【この2.5次元がすごい】原作ファン
も舞台ファンも納得　「『HUNTER×H
UNTER』THE STAGE」のワクワクする冒
険の世界

(c)P98-23・『HUNTER×HUNTER』THE STAGE製作委員会　日本だけでなく、世界中で人気の漫画「HUNTER×HUNTER」。私が初めて「HUNTER×HUNTER」を読んだのは、学生時代の休憩時間でした。面白いから読んでみて、と友人が学校にこっそり持ち込んでくれクラスのみんなで回し読みしたのを覚えています。

そして、2023年。すっかり大人になった私は「『HUNTER×HUNTER』THE STAGE」に出合うのでした。父親と同じハンターを目指す主人公のゴンが、仲間とさまざまな困難を乗り越え絆を深めていく冒険を描いた物語です。どんな冒険が待っているのか、ワクワクとした気持ちで銀河劇場に向かいました。

見たいシーンが舞台上でギュッと繰り広げられる

(c)P98-23・『HUNTER×HUNTER』THE STAGE製作委員会　今作ではハンターになるまでの試験を描いた「ハンター試験編」とキルアを救い出す「ゾルディック家編」が描かれます。どうしても気になるのが、このボリュームをどのようにまとめるのか……。物語は大友至恩さん演じるゴンが旅立つシーンから始まりました。クラピカやレオリオと出会うシーンや、カイトから父親のことを聞く回想シーンなど重要なシーンが続き、「HUNTER×HUNTER」の世界が劇場に広がっていきます。クラピカとレオリオが試験会場へ向かう船の上でバトルを始めるシーンでは、船の揺れを照明とキャストの動きで上手く表現し、見ているこちらもハラハラ。海に落ちそうになる船員を救う大胆なゴンのジャンプも舞台ならではの演出表現により臨場感のある場面になっていました。

　ハンター試験が始まると、キルアやヒソカといったお馴染みの人気キャラも登場。1次試験は遺跡ハンターのサトツを追いかけるマラソンで、受験者たちが舞台の上を走り続けるこのシーンは圧巻でした。徐々に走るスピードが上がるのですが、ゴンは明るく元気に、レオリオは必死に、ヒソカは怪しくなめらかに……といった風にそれぞれの受験者たちの違いも楽しく見ることができました。続く料理試験はコミカルに展開され、トリックタワーでの囚人たちとの対決へと続きます。なかでも印象的だったのは、小越勇輝さんが演じるクラピカが戦うシーンです。クルタ族の生き残りであるクラピカは、感情が昂（たかぶ）ると目の色が緋色に変わります。クラピカの怒りと緋の目を赤い照明が演出し、小越さんの迫力のある演技を盛り上げていました。

(c)P98-23・『HUNTER×HUNTER』THE STAGE製作委員会　テンポよく進めている場面もありますが「ここが見たかった！」というシーンがギュッと詰まっているような印象で、原作ファンにとっても満足できるボリュームだったのではないでしょうか。

「HUNTER×HUNTER」の世界を盛り上げる完成度の高いキャラクターたち

　そして注目したいのは個性的なキャラクターとその完成度です。ゴンを演じる大友さんはオーディションを勝ち抜いた15歳。キラキラとした表情はまさにゴンそのものです。初日会見で大友さんが「舞台経験が浅いのですが、皆さんが話しかけてアドバイスをしてくださるお稽古場で、とても嬉しかったです」と話していた通り、演じることの楽しさを舞台の上で見せてくれているようでした。

(c)P98-23・『HUNTER×HUNTER』THE STAGE製作委員会　またビジュアル発表から大きな話題を集めていたのが、丘山晴己さん演じるヒソカでしょう。見た目はもちろんのこと、不気味な奇術師を体現するかのような演技や歌声に劇場でも大きな拍手がおこっていました。ハンター試験中にゴンに貸しをつくる場面では、怪しさや怖さだけでなく、圧倒的な力の差も感じました。丘山さんだからこその説得力のあるヒソカだと言えるでしょう。

(c)P98-23・『HUNTER×HUNTER』THE STAGE製作委員会　原作の面白さを舞台の上でもしっかりと見せてくれる「『HUNTER×HUNTER』THE STAGE」。私が劇場に訪れた日は海外からのファンも駆けつけていたようで、あらためて作品の人気や期待度を感じました。私自身も、学生時代に初めて「HUNTER×HUNTER」を読んだ時のワクワクした気持ちを思い出し、大満足の観劇となりました。「『HUNTER×HUNTER』THE STAGE」は5月28日まで銀河劇場にて上演され、千秋楽公演の配信も決定しています。