【真心ブラザーズ】大事なのは直感を
口にして行動すること
自身のレーベルを設立、そしてニューアルバム『Do Sing』を完成と、デビュー25周年を迎えてなお勢い付く、真心ブラザーズ。彼らの現在進行形が見える今作について、そして真心が25年間続いた理由について話を訊く。
取材:フジジュン
アルバム『Do Sing』を完成させた真心ブラザーズですが、デビュー25周年というところで思うところはありますか?
桜井
う~ん、正直あまりないかな。5年前、20周年でベスト盤を出させてもらったり、ワッショイして。それからそんなに経ってない感じがして(笑)。歳を取ると全部、一昨年の出来事くらいの感じがしちゃうんで、“あれからそんなに変わってないぞ?”って感じもあって。ただ、89年デビュー組はしぶとい人が多くて、25周年を銘打っていろいろやってらっしゃる方も多いので、“みんなでしぶとくやっていこう!”みたいな気持ちはありますね。やっぱり励みになりますよ。
YO-KING
僕はきっと長生きするタイプなんで、下の世代も重要だけどね。同世代は死んじゃうから、今のうちに若い子たちともっと仲良くしとこうと思って(笑)。
アハハ。下の世代へのライバル心ってあります?
YO-KING
ん~、ライバル心はさすがにないかな?
YO-KING
こっちは歳を取ってる強みもあるけどね。ただ、僕は若い人のほうが先を行ってるんだと思うようにはしてます。それを認めた上で、僕らは先輩としてできることを楽しくやってる姿を見せたいと思ってて。その背中を見せるのが何か参考になればいいなと思うし、後輩のためにも幸せなミュージシャン生活を送るモデルケースを僕らの世代が作っていかなきゃいけないなというのは思ってますね。
若い子たちにしたら、真心ブラザーズが25周年を迎えて、新レーベル“Do Thing Recordings”を立ち上げて、名前通りに“行動”している姿勢がすごく刺激になると思いますよ。
YO-KING
逆に今だからできるという部分もありますけどね。心身ともに健康的な時の直感って、霊力が備わっているから。その直感を口にするとバカにされることもあるけど、それを屁とも思わずに発言して、行動していくことが大事だし。
「I’M SO GREAT!」で《今の自分を褒めろ》と歌ってますが、自分を信じて、自分を褒めて、自信を持って行動することが大事なんですよね。
YO-KING
そうそう、自分を褒めていかないと。自分を褒めて、他人を褒めて、楽しく生きることが大事なの。
素晴らしいです! そして、アルバム『Do Sing』についてうかがいたいのですが、今作はどんな気持ちで取り組んだ作品だったのでしょうか?
桜井
「消えない絵」以外はわりと最近作った曲ですね。今年の春にLow Down Roulettes(全国ツアー『WE ARE SO GREAT!~俺たち、エライよね~』を回る際に、サポートベースの岡部晴彦とサポートドラムの伊藤大地を迎え結成された4ピースバンド)という、ひと回りくらい下のリズム隊とツアーを回りながら曲を作って、どこかの地方で発表してと、作りながら披露するやり方だったんで、“イマ感”はすごい出てると思いますね。
スタジオでできる曲とは、やっぱり違います?
桜井
歌なんて聴いてもらって初めて成立するものなので、その順番のほうが好きなんですよ。アマチュアの頃なんて、聴いてもらって全然ウケなかったらボツにしてたし、逆に自分でイマイチだと思ってもウケが良い場合もありますし。
YO-KING
ライヴツアーが土台にあるのが良いですね。僕、集中力が保たないんで、スタジオに1日入って3~4曲詰めるってのが嫌で(笑)。あと、ステージ上で聴く音って違うから、そこでいろんな判断をして曲を練っていけるのもいい。12曲とかあると好き嫌いも出てくるけど、お客さんの前でやると自分の中の評価が変わってくる面白さもあるかな。僕はカッコ良く言うと“天命に任せた人生”、カッコ悪く言うと“人の意見にプカプカと流される人生”を歩んでいて(笑)。基本的に自分の意見は置いといて、人の意見に従うようにしてるからね。そこも25年続いた秘訣かもしれないな。
こだわりすぎると、自分自身に縛られてしまうこともあるでしょうしね。今作もですけど、“真心ブラザーズとはこうだ!”という押し付けがないから、見る人によって見え方や魅力を感じる部分も全然違ったりすると思います。
YO-KING
そうかも。それが95年に象徴されてて、「スピード」を出して、2カ月後に「サマーヌード」を出してるからね。曲調が全然違うから、歌い手としては大変だよ(笑)。でも、俺は天命に任せるから、“決まったなら、歌おう”と。
桜井
さすがにあの時は戸惑いがあったよね(笑)。当時の担当ディレクターがイケイケで、“ここで振り切って、まったく別のことをやるほうがロックだ!”とか言ってて。でも、それを20年後、山下智久くんがカバーしてくれて、僕らを知らない世代も聴いてくれたりするわけだから、分からないもんですね。
そうですね、天命に任せることも重要ですね。
YO-KING
あとね、ひとつ良いこと教えてあげる。ツアーの移動中、僕が車窓を眺めながら聴く音楽って何だと思う?
あまりうるさいのは聴かなさそうですけど…。
自分大好きじゃないですか!!(笑)
YO-KING
大好き(笑)。自家発電できちゃうんだよ! で、“ここをこうして新曲作ろう”って自分のデモから影響受けたりして、飽きたら俺関連のCDを聴いてる。そんなことしてると、あっと言う間に目的地に着いちゃう。
自分を愛することも重要だと(笑)。最高です! そんな俺関連の最新作で、それぞれ特にお気に入りの曲は?
桜井
自分の中で新しいのは「splash」。僕もYO-KINGさんの曲も前向きで明るい曲が多いんだけど、昭和50年代の歌謡曲のドロドロ感とかも好きなんで、この暗い感じも新しいかなと。今すごくお気に入りの曲ですね。
YO-KING
僕は「君がそばにいるだけで」。これは、まさに自分が移動中に聴きたい曲を作った感じでしたね。しっかり聴き込むも良し、そのままウトウトするも良し…まぁ、自分の歌に感動しちゃって結局、寝れないんだけどね(笑)。
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『Do Sing』2014年11月19日発売Do Thing Recordings
- 【初回生産限定盤(DVD付)】
- TKCA-74157 3600円
マゴコロブラザーズ:1989年 大学在学中、音楽サークルの先輩・YO-KINGと後輩・桜井秀俊で結成。バラエティー番組内「フォークソング合戦」にて見事10週連続を勝ち抜き、同年9月にシングル「うみ」でメジャーデビューを果たす。14年に自身のレーベルDo Thing Recordingsを設立し、19年にはデビュー30周年を記念し、リスナー投票によるベスト10楽曲を収録したセルフカバーアルバム『トランタン』をリリース。20年は10月に17枚目となるオリジナルアルバム『Cheer』を発表。デビュー34年目となる今もなお、ライヴ、制作にと精力的な活動を展開している。真心ブラザーズ オフィシャルHP