カラオケ大会でのプロポーズは成功す
るのか?! 中川晃教に出演舞台『S
HINE SHOW!』(シャイン・ショウ!
)への期待をインタビュー

『SHINE SHOW!』が2023年8月18日(金)から東京・日比谷シアタークリエで上演される。

 
物語の舞台は、とある複合オフィスビル内の会社の社員が歌唱力を競う夏のカラオケ大会。さまざまな思いを抱える“サラリーマン出場者”と、その舞台裏で数々のトラブルに見舞われながらもショーマストゴーオンの精神で乗り切ろうとする運営スタッフの物語だ。
脚本は、東京サンシャインボーイズの傑作『12人の優しい日本人』を2020年のコロナ禍でZoomを通して読み合わせる『12人の優しい日本人を読む会』の演出を手掛けた冨坂友。演出は『ローマの休日』や『シスター・アクト』でもお馴染みの山田和也。
今回SPICE編集部は、テナント企業の社員でカラオケ大会に出場する和歌山翔役を演じる、中川晃教にインタビューを実施。作品に懸ける思いを聞いた。
ーー今回『SHINE SHOW!』の出演にあたって、今どんなお気持ちですか?
とても楽しみにしている作品です。カラオケ大会という設定で曲が歌われるし、お芝居の要素が中心で、いわゆるミュージカルというカテゴリーではない作品だなと思います。小劇場の雰囲気もありつつ、でもシアタークリエで上演されるにあたり、クリエのお客様にも楽しんでいただけるようなエンターテインメント要素もある。僕自身も久しぶりじゃないかな、こういう形でお芝居やらせていただくのは。すごい楽しみです!
ーー今回、中川さんが演じられるのは〈和歌山翔〉という役です。テナント企業の社員で、カラオケ大会の出場者。付き合って2年の交際相手・由梨(柳美稀)にカラオケ大会で歌と共にプロポーズをしようとするも、由梨の元彼と曲目がかぶる……という役どころですね。
ふふふ、ちょっと楽しみですよね。演出家は(山田)和也さん。和也さんはとても緻密にコメディを作っていかれるので、僕としてはこの作品と和也さんの組み合わせがぴったりだなと。最初にイメージが湧きましたよね。
僕が和歌山翔をどういう風に演じるかというのは、正直これからなんですけれども……ちょっとせっかちというか、自分の思いが先走ってしまって、彼女に対して勝手に不信感を抱いてしまったり、彼女が今何を思っているのか妄想が働いてしまって、「もしかしたら?」と勘繰ってしまったり。誰でもありそうなところではあるんですけども、和歌山翔を演じる上で掘り下げてみたい部分ではあります。
それから作中のカラオケ大会で「楓」という曲を歌わせていただくんですけれども、その「楓」の歌詞の内容と彼自身の人生があまりピタっと重なる印象が僕にはなかったんです。「楓」は一般的には青春ソングっぽい曲だと思うんですが、プロポーズをするカラオケ大会でどうしてその曲を歌うのだろうかって。
和歌山翔は、日常の延長線上でステージに立つことが平気な人なのか? 選んだ「楓」は彼にとって何なのか? 僕らがテレビをつけて耳にした流行りの音楽や、街を歩いていてたまたま聞こえてきた音楽に「あ、いい曲だなあ。この曲を歌ってみたいなあ」「この曲を歌うと、誰かのこと思い出すなあ」と思うように、和歌山翔の人生と歌の接点はどこなのか? どんな触れ方をしているのか? そんなところから役を深めていけたらいいなと思っているところです。
ーー歌に感情を乗せるミュージカルとは、またちょっと違ったアプローチになりそうです。
そうですね。共演する皆さんの中には、ミュージカルの第一線でやられてる方々も多いですが、どうなるんでしょう。ミュージカルソングとして歌うわけではなく、その役として歌を歌うカラオケ大会ですが、一方で皆さんそれぞれにそのカラオケ大会にかける思いがあるわけですからね。
1番のハイライトが歌だとすれば、そのハイライトの歌に向かうため、秒を刻んだお芝居をする感じでしょうか。歌はあっても2、3分ぐらいでしょうが、その人の何気ない1日だけどもその何気ない1日の中でも「今日が最高の1日」というね。夢や希望といったものを持ち続けていられる瞬間があのカラオケ大会本番なのかなぁと思ったりもします。
『SHINE SHOW!』メインビジュアル
ーーカラオケ大会運営スタッフの鈴本真紀役の朝夏まなとさんとは初共演です。共演にあたってはどんなお気持ちですか?
昔からよく存じ上げていて、すれ違う度に挨拶する仲ではあるんですが、初めて一緒にやらせていただきます。まだ朝夏さんとは話せていないんですけど、シュッとした感じのイメージが、この〈鈴本真紀〉のキャラクターに重なっていくんだろうな……と思って。楽しみです。本だけ読んでいると、これまで見たことのない朝夏さんが見られるかなと思います。
ーー中川さんも等身大な役というか、普段とはまた違った斬新な中川さんを見られそうですけどね。
等身大かなぁ? まぁ確かにフランキー・ヴァリとは違いますかね(笑)。
ーーところで中川さん、カラオケには行かれるんですか?
行かないです。
ーーご自身の歌手活動もあり、ミュージカル出演もありますものね……(笑)。
いや、そんな大それた理由ではなくて、単純に密封された空間と誰が使った分からないマイク、それからカラオケボックス独特の「わんわんわんわんわん」というリバーブが大嫌いなんです(笑)。だったら、音楽スタジオに行って、ひとりでカラオケをしていた方がいいかなと思ってしまいます。
ーーとなると、カラオケをされた記憶は子どもの頃でしょうか?
そうですね、子どもの頃にカラオケボックスに行ったことがあります。でも大人になって、お偉い方とご飯を食べる機会があって、二次会がカラオケのあるお店で、結局歌わざるを得ない状況で歌った記憶はあります(笑)。ニューヨークにいったときもカラオケで歌ったことがあるかな。カラオケボックスではなくて、開けた場所で歌うカラオケは好きですよ。
ーーカラオケでプロポーズするというシチュエーションは、まさに人生をかけたステージだと思うんですけど、その点、いかがですか?
僕、本当にこういう小劇場の感じが好きなんですよ。何気ないことなのに、それが熱量で、ちょっとずつ誇張されていく感じとでもいうのでしょうか。
 
