【対談】人間椅子 鈴木研一×BARKS編
集長、ライブ盤を語る
新年が明け1月も中旬にさしかかった頃、人間椅子 鈴木研一(Vo&B)と話をする機会を得た。
2月1日に発売となるライブ盤『威風堂々〜人間椅子ライブ!!』へのインタビューなのだが、ライブ盤ということで、「お互いに思い出のライブ盤を持ち寄り、それを聞きながら話しましょか」なんてことになった。そんな楽しげな状況で話が無駄に弾まないわけがない。結果、ロック好きのふたりがただただ他愛もない音楽談義に興じるだけという、正月気分の抜け切らないゆる〜い雑談企画に変貌してしまった。
以下は、鈴木研一とBARKS編集長 烏丸哲也による、とりとめもないロック談義である。酒でも呑みながら、ぬらりくらりとお楽しみいただければ幸いだ(お酒は20歳から)。
◆ ◆ ◆
BARKS編集長 烏丸哲也:ということで、ライブ盤…しかもアナログレコードをお互い持ち寄りましたが。
鈴木研一:昔から友達と聴かせたり聴かせてもらうのって大好きで、このキャッチボールができるなと思って、すげえ楽しみにしてきました。
烏丸:僕もです(この人『威風堂々〜人間椅子ライブ!!』の宣伝するつもりないな)。
鈴木:中学の頃って金がないから、欲しいアルバムが2枚あると「俺こっち買うから、キミそっち買ってくれ」って、友だちと交換っこしていましたよね。あの頃、ナイト・レンジャーの1st『ドーン・パトロール』とトライアンフ『ネバー・サレンダー』が同時に出ていてね、俺がナイト・レンジャー、友達がトライアンフを買ったんだけど、交換したら友達が「失敗したぁ、ナイト・レンジャーのほうが良かった」って。俺は「トライアンフの方が良かったな」と思ったんですけどね(笑)。
烏丸:あるあるですね。今回はどんなものをお持ちいただいたんですか?
鈴木:いいライブ盤というよりも、凄く聴いたものを持ってきました。まずはこれ、高校生の時に出た『MONSTERS OF ROCK』のライブ盤。
烏丸:おー、きたー。
鈴木:このレインボーはコージー・パウエルとグラハム・ボネットがいた時代で、このライブを最後にコージーが脱退するんです。脱退が決まっている状態でライブをやっているんですよ。そう思って聴くと、この「スターゲイザー」なんて涙なくしては聴けない(笑)。
烏丸:A面1曲目から涙(笑)。
鈴木:コージー・パウエルもすげぇ一生懸命叩いているの。でね、このスコーピオンズもちょうどウルリッヒ・ロート(ウリ・ジョン・ロート)が辞めて、マティアス・ヤプスが入ってすぐの初々しいライブなんですよ。あとライオットとサクソンでしょ。メンツがすごい。そしてカナダのエイプリル・ワイン。
烏丸:エイプリル・ワイン、懐かしい。
鈴木:あの頃「オール・ナイト・ロング」(レインボー)がすごい好きでね、そのライブが入っているということで買ったんですけど、そしたら全部良かったってアルバムです。僕はこういうカードを切りましたけど、編集長はどんなカードを?
