【Superfly】穏やかな心境の中で歌い
たかったんです
気持ちを伝えるためのメロディー心を解
放することの大切さ
その“歌うテーマ”とはどういったことでしょう?
この1年間で感じたことをひとつひとつ、自分の中でより濃くまとめていかなきゃなっていう思いですね。だから、サウンドに関しても2ndアルバムのような攻撃的なものではなく、温かくて、海とか空とか、そういった自然が感じられるものの中で歌いたい感覚がすごくはっきりあって。そこから自分が歌いたいことを乗せていった感じなんです。
その前提となる音的なイメージも、歌いたい歌が実は明確にあったからこそ、自ずから芽生えたんでしょうね。
そう。去年1月に丸々一カ月、お休みをいただいたんですね。そこで旅行をしたり、実家に帰ったり。長期のお休みをいただいたことも初めてだったんですよ。それまでは、あまりの忙しさで気持ちがパツパツだったので、心の中の風通しがすごく良くなって、ふわーっと力が抜けた。そんな今までにない、穏やかな心境の中にあるいろいろな感情…不安もそうだし、幸せとか、優しさとか、そういったものをひとつひとつかたちにしていきたいなって思ったのが始まりなんですよ。
“仕事”を離れた場所でゆったりと過ごしていた自分が、たったひとりで感じる喜怒哀楽。そういう解釈でいいのでしょうか?
そうですね。2ndアルバムでは、歌っている内容が“私 対 人”だったんですね。すごく目の前にあるものだった。今回は“私 対 自然”。例えば、“私 対 犬”といったものでもいいんですけど(笑)、歌う範囲が少しだけ広がったような立ち位置なんですよね。さっきも話したように、以前は気持ちがパツパツだったので、道路の脇に咲いている小さなお花を見る余裕もなかったんですけど、今回は穏やかな心境が続いていたので、ふとした瞬間に目を向けている。それがわりと歌いたいことのヒントになったところがありますね。でも、当初は焦ってたんですよ。2ndアルバムで、それまでの歌うテーマは完結したような気がしてたので、ほんとに空っぽだったんですよね(笑)。あとはメロディー。今回は自分の心境、気持ちを伝えるためのメロディーというのをもっと追究していきたいなと思ったアルバムでもあって。だから、多保くんが作ってくれたメロディーを過去にないほど変えてもらったり、納得がいくまで曲を書き続けてもらったり。好きとか嫌いとかじゃなくて、これなら自分が歌いたい気持ちを乗せられるっていうメロディーじゃないと、歌ってはいけないような気がしたんです。そういう作り方って、意外としてなかったんですよ、曲ありきで進めていくことが多かったので。
冒頭でも触れられた「Ah」は、いわゆる歌詞がなく、“Ah”といった声だけで表現されていますよね。これがアルバムの最後を締め括ることで、よりいっそう惹き付けられる。予想だにしていなかった位置付けの楽曲になりそうな気がします。
それは嬉しいです。“Ah”と歌うのは簡単なようで、表現の仕方が難しい。気持ちの入れ方ひとつですごく変わってくる。実は歌詞のあるヴァージョンもレコーディングしたんですけど、この“Ah”はため息なんですね。なんですけど、人って辛ければ辛いことほど、言葉にできないし、誰かに言うこともできない。口にしてしまえば何かが壊れてしまったり、自分自身が認めてしまうことになるから、ついついしまい込んでしまいがちのような気がしてて。でも、そういうのって、積み重ねていくと、やっぱり心に負担がかかって、いつか壊れてしまうと思うんですね。だから、小さなため息をついたら幸せが逃げてしまうので、大きなため息をついて心を解放してほしい、そういう曲を作りたいって多保くんにオーダーをしたんです。ファンレターもよくいただくんですけど、誰にも言えないんですけどって、悩みを打ち明けてくれることも多くなってきて。時に私だったら到底、闘えないだろうなって内容のものもあるんですが、私はそういう人たちに元気をもらったり、支えてもらっていたりする。だからこそ、何か応えたいなと思ってできた曲なんですよ。
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