このお芝居は、長年愛されてるカラオケショーを成功させたい人たちの思いと、出演者の人たちのいろいろなハプニングとが相まって、ちょっとバックステージものの要素もある。「人生をかけて」というほどのものではないけど、確かに人生をかけている人も中にはいて……「あそこまでかけてるんだ」と思ったり、逆に「なんでそこまでかける必要があるんだろう」と思ったりして、気がつけばだんだん引き込まれていって、「あ、そういう理由があったか」と気づいて……。それらをリアルに演じるところに、 このお芝居の面白さがあると思うんです。
(演じる)和歌山翔に関して言えば、人生をかけているのは事実ですよね。付き合っている彼女にプロポーズしようとしてるわけだから。でもなぜ彼が、元彼に対してライバル心を持ってしまったのか? 単に自分に自信がないのか? それとも単純に同じ曲になってしまったから「自分が先じゃないと!」と思っているだけなのか? 「人生をかける」というけど、意外と自分勝手な男かもしれないぞ? と思ったりもする。「人生をかける」意味合いはこれから作っていきたいですね。
中川晃教

ーー最後に楽しみにされてるお客様にメッセージをお願いします!

今日(※取材当日のこと)はポスター撮影をしまして。中川晃教と和歌山翔というキャラクターの接点をどうやってコスチュームやビジュアルに落とし込んでいくのか、みなさんと一緒に話し合いながら撮影しました。……僕は最初「え、これ、ダジャレ?」と思ったんですよね。『SHINE SHOW!』は「輝くショー」という意味だけど、「“社員”のショー」でもある。つまり、会社員がその日スターになるために、それぞれが生きていて、それが音楽や歌声の中に集約されていくという意味もあると思って。まずはこのチラシを見たときに、「観たい!」とお客様に思ってもらえたら嬉しいなぁ。
……ミュージカルや歌を歌うシチュエーションが普段の僕の現場であることもあって、「ミュージカルは突然歌い出す」とよく驚かれる方に対して、「日常からミュージカルってあると思うんです。日常の中で突然歌い出すこと、鼻歌を歌うこともなきにしもあらずじゃないですか?」と無理やりに答えていたんですが(笑)、でももしかすると、この作品は、僕の「ミュージカルって、日常の中にある気がする」という思いを割と体現している作品なのかなって思っています。
とにかくこの作品をクリエで上演されるにあたって、お客様に「どんなものを見せてくれるんだろう」と期待してもらえたら嬉しいです。劇場でお待ちしています!
取材・文=五月女菜穂

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