【ライブレポート】田原俊彦、還暦記念ライブで見せた現役トップエンターテイナーのプライド
2021年2月に60歳を迎えた田原俊彦にとって、大きなマイルストーンとなった公演「60th Birth Anniversary TOSHIHIKO TAHARA Double T Wonderland 2021」が、11月10日に東京国際フォーラムにて華やかに開催された。
この還暦記念ライブ、当初は同会場で4月に開催予定だったが、緊急事態宣言が打ち出されたため直前に延期が決まった経緯がある。約7ヶ月後に仕切り直しとなったことで客席数の制限がなくなり、結果的により多くの人が、“トシちゃんの還暦”を祝う形になった。なお、事前に「ドレスコードは赤」だと告知されていたため、ファッションに赤を取り入れたファンが多く集まり、そこに赤いペンライトの光がプラスされ、客席は真紅に彩られた。
ライブの内容について触れる前に、田原の現在地について確認しておきたい。80年代のトップアイドルだった田原だが、90年代の終わり頃から苦しい時代がしばらく続いた。テレビ出演の機会は激減し、地方の小さなホールに閑古鳥が鳴いたこともあった。メジャーレーベルとの契約が途切れた期間も短くない。しかし、そんな時代も、毎年のツアー開催と、インディーズであってもシングルのリリースだけは続けた。そして、ステージでのパフォーマンスの質を落とすことをしなかった。それは田原の意地であり、矜持だった。風向きを変えるための唯一の手段だと信じていた。