現代の日本が抱える問題を描いた、新
国立劇場『楽園』が開幕 舞台写真と
山田佳奈(作)、眞鍋卓嗣(演出)の
コメントが公開

2023年6月8日(木)新国立劇場 小劇場にて、新国立劇場 2022/2023シーズン 演劇『楽園』が開幕した。この度、舞台写真に加え、山田佳奈と眞鍋卓嗣よりコメントが届いた。
本作は、日本の劇作家の新作をおくる、シリーズ【未来につなぐもの】第3弾。劇団□字ック主宰の山田佳奈の新作で、年に一度の女性だけで行われる神事を題材に、伝統継承と変化に揺れる地方都市の姿を通して現代の日本が抱える問題を描く。
演出は劇団俳優座に所属し、劇団外でも幅広く活躍する注目の眞鍋卓嗣。出演者は、豊原江理佳、土居志央梨、西尾まり、清水直子、深谷美歩、中原三千代、増子倭文江。
ワンシチュエーションで展開される、真摯で時に滑稽な女性7名の会話から、結婚、不妊、介護、パワハラ……女性たちが直面する問題が浮かび上がっていく。
本公演は、25日(日)まで上演される。
(左から)豊原江理佳、土居志央梨        撮影: 田中亜紀
【あらすじ】
日本のどこかの島の拝所(うがみじょ)。年に一度の神事の日。折しも村長選挙と重なり、その演説が風に乗って聞こえている。
世話役の「おばさん」とその「娘」が準備に明け暮れている。「娘」は最近、嫁ぎ先から離婚して島に戻ってきたらしい。「おばさん」はそれを嘆いているのだが、「娘」はどこ吹く風。そこに「村長の娘」が加わって、あれこれと差配を始める。「村長の娘」は今回の選挙では、父親が負けるわけにはいかないと気合も十分だ。やがて、「若い子」が現れる。いつものお手伝いのおばあが怪我をして、その代理で派遣されたのだ。島民も高齢化で、「若い子」のような外部からの移住者に頼らないと、日常生活もままならない。
準備が進むなか、「区長の嫁」が、神事の取材を希望するテレビ局の「東京の人」を連れてくる。「区長の嫁」は村の活性化の一助になれば、と撮影の許可を出したと説明するのだが、今回の選挙は区長が対立候補として立候補しているので、「村長の娘」は区長の一存で決めることではない、と一蹴。対抗意識を剝き出しにする。
そうこうするうちに、神職の「司さま」が登場。次々に準備の不手際を指摘し、一同、慌てふためいて準備を整え、なんとか神事が始まるのだが……。

作・山田佳奈よりメッセージ
実際に取材を重ねてきたものが、既視感のある景色としてではなく、新たな物語として舞台上に立ち上がりました。
俳優7名と演出家の眞鍋さんが紡いでくださった今作は、どこか遠い島の出来事のようでもありますが、我々が直面している多くのことを内在しています。
それらが客席の皆さんにどのような形で伝わり、観劇後にどのような読後感となるのか。劇作家として、この瞬間に立ち会えたことを嬉しく思います。
「未来につなぐもの」というテーマで描いてきたシリーズ第三弾として、多くの人に手渡せるバトンとなっていれば幸いです。
演出・眞鍋卓嗣よりメッセージ
いよいよスタートしました。出演者、スタッフ、全ての方が、この作品にとても前向きに関わってくださったことに心から感謝いたします。
昨今、世の中は物ごとの隔たりが極端になり、いったいどこに向かうのか不安な気持ちになります。
お客様には気軽に楽しんで頂きながら、少しでもそのような私たちの現在地とその先について考えを巡らせてもらえたら嬉しいです。

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