めんたんぴんの『カントリー・ブレックファスト』

めんたんぴんの『カントリー・ブレックファスト』

めんたんぴんの
『カントリー・ブレックファスト』は
憧れの地であるアメリカで録音された
日本語ロックの名盤

3rdアルバム
『カントリー・ブレックファスト』

 1976年にめんたんぴんは寺井貢を新たにドラマーに迎え、ツインギター、ツインドラムの6人編成となる。そんな中で、精力的な活動を行ない、代表曲である「今日も小松の街に」を収録した『めんたんぴんセカンド』と本作の2枚のアルバムを発表する。どちらも名盤なので甲乙は付けがたいが、LAでレコーディング(これも当時の日本のシーンでは画期的)した本作はメンバーの楽しそうな笑顔が印象的なジャケット写真からして、めんたんぴんの大らかな雰囲気が伝わってくる。アメリカの乾いた気候、スタジオの機材、全てが新鮮だったであろう空気感がパッケージされたアルバムは、めんたんぴんの伸びやかでスケール感のあるサウンド、佐々木の包容力のあるヴォーカルにまさにいつの間にか笑顔にさせられる作品である。《始まる場所は生まれたとこから 始まる場所は育ったとこから》と歌うミドルロックチューン「始まる場所は」を聴いた時に、懐かしさを感じると同時に、くるりなどの現代のロックバンドを聴いているリスナーにも、この作品はまるで違和感なく届くのではないだろうかと思った。
 3曲目の「ツイストで踊り明かそう」はサム・クックの「ツイスティン・ザ・ナイト・アウェイ」の日本語カバーで(この曲の訳詞のみ、京都のライヴハウス「拾得」のマスターによるもの)、めんたんぴんのハッピーなバイブレーションがライヴを体験せずとも分かる演奏が収録されているが、改めて彼らの音源を聴いて思うことは、洋楽に影響を受けつつ、あくまで日本人スピリッツで音楽を昇華していることの素晴らしさ、オリジナリティーについてだ。2曲目の「川が海へそそぐあたり」にしてもそうだが、彼らの音楽の根底には故郷、小松への想いが流れていて、ロックンロール「ロック野郎」のようにツアーに明け暮れる日々を思わせる曲も数多い。そして、ツインギターの音色、豊かなフレーズもこのアルバムの醍醐味だ。時代が移り変わる中、めんたんぴんの本作を含む初期3作品は2014年の1月に紙ジャケ仕様、デジタルリマスターを施され、再発された。気になった人はぜひ、聴いてみてほしい。

著者:山本弘子

OKMusic編集部

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