烏丸:んじゃ、やっぱスペードのエースですかね(とディープ・パープル『ライブ・イン・ジャパン』を出す)。
鈴木:おー、かぶりました(とディープ・パープル『ライブ・イン・ジャパン』を出す)(笑)
烏丸:ですよねー。これはもう大基本ですから。
鈴木:家に同じのが2枚あるくらい(笑)。あの頃みんな聴いていましたね。でもジャケットを見ると最前列の人って座ってて「こんな凄いいいライブで座っていられるのかよ」って思っていました。
◆対談(2)へ
烏丸:アナログ時代は、ジャケットやインナーも穴が開くほど見ましたよね。レコードが傷付くのがイヤでカセットテープにダビングして聴くんですけど、この『ライブ・イン・ジャパン』の長さが微妙でね、2枚組なのに7曲しかなくてどうにも気持ちよくテープに収まらない。結局「ミュール」いらねぇやって、6曲を60分テープに収めて聴いてたなぁ。
鈴木:確かに俺のカセットも「ミュール」と「スペース・トラッキン」は途中で切れてた。そういうのありましたよね。アイアン・メイデンの3rd『魔力の刻印』も最後の曲「審判の日」が途中で終わっていてね、あと20秒位なんですけど、その先をずっと聴いたことがなかった(笑)。
烏丸:カセットテープの場合は、まちがってREC(録音)ボタンを押しちゃって、音が一瞬消えちゃうというのもありましたよね。いつもそれを聞いているから、毎回そこで音が途切れるのが当たり前になっちゃったりして。
鈴木:ありますあります、それもカセットあるあるですよね。俺の場合はね、ピンク・フロイド『炎〜あなたがここにいてほしい』のレコードが「クレイジー・ダイアモンド」で針飛びを起こすんだけど、ちょうど符割りがあっているの。だから、あそこのキーボードフレーズを何回も繰り返す「クレイジー・ダイアモンド」が僕のバージョンなんです(笑)。
烏丸:ぶはは、それはひどい(笑)。すごい時代ですね。それにしても今回はライブ盤を持ち寄りましたが、でも当時はライブ盤ってあんまり好きじゃなかったなぁ。
鈴木:それはあるかも。KISS『アライブ(地獄の狂獣KISS・ライヴ)』の第一印象は、意外と「あんまりよくねえなあ」だったんですよね。死ぬほど聴いたから持ってきたけど。
烏丸:でも名盤ですよ。「KISS聴くなら『アライブ』から」と言う人もいるくらいで。
鈴木:はい。だけどなんだろ、最初の「デュース」「ストラッター」から、テンポが違うなーって。
烏丸:ちょっと速すぎ?
鈴木:ほとんど速いんですよね。遅くなってくれるんだったらカッコいいんだけど、ちょっと速い。音もなんかね、特にドラムがスタジオ盤とぜんぜん違うから、それでがっかりした覚えがある。でも今聴くとね、みんながなんで凄えっていうか分かります。どの曲もライブ用にアレンジを直している点がスゴイんです。フェイドアウトの曲とか「こうやって終わるんだ…」って思ったな。
烏丸:確かに、フェイドアウトの曲をどうやって終わらせているのか、そこには凄く興味ありましたね。ライブ盤の醍醐味のひとつだったな。
鈴木:「こうやって終わるのか!」って凄く感動したのもあるけど、「え、これはないだろ…」というのもありますよね。ひどいなと思ったのはイーグルスの「ホテル・カリフォルニア」。
烏丸:「ジャジャジャジャ!」って強引な終わりね。僕も「え、こんな?」って思いました(笑)。
鈴木:多分ね、あまりにもソロがかっこよすぎて、いい終わり方が思い浮かばなかったんだと思うんですよね。だからフェイドアウトにしちゃったんだと思うんです。絶対そう。実際アウトロ(エンディング)って考えるの難しいんですよね。
烏丸:人間椅子の場合、フェイドアウトは?
鈴木:ほとんどないですね。特に和嶋くんは、エンディングまでかっちり作らないと気が済まないタチだから。フェイドアウトで終わらせるのって、なんかごまかしているような…そんな気がするような感じかな。
烏丸:分かります。なんか手抜きに見えるよね。
鈴木:そうなんですよね。「なんだ、エンディングが思い浮かばなかったのか?」って思っちゃう。でねフェイドアウトの曲って、終わりを長めに録っておくんだけど、そこを弾いているときって「どうせ聴こえなくなる」と思うと凄いむなしいんですよ。でもちゃんと演奏しなくちゃいけない。そういうときに限って凄いフレーズが出てきたりしてね、ガッカリ(笑)。どうせ聴かれないんだと思うと、すごく手が自由に動いて、むしろ良いプレイになる。
烏丸:これもミュージシャンあるあるですね。
鈴木:最近再発CDのボーナストラックで、そのフェイドアウト部分を出してきたりするんですよ。ディープ・パープルとかもフェイドアウトだからと思ってだるい感じで終わっていたりしてるの。でも意外と、力が抜けたいいプレイをしていたりするんですよね。リッチー(・ブラックモア)の力の抜け方はハンパじゃないですけど(笑)。
烏丸:気分が乗らないときの彼のライブのひどさ、ね。
鈴木:あれもライブ盤ならではですよね。『ライブ・イン・ジャパン』は凄く良いプレイをしていますけど、ひどいときはルート音をビーーンって伸ばしているだけだもん。「どんだけ機嫌悪いのよ」って思いますよね(笑)。
烏丸:あのときは、ステージ上でポーズとってパフォーマンスしているのかな?
