パク・ミンソン、『フランケンシュタ
イン』に「格別な愛情があります」ー
ー『BRANDON LEE コンサート』インタ
ビュー第1弾

韓国で最も愛された創作ミュージカル『フランケンシュタイン』と『ベン・ハー』の楽曲を、出演俳優の歌声とともに堪能できるコンサート『BRANDON LEE ミュージカル シンフォニー コンサート』が、6月17日(土)に東京の文京シビックホール、6月19日(月)に大阪のフェスティバルホールにて開催される。同公演のインタビュー企画第1弾として、日本版『ミス・サイゴン』にも出演していたパク・ミンソンに、最も愛着があるという両作品について訊いた。
『フランケンシュタイン』 写真提供=EMKミュージカルカンパニー 
両日出演するパク・ミンソンは、コンサートで演奏される『フランケンシュタイン』と『ベン・ハー』をはじめ、『三銃士』、『ジャック・ザ・リッパー』など来日公演歴もある人気作に数多く出演。これらの作品は今回のコンサートを率いる音楽監督イ・ソンジュン(作曲家としてはBRANDON LEE名義)と、演出家ワン・ヨンボムのタッグによって誕生している。二人の作品群に出演してきたパク・ミンソンは、まさに「秘蔵っ子」的存在の俳優なのだ。
彼の写真を見て「パク・ミンソン?」と思ったミュージカルファンもいるかもしれない。彼は2016年に日本キャスト版『ミス・サイゴン』にジョン役で出演。その際は「パク・ソンファン(本名)」という名前だった。当時日本で開催したミュージカルコンサートを観た関係者の目にとまり、オーディション参加を提案され見事合格。しかし日本語の台詞を消化せねばならないプレッシャーはかなり大きかったそうだ。
「日本は隣の国だけど、韓国語とは全く違うことばを使って舞台に立たなくてはいけないし、お客様にしっかり台詞を伝えなくてはいけない。劇中のジョンは素敵なキャラクターなので、お客様に「あ、あの俳優は外国人かな?」と思わせてはいけないといった使命感がとても強かったです。最後の名古屋公演の千秋楽まで、毎日が緊張のなかにあったような気がします」
パク・ミンソン
『ミス・サイゴン』を無事成功させ、日本で俳優としても有意義な時間を過ごして帰国した後、ワン・ヨンボム演出家の提案でパク・ミンソンに改名したという。この改名が功を奏したのか、以降『ベン・ハー』、『フランケンシュタイン』と次々に主演に抜擢。韓国キャスト版ミュージカル『容疑者Xの献身』(東野圭吾原作)では、日本版映画で福山雅治が演じた天才物理学者の湯川役を務めるなど、大劇場から小劇場作品まで縦横無尽の活躍を見せている。
そんな数ある出演作のなかで、最も愛着があるのがやはり『フランケンシュタイン』と『ベン・ハー』だという。特に『フランケンシュタイン』は日本キャスト版も上演され、多くのミュージカルファンに賞賛された作品だけに、コンサートを楽しみにしている方も多いだろう。
『フランケンシュタイン』 写真提供=EMKミュージカルカンパニー 
「『フランケンシュタイン』は、全キャストが一人二役を演じるところが俳優としては大きな魅力です。原作のもつスケールに加えてSF的なファンタジーの部分もあるので、観客の方々に感動を伝えられる作品。『ベン・ハー』の曲のほうがより男性的なイメージが強くて、『フランケンシュタイン』は華麗で美しいメロディーの曲が多いです。なので、正直なところ『フランケンシュタイン』の音楽のほうがより抒情的で、僕の好きな曲調に近いですね。実は、作品が世に出る前に僕が一番最初に歌をつけてガイド(出演者が曲のイメージをつかむため、あらかじめ仮歌を録音した音源)が作られたのです。このガイドと、のちに発売されたOST(オリジナルサウンドトラック)で、僕はビクター・フランケンシュタインの曲を歌っていました。ですが本公演ではアンリ・デュプレ(怪物)役を演じたので、僕は主人公2人をすべて演じたような感覚もあって、作品に格別の愛情がありますね」
一方の『ベン・ハー』は今回のコンサートが日本初披露となる。同名映画が世界的に有名な原作小説を基に創作された『ベン・ハー』は、帝政ローマ時代に生まれたユダヤ人貴族の青年ベン・ハーと、彼の幼なじみでローマ軍の司令官となったメッサラの友情と葛藤を描いた作品だ。
『ベン・ハー』 写真提供=EMKミュージカルカンパニー 
