ヤユヨ、リュックと添い寝ごはん、y
utoriら出演『TKGP! vol.1』レポート

TKGP! vol.1

2023.1.9 WWWX
shibuya eggman、イープラス、コンサート制作会社・little oasisの3社が、ライブハウスと次世代の音楽を盛り上げるために企画し、初開催した『TKGP! vol.1』。卵かけご飯の略称「TKG」に「パーティ!」を意味する「P!」を加えたイベントタイトルには、「あなたと作る」「様々なトッピングが楽しく混ざる」というイメージが込められているのだという。キービジュアルを手掛けたのはイラストレーターのchao!。LGBTQ+やフェミニズムについてSNSで発信しているメディア「パレットーク」が制作したポストカードが、会場のロビーで配布されていた。
pachae
オープニングアクトを務めたのは、結成から3ヵ月で『murffin audition 2020』の準グランプリを獲得し、『FM802 MINAMI WHEEL 2021』では入場規制がかかるなど、着々と活躍の場を広げているバンド・pachae。グルーヴィーなサウンドと多彩なキーボードの音色の融合、音山大亮(Vo/Gt)を中心としたメンバーたちの飄々としたやり取りなどが観客を沸かせてスタートしたこのイベントの模様をレポートする。
yutori
メインアクトで最初に登場したのは、佐藤古都子(Vo/G)、内田郁也(Gt/Cho)、豊田太一(Ba)、浦山蓮(Dr/Cho)によるロックバンド・yutori。逆光となったステージ上に現れたメンバーたちが拍手で迎えられ、「ショートカット」からライブはスタート。疾走感に溢れたバンドサウンドと、熱を帯びつつもやるせなさをにじませる歌声のコントラストが印象的。離れていく男女の姿を切なく映し出していく表現力に引き込まれずにはいられなかった。その後も「音信不通」や「モラトリアム」などを披露。豊かな物語性、奥行き深い情景の描写に長けたバンドであることが示され続けていた。
午前中が成人式だったのだというドラムの蓮が観客の拍手で祝福されたMCタイムを挟んで、後半も次々届けられた多彩な楽曲。古都子がギターを奏でながら歌い始め、しっとりとしたムードを醸し出した後、他のメンバーのサウンドが合流。一気に瑞々しい空間が構築された「午前零時」が美しかった。ラストを飾ったのは「煙より」。メンバー全員が心を込めて音を重ね合い、楽曲に刻まれた物語を輝かせているのを感じた。
リュックと添い寝ごはん
「あたらしい朝」からスタートしたリュックと添い寝ごはんのライブ。演奏が始まった瞬間、会場内のムードが一気に晴れやかになるのを感じた。新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込むかのようなサウンドの響きが、とにかく心地よい。「青春日記」「PLAY」「わたし」「アップルパイ」など、様々な楽曲が披露される毎に、このバンドならではの温かな存在感が際立っていった。
そしてMCタイムでは、松本ユウ(Vo/Gt)、堂免英敬(Ba)、宮澤あかり(Dr)、ぬん(Gt)の間で交わされる会話が大いに和ませてくれた。成人式、厄年、年始の過ごし方、サウナなどについて、互いにツッコミを入れつつ語り合う様が楽しい。仲の良い友達同士の輪に入れてもらったような気持ちになった。
そして再び演奏が始まると、キレの良いサウンドが一気に溢れ返っていく。「疾走」は、タイトル通りの疾走感に溢れたサウンドが冴えわたり、元気よく飛び跳ねる観客のエネルギーがフロアを震わせた。ラストに届けられた「Thank You for the Music」も、素敵だった1曲として思い出される。観客の手拍子が加わり、穏やかな一体感を生み出していた。
ヤユヨ
このイベントのトリを飾ったのは、4人組バンド・ヤユヨ。ドラムスティックのカウントを合図に「futtou!!!!」の演奏がスタートすると、躍動感に満ちたアンサンブルが瞬く間に構築された。ぺっぺ(Gt/Cho)、はな(Ba/Cho)、すーちゃん(Dr/Cho)が放つサウンドを浴びながらマイクを握り、エネルギッシュに歌うリコ(Vo/Gt)の姿が眩しい。ビートを絶妙に乗りこなしながら響かせる歌声が、観客の身も心もときめかせているのを感じた。演奏する楽しさ、歌う喜びをまっすぐに伝える彼女たちは、多彩なサウンドでも魅了してくれる。新曲「愛をつかまえて」や「POOL」では、ぺっぺが弾いた鍵盤が、楽曲の世界を美しく彩っていた。
メンバー全員が兎年の年女であり、「飛躍の日々にする」という抱負の本気度を示すためにバンジージャンプに挑戦した旨を語り、観客を沸かせていたMCタイムを挟んで突入した後半戦。冬の風景を描いた「君の隣」、温かなサウンドを全員が一丸となって躍動させた「キャンディ(飴ちゃんver.)」が届けられた後、ラストを飾ったのは「さよなら前夜」。サビのユニゾンの歌声が、楽曲を一際輝かせていた。リコのブルースハープも加わったアウトロを経て演奏が終了した時、清々しい余韻が会場を包んだ。

こうして終演を迎えた『TKGP! vol.1』。「ライブハウスと次世代の音楽を盛り上げる」というテーマが、まさしく具現化された空間であった。観客各々にとって、好きな音楽の幅を広げる機会にも繋がったのではないだろうか。
素晴らしい音楽を卵かけご飯のようにストレートに届けてくれるこのイベントだが、早くもGWに第2回開催が決定した。第2回の出演者は、ボカロPやシンガーソングライターとして活躍している獅子志司・水槽(50音順)だ。多彩なトッピングが鮮やかに楽しく混ざっていく様子をイメージしたTKG(=卵かけご飯)・P!(パーティー)の名前の通り、1回目とは異なったジャンルでのイベントとなっている。パレットークの協力もVol.1から引き続き頂き、当日ロビーにてパレットークのポストカードも配布予定だ。そんな今回も大注目なイベント、Vol.1とは違った味をGWに楽しむのはいかがだろうか。

取材・文=田中大 撮影=陽頼(@kiid0860)

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