鈴木:そうそう、画がないから想像するしかなくて、それがまた楽しいんだけどね。「リッチーが機嫌悪くて、またロジャー・グローヴァーやイアン・ペイスがハラハラしてる」とかね。だから、昔はリッチーのひどいソロを聴くとがっかりしたものだけど、今聞くと逆に楽しい。
烏丸:まさにライブだ。
鈴木:ライブ盤と言いながら人によってはスタジオで弾き直したりするけど、リッチーはそのままリリースしちゃう。そこがいいですよね。
◆対談(3)へ
烏丸:では、次のカードを出します。クイーン『ライヴ・キラーズ』です。
鈴木:これ来ましたか…クイーン好きですか?んじゃ、悪く言わない(笑)。
烏丸:言っていいですよ。全否定しますから(笑)。
鈴木:いやだってこれ、もうちょっといい選曲あったんじゃないの?って思うんですよ。そう思いません?「ゲット・ダウン・メイク・ラヴ」って入れる必要ないっしょ。もっといい曲いっぱいあるでしょ。
烏丸:んー、ま、まあね。
鈴木:この曲を初めて聴いた時は凄く暗い気持ちになってね、「クイーンにもハズレの捨て曲ってあるんだなぁ」と思ったんだけど、この曲をライブ盤に入れてきたんすよねー。これ入れるんだったら「オウガ・バトル」とか入れて欲しかった。
烏丸:そういう意味で言うと、常に進歩/進化を遂げていったバンドだから、あの頃のクイーンにとって1st〜3rdアルバムあたりの初期作品は、既に過去のものだったんじゃないのかな。最終的にはフレディは風貌も大きく変化していくくらいだから、当然最も尖った最新のクイーンを選ぶわけで。
鈴木:そうかそうか。「オウガ・バトル」は髪の長い頃にやるからこその曲だったんすね。なるほど。でも「39」を入れてくれたのは嬉しかった。この曲はすごい好きで。懐かしい気持ちにさせてくれる曲なんですよね…なんかキュンとしちゃう。
烏丸:ブライアン・メイの歌が朴訥としていますよね。『ライヴ・キラーズ』は、たった4人でクイーンの世界をライブでどう再現するのかが楽しみで、発売日に買ったんです。なのでこれ、初回限定の赤/緑のカラーレコードなんですけど、これが普通の黒いレコードより音が悪いという(笑)。
鈴木:見てもいいですか? おーカッコいい。衝撃すね、この緑のレコード。パッと見はソノシートみたいで安っぽいんだけど、でもカッコいいわ。いい色。この『ライヴ・キラーズ』の印象は赤と緑でしたよね。
烏丸:当時のクイーンのステージ・ライティングが、この色でしたね。で針を下ろして、いきなり「ウィ・ウィル・ロック・ユー」のファスト・バージョンにびっくり。
鈴木:どうすか、あれ。ファンとしては。
烏丸:とにかく最初は驚きと戸惑い。「僕はこんなのは求めてない」と(笑)。
鈴木:求めていないですよね。「なんでこんなふうにするんだ。こんな軽快な「ロック・ユー」はいらない」と思っていました。むしろもっともっと遅くなって場内大合唱にしてほしかった。あと「ボヘミアン・ラプソディ」の途中がテープになるのって、どう思いました?