「『ベン・ハー』はとにかくスケールの大きさが凄かったです。原作小説が持つ力と、想像を超える規模のセットと音楽……と、これらの要素が合わさったウェルメイド作品だと思います。劇中で馬が牽引する戦車に乗って闘うシーンがあるのですが、楽曲は管弦楽器が多用され、聴いた瞬間にワクワクします。稽古のときから実際に戦車に乗って効果音なども入れて練習していたんですよ。だからとてもダイナミックなところが魅力だと思います」
『ベン・ハー』の代表的なナンバーは、彼が演じたメッサラが歌う「私がメッサラ」という曲。韓国のミュージカルファンの間では、「メッサラと言えばパク・ミンソン」と言われるほど、彼の熱演、熱唱が支持されていた。
パク・ミンソンが歌う『ベン・ハー』の「私がメッサラ」ミュージックビデオ
「「私がメッサラ」は、動きをつけず歌だけ稽古をしていたときは「あ、ちょっと難しい曲かな?」くらいでした。でも実際にシーン稽古を始めたら、大きな剣を持った殺陣もあるし、彼がローマの将軍になるまでの過程を5分以上のロングシーンで披露しなくてはならなかったのです。歌だけではなく、演技もアクションもやらなくちゃいけないので、めちゃくちゃ大変でした。稽古では当初、木刀を持って稽古していたのですが、本番では真剣に見えるよう特別に製作した重い剣を使って。それで、歌うのがさらに大変になりました(笑)。サビの高音パートを歌うのも大変だったけど、息苦しくて最後まで歌えないんじゃなかというほどだったので、剣の代わりに5キロのダンベルを持ってずっと稽古しました。お陰で身体が鍛えられて、重い剣を持てるようにもなって……それくらい極限まで稽古を重ねて、メッサラを完成させたのです。コンサートでは、剣を持たず、衣装も着ずに歌うことになりますが、大変な稽古を経てすでに僕の身体がメッサラになっているので(笑)、歌だけでも作品のエネルギーやパワフルさを十分に感じていただけると思います」
韓国で昨年10月に開催された本コンサートはチケットが即完売し、急遽翌月アンコール公演も行われるほどの人気を博した。パク・ミンソンは、アンコール公演時にゲスト出演している。
「イ・ソンジュンさんの楽曲は、音楽のジャンルを問わず無限の曲世界があるところが魅力です。曲を聴いた瞬間、大衆的なメロディーで耳に残ります。それで観客の方々に愛されているんじゃないかと思います。韓国のコンサートでは、オーケストラが60人編成で、とても勇壮な雰囲気がありました。それほどの大規模なオーケストラと共演する機会は韓国でも滅多にないので、そんな場に立てたこと自体が光栄で胸が熱くなったし、とても楽しかったですね」
『ベン・ハー』 写真提供=EMKミュージカルカンパニー 
『フランケンシュタイン』、『ベン・ハー』はともに熱烈なファン多数。今回のコンサートはパク・ミンソンをはじめ、出演する俳優たちにとっても貴重な機会となるだけに、海を渡って日本まで観に来る韓国のファンも多いはずだ。すでに今からワクワクしているという彼が、最後に日本の観客へメッセージを贈ってくれた。
「2014年にミュージカルコンサートで日本に行ったときも楽しかったし、とても幸せでした。今回はもっと大きい規模で、東京と大阪を代表するオーケストラとの共演という象徴的なコンサートになると思います。期待も大きい反面、正直なところ肩の荷が重いです。果たして、僕が日本の観客の皆さんの期待に応えることができるのか……と(笑)。『フランケンシュタイン』は、日本キャスト版が多くの観客に愛されたお陰で、こうやってイ・ソンジュンさんや共演した俳優と一緒に日本でもコンサートを出来ることになりました。頑張って準備していますし、日本の観客の皆さんに一日でも早くお会いできたらいいなと思っています。「(日本語で)アイシテル♡」」
パク・ミンソン
余談だが、日本に行ったら楽しみにしているものは? と訊くと「寿司ですよ! ホントに好きです!!」と日本語で熱弁。『ミス・サイゴン』に出演したときは週に4、5回は食べていたというから本当に大好きな様子。「大阪公演のときも寿司や天ぷらなど、道頓堀のメインストリートにある美味しいお店にはほとんど行った」と話していた。今回のコンサートで日本の観客と美味しいモノに再会できることを心から楽しみにしていることだろう。
文=さいきいずみ(韓劇.com) 撮影=オフィシャル提供

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