまだまだグングンと上昇させ、高橋の地を揺らすようなドラミングから「オドループ」に。赤頭が、お立ち台で鋭いスーパーギターソロをキメ、最後は「オンリーワンダー」を投下。キラキラ紙吹雪が舞う怒涛の展開で、踊り狂う最高潮を迎えた。
フレデリック
アンコールでは、改めて「故郷に帰ってきまっした!ただいま!」とあいさつ。「「TOGENKYO」という曲ができたからこそ、俺達、絶対にアリーナでワンマンができると思いました。それでもこのステージに立つためには、俺ら4人だけの力だけではダメで、数えきれないスタッフとか、今日こうやって来てくれたみんながいてこそ。足りないところを埋めてもらって、みんなで作った桃源郷やと思っています。みんなに改めて、感謝を伝えたい。ほんまにありがとうございました!」と涙を浮かべながら、健司が感謝を伝えた。さらに、「“TOGENKYO”のその先に繋げていきたいです。ものすごい未来を見せてやるから、これからもフレデリックをよろしく! 2018年、まだまだ足りない……」と、「たりないeye」を披露。
フレデリック
スクリーンにはMVが流れ、聴き入っていると、先ほどの特設ステージを部屋にみたてて女性がダンスする、MVとリンクした演出で、最後の最後まで観客を驚かせる演出に。演奏を終えると、メンバーが肩を組んでマイクを通さず地声で挨拶。「この最高の景色を持って、フレデリック2018年、TOGENKYOの先へ行きます!」と健司が、「TONGENKYO」のジャケットにもなっている絵画を持ってステージを後にした……。
と、ここで終わりかと思いきや、「おつかれさまでした!」とメンバーがバックヤードに入っていく映像が流れ、エンディングロールに。そして、先ほども見た控え室に帰り、再び音を合わせる同じ映像にタイムリープ。「よし!行こうか」と再び登場するダブルアンコールとなり、「TOGENKYOの先を見せると言いましたよね? 新曲やって帰ります!」とまさかまさかの、7月にリリース予定の新曲「飄々とエモーション」を初披露! 
フレデリック
アリーナのステージに相応しいスケールの楽曲で、最後まで観客を驚かせ、楽しませ、踊らせることを考え抜いた初のアリーナワンマンを、健司は「フレデリック第2章、始めます!これからもよろしく!」という言葉で締めくくった。
フレデリック
ここが最終目的地ではなく、常に“今が一番楽しい”と思える瞬間を追い求め、前のめりに先を見続けるフレデリックらしさを貫いたライブを成功させ、観客と共にまたとない“TOGENKYO”の景色をみせてくれた。そして、今度はどんな景色を見せてくるのか、彼らの飽くなき探求心の“最果て”まで付き合っていきたい。
また、新曲の「飄々とエモーション」は、5月2日放送のFM802『UPBEAT!』(月~木・11:00~13:00)でライブを終えたばかりのメンバー全員のコメントと共にオンエアされる予定なのでこちらもチェックしてみよう。
レポ―ト・文=大西健斗 撮影=渡邉一生・森好弘

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