烏丸:「あの壮大なコーラスを4人でどう表現するのか?」が最大の謎だったから、まさかのテープでずっこけた。
鈴木:「演奏を途中でやめるってこと、あるんだ…」って衝撃だった。たとえしょぼいアレンジでも生演奏でやって欲しいと思ったなぁ。
烏丸:全く同感ですね。そんな反則あるんか?って(笑)。
鈴木:びっくりしましたよね。それで『ライヴ・キラーズ』の印象が悪いんです(笑)。
烏丸:なるほどね。僕はむしろ「クイーンはスタジオ・アーティストなんだから、ライブで再現なんかできっこない」と勝手に思い込んでいたので、ライブ盤が発売されるということ自体がサプライズだったの。だから、そういう意味では何も期待していなかった分、裏切られた感は小さかったのかも。
鈴木:次のカードいいですか?これ、いろいろ問題ありますけど…ジューダス・プリースト。
烏丸:『イン・ジ・イースト』ですね。ロブ・ハルフォードのボーカル差し替えまくりの(笑)。
鈴木:それでもいいですよね、このアルバム。今だから分かるんだけど、そういう差し替えってみんなやっていたんですね(笑)。
烏丸:ライブ・イン・ジャパンと言わず『イン・ジ・イースト』と付けたネーミングもカッコいいと思ったな。
鈴木:確かに。日本のライブがアルバムになったのって、ディープ・パープルとこれと、あとチープ・トリックくらいしかなかったですよね。このアルバムから学祭でコピーしたから、さんざん聴き込みましたよ。
◆対談(4)へ
烏丸:それでは、僕は「これは知らないだろう」と思しきカードを出します。パット・トラヴァースの『ライヴ!』です。
鈴木:名前しか知らない。これは聴いたことないです。聴かせてください。
烏丸:これは、ラジオで聴いて一発で惚れて即買いしたアルバム。こういうちょっとファンキーで跳ねたグルーブのある音楽を聴いたことがなくて、一聴してシビレた。
鈴木:ライナー見ていいっすか?…お、ドラムがトミー・アルドリッジじゃないですか。すんげえベースも上手いっすね。いいっすね。
烏丸:スタジオ盤も持っていないのに、いきなりライブ盤を買った初めてのバンドだった。そういう買い方したのって、自分でも珍しかったなぁ。
鈴木:確かにライブ盤ってハードル高いですよね。俺はグランド・ファンク・レイルロードがいきなりライブだったですね。
烏丸:あー、確かにグランド・ファンクのライブも名盤ですからね。分かります。
鈴木:グランド・ファンクとシン・リジーはスタジオ盤よりライブ盤のほうがはるかにいい。
烏丸:スタジオ盤が良くないというよりも、ライブが抜群に良すぎるんじゃないですかね。ライブ盤から買って大失敗しちゃったという悲しい思い出のアルバムもあるんですけど…出していいですか?ジェフ・ベック『ライヴ・ワイアー』。
鈴木:えー?ジェフ・ベックだったらBB&A(ベック・ボガート&アピス)じゃないですか?
烏丸:これはね、「なんか有名な人だよな」と思って、何の知識も情報もないままいきなり買っちゃったの。当時ロックというのはハード・ロックかヘヴィメタルのことだと勝手に思っていたんで、当然これもハード・ロックだと思ってね(笑)。ワクワクして聴いたらびっくり。ボーカルもねえしワケのわからんクソおもんねー音楽と思った(笑)。これほど買ってがっかりしたアルバムもないという。当時の俺にジェフ・ベックは早すぎた。
鈴木:確かにジェフ・ベックもハード・ロックの人だと思っていましたよねぇ(笑)。ジェフ・ベックほど予想と違う人もいなかったかも。一緒に演っているのがヤン・ハマーという時点でハード・ロックにはなりえないんだけど。
烏丸:このアルバムのカッコ良さに気付くのは、それから数年後かな。
鈴木:今聴いたらこれ、凄くないですか?ドラムも凄いっすね。
烏丸:全く。でも当時は、こういう「パッションをほとばしらせて表現する音楽」というスタイルの存在自体知らなくて、聴いても意味がわからなかった。「え、どこがサビなの?」とか。
鈴木:高校生の頭では理解できなかったっすね、確かに。改めて聴くとすごい音していたんだなって分かります。高中正義のライブもそうだけど、動かないで弾いてるから“動”の要素はないんだけど、それでもすごくいいライブで演奏者もオーディエンスもものすごく興奮している名演ってあるでしょう?動きで勢いを出すハード・ロックだけが激しいわけじゃないんですよね(笑)。音で激しさを出すということもあるんだなーと。
烏丸:そうですね。勝手な勘違いをしてがっかりしたのって何枚かあったなあ。
鈴木:俺の間違いよりいいんじゃないですか?俺なんか山内テツのソロを買おうとして山下洋輔買っちゃった。全然違う(笑)。
烏丸:だははは、それはキツイ(笑)。ビデオレンタルで「トップガン」借りたつもりで観たら「オーバー・ザ・トップ」だった、ってことあったけど(笑)。トム・クルーズの戦闘機じゃなくてスタローンの腕相撲が出てきた。
鈴木:でも『ライヴ・ワイアー』はいい買い物だったんじゃないですかね。買ったときにはいいと思わなくても、そのまま持っておくべきなんだなぁ。
◆対談(5)へ
烏丸:人間椅子もライブ盤『威風堂々〜人間椅子ライブ!!』をリリースするわけですが、人間椅子にとってライブ盤ってどうとらえていますか?スタジオ盤とは全く性格を異にする作品でしょう?
