音楽とアウトドアを家族で楽しめる野
外フェス『THE CAMP BOOK 2023』のプ
ロデューサーが語る制作秘話

建築&リフォームを手掛ける企業が音楽とアウトドアをフィーチャーした野外フェス『THE CAMP BOOK』。2017年に始動して以降、毎年ユニークなラインナップで人気を集めている。コロナ禍を受け、2度の中止を余儀なくされたが、昨年復活し大好評で幕を閉じた。
今年は『THE CAMP BOOK 2023』として6月10日(土)、11日(日)の2日間、富士見高原リゾートで開催される。いち企業でありながら、ここまで充実したフェスを運営できる秘訣は何なのか? フェスの主催・制作を担うプロデューサー・樋口大貴氏にフェスへの思いを語ってもらった。​
――『THE CAMP BOOK』は、建築やリフォームを手がけるリペアの社員さんの発想でスタートした珍しいフェスだそうですね。
樋口氏:主催の名義が会社単体の法人なので、結構珍しいかもしれないです。ウチの会社はリフォーム内装業で建築系の仕事をやっているんですよ。その中で賃貸の現状回復に取り組んでいるんですが、特に地方都市で人口が減少しているのが問題だなと。だったら会社全体で新しい事業を立ち上げてはどうかっていう大きな流れはあったんです。成功するかしないかは別として、好きなことをやりたい人間が何かやってみようっていう。自分としてはキャンプも含めてフェスとか音楽も好きだったんで、そういうことも事業にできないかなと。とはいえ、出演者のブッキングの仕方も、どこを調べたらいいのかもわからない状態で始まりました(苦笑)。
――まさに思いひとつで始まったんですね!
樋口氏:全くわからないから、それこそ手紙を書いて、音楽事務所に直接渡しに行ったりもしましたね。「フェスやるので、ぜひ手紙読んでください!」って。あとはライブに足を運ばせていただいて、関係者の方に声をかけたりしてました。もちろん、ツテをたどってライブの制作会社やイベント主催者の方に連絡を取って、いろんな話を聞いて勉強させてもらったこともあります。
出演者には「GLIM SPANKY」をはじめ、個性的なアーティストが名を連ねる。
――フェスに出演されたアーティストさんからの反応はいかがでしたか?
樋口氏:アーティストさんからの評判は、毎年非常にいいんですよ。リピートしてくれるお客さんも多いので、いいフェスと思っていただいてるのかなと。
――アーティストさんは『THE CAMP BOOK』のどんな部分を気に入ってくれているんでしょうか?
樋口氏:会場のロケーションと、ステージの距離感がいいって言っていただいてます。あと、バックステージでは皆さん、とにかく楽しそうなんですよ。それがいいパフォーマンスにもつながるし、そこにお客さんもついてくる。もちろん、ホスピタリティーも含めて、いろいろ考えてます。去年はご協賛いただいたメーカーさんから信玄餅をご提供いただきましたし、酒蔵の方が各アーティストに日本酒をふるまってくれたりして。何かいろいろもらえるフェスっていう印象もあるかもですね(笑)。
――ちなみに、会場のロケーションで言うと、自然以外に何か特徴はありますか?
樋口氏:会社自体が建築内装業なので、ステージや会場全体の装飾を全部やっているところですかね。
――確かに装飾がオシャレでかわいい! これも強味ですね。“我々の街でもフェスをやってくれませんか?”っていうオファーもあるんじゃないですか?
樋口氏:そういう話もちょこちょこいただきますね。やっぱり近隣の宿泊施設や商店などにもお金が落ちますし、地域の活性化にもなりますから。
ヒノキを使ったワークショップ(日の丸工房)やサウナスペースも出店。
――キャンプが苦手な方は宿泊施設に泊まることも可能なわけですね。
樋口氏:もちろん! 子供が小さいとか、キャンプの道具を持っていない人もいらっしゃるんで、そういう方はペンションやホテルも利用されてます。実は車を持っていない人のために、バスツアーも出しています。
――それはありがたいですね!
樋口氏:バスツアーではテントも貸し出してます。自慢なのは、今までのフェスの中でいちばんトイレがキレイだったと言っていただけてることですね。僕がひとりでキャンプに行ったり友達と行く分にはどんなトイレでもかまわないんですけどね。ただ、THE CAMP BOOKはターゲットが家族なので、女性や子供が行きたくなるようなものでないとダメだと思うんです。食べ物があって、水とトイレがキレイじゃないと、一気に治安が荒れますからね。
――そうそう、食べ物と言えばフェス飯も気になるところです。どんなフードコートがあるんですか?
樋口氏:いろいろありますよ! 今年は飲食系が25店舗くらいかな? 物販も25店舗ほど、あとはワークショップ、アクティビティー系でも25店舗ほど出ますね。
――すごい! フェス以外でも十分楽しめるコンテンツがあるんですね。
樋口氏:普段フェスに参加しないような店舗も参加するので、他では出会えないような出店者に出会えると思います。あと、フェスと言えばお酒ですけど、毎年キャンプブックではクラフトビールが激戦なので、普段飲めないようなレアなビールも販売されます。それ以外はクラフトジンやワイン、そして日本酒も。まぁ、私は一滴もお酒を飲めないんですが(笑)。あとは温泉もあるし、今回はサウナも手作りします!
――もはや、ないものを探す方が難しいです(笑)。
樋口氏:ちなみに、すっごく盛り上がっているのがフワフワ遊具のアトラクション。これがお子さんに大人気なんです。それと今年はドッグランも作ります!もともとペットはOKだったんですけど、どうしてもワンちゃんが自由に遊べない。なので、思い切り走り回れるような施設を作りました。キッズとかドッグランの施設は無料なので、是非利用していただきたいです。
ドッグランや卓球など家族一緒に楽しめるコンテンツが盛りだくさん。
――ワンちゃんも含めて、まさに家族全員が楽しめるフェスなんですね。
樋口氏:はい。ただ、家族連れは前提なんですけど、出演アーティストは全然子供向けじゃないんですよ(笑)。
――確かにちょっと攻めたラインナップだと思います(笑)。
樋口氏:ここには僕と、一緒にブッキングを担当している人間のエゴが入ってますね。集客コンテンツとして、アーティストは大きな部分なので意識はしますけど、まずは自分が観たいアーティストを呼びたいじゃないですか(笑)。その中で、お客さんが「このアーティストは知らなかったけど、最高じゃん!」って気づいて帰ってくれたら嬉しいです。
――主催者も楽しめないと、続かないですもんね(笑)。
樋口氏:ライブが楽しいアーティストをセレクトしているつもりです。大人も子供も関係なく楽しんでもらいたいですね。フェスの制作自体はとても大変ですが、やってみて得られるものは、お金じゃない。だからこそ、僕らがやる意味があるのかなって思っています。
取材・文=海江敦士/SPICE編集部

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