鈴木:ライブ盤は、演奏しているその時の記録なんですよね。同じ曲でも今と10年前は違うし、10年後も違うはずなんですよ。それを記録できるというのは凄くありがたいことで、ましてや人に聴いてもらうというのは凄く嬉しいんですよね。KISSを聴いてても、彼らはアルバムを3枚くらい出す毎にライブ盤を出してくるんだけど、その時の演奏が聴けるというのは、ライブに行けないだけに嬉しいですよね。特に初期なんて、やる気満々のメンバー仲も良かった頃のKISSを聴く唯一の手段じゃないですか。だから人間椅子も、このあと誰かが死んじゃったり怪我したりするかもしれないし、この音で演る機会というのは二度とないわけなんですよ。それを記録に残せるだけでまず嬉しい。
烏丸:なるほどね。
鈴木:しかも、前のライブアルバム(『疾風怒濤〜人間椅子ライブ!ライブ!!』)とは曲をダブらせないで作った…「針の山」以外全部新しいし、ライブに来れない人にもライブの気合/熱気というかエネルギーみたいなものを聴かせられるから、それもまた嬉しいし。
烏丸:でも、何をもってベスト・パフォーマンスとするか…どのテイクをライブ盤として世に出すか、その判断/決断は難しいでしょう?
鈴木:本当にいいものを出したいと思ったら、全ライブを録音しておかなくちゃいけないけど、それにはお金もかかるしね。だから、その時の断面…バッと切ったその切り口を観てもらうことになりますよね。残念なところもあるけど、その緊張感がいいのかもしれないし…それはわかんないな。とにかくそのままを聴いてもらうということなんですけどね。
烏丸:なるほど。全公演を録ったところで解決する問題でもないのかも。そもそも「何のためにライブ盤を出すんだ?」って話にもなるね。
鈴木。そうそう、バンド全員で演奏しているのがライブ盤とするのなら、リハーサルの時の演奏が一番いいんです。特に人間椅子は、俺は今でも鳥肌が立つんですよ。手前味噌だけどリハだとびっくりするくらいいい演奏ができる。ま、それを本番でも演れよって話ですけど(笑)。でもやっぱりお客さんがいないと出せないノリってあって、ライブじゃないと録音する意味はないと思います。お客さんのノリによって出てくるバンド側のスピードやノリの揺れがいい味を出すんですよね。
烏丸:ライブってオーディエンスと一緒に作るものだもんね。
鈴木:そうなんですよ。ノセてもらっていいノリを出しているというところだし、そのリズムがカッコいいんですよ。これがクリックのような正しいリズムで演っちゃったらなんにも面白くないですからね。
◆ ◆ ◆
こんな調子で話は延々と続いていった。「もうインタビューはいいから、音楽聴きましょうよ」という鈴木研一の暴言を機に、さらに無駄話に花が咲く。ホワイトスネイク『ライヴ…イン・ザ・ハート・オブ・ザ・シティ』を肴に、「ニール・マーレイと同じモッキンバード使っていたんですけど、モッキンってすごい弾きにくいんですよ。そしたらニール・マーレイからアドバイスのメールが来てね…」という驚きの発言や、「このころの泥臭いノリが大好き」「何がいいって、ミッキー・ムーディとバーニー・マースデンが仲良くツインリードしている」「デヴィッド・カヴァーデイルってリフを作る才能がある」「よく見るとジャケはイラスト、人間椅子もイラストにすれば良かったかな…」と、とりとめもない会話が続くのであった。
ライブ盤『威風堂々〜人間椅子ライブ!!』は2月1日に発売となる。たかがライブ、されどライブ。ここに至るまでに積み重ねられた年輪の重みや人間模様も、ライブ盤から透けて見える魅力のひとつだ。どうやらライブ盤の面白さは、人生経験とともに変化も見せてくれるライブ=生き様の深さにあるようだ。
取材・文:BARKS編集長 烏丸哲也
『威風堂々〜人間椅子ライブ!!』のリリースを記念して、鈴木研一さんの直筆サイン色紙を抽選で1名様にプレゼントいたします。ご希望の方は◆プレゼントフォームよりご応募ください。なお当選者の発表は、商品の発送をもってかえさせていただきます(応募締め切り:2017年2月28日(火)23:59)
New Album『威風堂々~人間椅子ライブ!!』
2017年2月1日(水)発売
■初回限定盤(2CD+DVD)
TKCA-74474/価格:¥4,500(税込)
■通常盤(2CD)
TKCA-74475/価格:¥2,800(税込)
2017年2月1日(水)発売
■初回限定盤(2CD+DVD)
TKCA-74474/価格:¥4,500(税込)
■通常盤(2CD)
TKCA-74475/価格:¥2,800(税込)
収録曲(2016年度ワンマンツアーより厳選したライブ音源)
Disc1
1.阿呆陀羅経
2.ねぷたのもんどりこ
3.雪女
4.地獄の球宴
5.宇宙からの色
6.羅生門
7.時間からの影
8.芋虫
9.狂気山脈
10.人間失格
11.夜叉ヶ池
Disc1
1.阿呆陀羅経
2.ねぷたのもんどりこ
3.雪女
4.地獄の球宴
5.宇宙からの色
6.羅生門
7.時間からの影
8.芋虫
9.狂気山脈
10.人間失格
11.夜叉ヶ池
Disc2
1.恐怖の大王
2.芳一受難
3.今昔聖
4.見知らぬ世界
5.洗礼
6.黒猫
7.超能力があったなら
8.蜘蛛の糸
9.膿物語
10.迷信
11.針の山
12.新調きゅらきゅきゅ節
13.地獄への招待状
14.なまはげ
1.恐怖の大王
2.芳一受難
3.今昔聖
4.見知らぬ世界
5.洗礼
6.黒猫
7.超能力があったなら
8.蜘蛛の糸
9.膿物語
10.迷信
11.針の山
12.新調きゅらきゅきゅ節
13.地獄への招待状
14.なまはげ
<ライブ盤リリース記念ワンマンツアー「威風堂々」>
2017年
2月24日(金)栃木 HEAVEN’S ROCK Utsunomiya
2月26日(日)仙台 CLUB JUNK BOX
2月28日(火)高崎 club FLEEZ
3月3日(金)博多 DRUM Be-1
3月5日(日)高松 Olive Hall
3月6日(月)高知 X-pt.
3月8日(水)神戸 Chicken George
3月10日(金)大阪 梅田 AKASO
3月12日(日)名古屋 Electric Lady Land
3月14日(火)山梨 甲府 KAZOO HALL
3月17日(金)札幌 CUBE GARDEN
3月19日(日)青森 Quarter
3月22日(水)千葉 LOOK
3月25日(土)赤坂 BLITZ
2017年
2月24日(金)栃木 HEAVEN’S ROCK Utsunomiya
2月26日(日)仙台 CLUB JUNK BOX
2月28日(火)高崎 club FLEEZ
3月3日(金)博多 DRUM Be-1
3月5日(日)高松 Olive Hall
3月6日(月)高知 X-pt.
3月8日(水)神戸 Chicken George
3月10日(金)大阪 梅田 AKASO
3月12日(日)名古屋 Electric Lady Land
3月14日(火)山梨 甲府 KAZOO HALL
3月17日(金)札幌 CUBE GARDEN
3月19日(日)青森 Quarter
3月22日(水)千葉 LOOK
3月25日(土)赤坂 BLITZ