坪倉康晴「個性あふれるカンパニーが
、みんなでいい作品を作ろうとしてい
る」~『おとぎ裁判 第4審』インタ
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『赤ずきん』や『ハーメルンの笛吹き男』、『ジャックと豆の木』など、誰もが知るおとぎ話を裁判にかけるというユニークな発想と、作中に散りばめられた謎で多くのファンを楽しませている『おとぎ裁判』。第4審の今回は『鏡の中のアリス』をモチーフに新たな謎が展開し、おとぎの国やキャッスル・トーチを巻き込んでいく。開幕まで2週間程度に迫った某日、今作の新キャラクターの一人、トゥイードゥルダムを演じる坪倉康晴に意気込みや見どころを伺った。
■自分の役柄をスムーズにイメージできた
――まずは出演が決まった時の思い、ここまで3作上演されてきたシリーズ作品に新キャストとして参加する意気込みを教えてください。
コメディタッチの舞台の経験があまりなくて、「わ、楽しみ!」というのがすごくありました。トゥイードゥルダムはどんな役柄だろうというワクワクもありました。実際稽古してみて、面白い役だなと思います。
(第1審から第3審に出演している)皆さんは役のイメージが固まっている状態なので、その差を感じてプレッシャーもありました。どうやってついていこうという気持ちでした。でも、みんながほぼ完成しているぶん、一発目からイメージさせてくれるんです。(トゥイードゥルダムが)どういう立ち位置でいたら作品的に良いのかイメージしやすいのは助かりました。
――(インタビューの時点で)お稽古に合流して1週間程度ですが、手応えはいかがでしょう。
手応えは……ありません!って言うのは嘘ですが(笑)、歌にしろダンスにしろ、結構ボリューミーなんですよ。さらに芝居も結構ガッツリやっていくので、現時点では急がなきゃと思っています。もちろん絶対間に合わせますし、どんな完成形をお客さんにお届けできるか楽しみですね。
――今回、第1審からアケチ役で出演している古谷大和さんが演出も手がけられています。古谷さんの演出を受けてみていかがですか?
最初は、はじめから「ここはこうする」って決めて提案してくれるのかなと思っていましたが、そうではなく、僕らが考えてきたものを見た上で、「いいところを組み合わせて作っていこう」と言ってくださったんです。自分が思う演出だけじゃなく、キャストが考えて作ったものをちゃんと取り入れて演出してくださるので、色々聞きやすいですね。「ここはこうしたほうがいいですか?」と質問すると、大和くんが考えているものと組み合わせて返してくれるので、すごくやりやすいです。
――古谷さんは演出に加えてアケチ役で出演もされますが、役者としての印象はどうでしょう。
一言で言うとすごいですね。見ていて感じるのは、アケチというキャラクターの役割をすごく理解して、上手く表現されているということ。僕がまだ自分のことでいっぱいいっぱいなのと、アケチの登場シーンはあまり稽古をしていないんですけど、ラスト付近で空気をパーンと変えるシーンとかもすごいなと思います。
■双子のお兄ちゃんを大好きなところが可愛いキャラクター
――稽古中の面白いエピソード、印象的なキャストさんはいらっしゃいますか?
(五十嵐)雅さん! 雅さんが演じるトゥイードゥルディはめちゃくちゃいい人で、雅さんも本当にいい人なので芝居に関しては本人のような感じですごくやりやすいです。ただ、めちゃくちゃ頑張って練習しているのに、歌とダンスがあまり得意じゃないみたいで。僕らは双子役でハモリもあるので一緒に練習するんですけど、まだ歌詞が出てこなかったりして。でも、ものすごく努力家で稽古場の雰囲気も和やかにしてくれます!他の現場と比べて個性的な方が多いと思います。ロッキンさんとかもそうですし。皆さん個性豊かでいい人たちです。
――作中ではキングとの絡みも多いですよね。
(キング役の和泉)宗兵さんは以前一緒にお芝居をしたことがあって、すごく頼れる方という印象です。色々とアドバイスをくれますし相談するとちゃんと答えてくれます。あとは、全体的に「いい作品を届けよう」という意識が強いです。個人個人じゃなく、全体でディスカッションする機会も多くて、全員でいい作品を作っていこうという気持ちがすごく強いカンパニーだと思います。
――お話を聞いていて、五十嵐さんと坪倉さんの関係は作中のトゥイードゥルディとトゥイードゥルダムの関係性に近いのかなという感じがします。
そうですね、近いと思います。
――ディがお兄さんですが、五十嵐さんのここがお兄ちゃんっぽい、頼れるという部分は何かありますか?
歌の練習とかで「大丈夫、あと1週間あるから」って自分で言うところとか(笑)。すごいなと思ったのは、最初にお会いした時からすごく近い距離で話してくれたことですね。この人いい人なんだなと思いましたし、絶対に距離を置かないので頼れる……頼れる? 訂正します、ごめんなさい雅さん(笑)。接しやすい人だと感じました。お兄ちゃんっぽくリードするのとはまた違うんですが、リラックスできる空気を作ってくれます。
――逆に、ご自身のここが弟気質だなというところは。
悩むことは結構あって、何でも聞いちゃいます。でも僕が弟っぽいというよりは、他のキャストの皆さんがお兄ちゃんっぽいなって思いますね。個性あふれる方々ですけど、皆さんしっかりアドバイスをしてくださる。本当に助かっています。
――演じていて感じるトゥイードゥルダムの魅力、好きなポイントを教えてください。
結局はもう、お兄ちゃんが大好きっていうのがすごく可愛いです。ダムはお兄ちゃんが大好きだからこそ流されるというか、理想を追いかけて行動してしまうキャラクター。お兄ちゃんが大好きすぎるところが本当に可愛いポイントです。
あとは別のベクトルでいうと、それを自分からは出さない。生意気じゃないけど見栄っ張りな感じで作ろうとしています。「自分がこう思っている」ということをそんなに見せないタイプだけど、最終的には感情がボロボロと出てしまう。そこはさっき言った「自分が子供というより周りが大人」な感じに近いので、ダムと僕の共通点だと思います。
――ちなみに双子役を演じる上でやっていること、役作りのこだわりは何かありますか?
台本上お互いがお互いを思っているので、そんなに一緒な感じはしなくていいかなと思っています。バラバラの方が、最終的に2人の気持ちが伝わる気がしているので。雅さんに近付けようというのは現時点ではあまりないです。でも、パフォーマンスに関しては、息の合った兄弟という設定なので近付けようと思っています。
――作中で、カラス(ファン)の声を気にするトゥイードゥルダムと気にしないトゥイードゥルディという対象的な双子ですが、ご自身は気になるタイプですか?
あまり気にしないですね。作中のカラスのように辛口なことを伝えてくる方はそういないのもありますが、流されることはないです。そこはディ寄りです。
――本作の裁判のきっかけは、ディが宝物を壊してしまったこと。坪倉さんの宝物はなにかありますか?
家族写真です。常に見えるところに置いていますね。
■ショーはお客さん・キャスト一体になって全力で楽しみたい
――お客様がトーチを使う場面も多いですが、ここを押さえておくとより楽しめるというポイントはありますか?
作品の中盤でディとダムのパフォーマンスがあるんですが、そこからの3曲が全部アップテンポなので、1回裁判のことは忘れて楽しんでほしいなと思います。もちろんその後ちゃんと(本筋に)戻るので。お客さんを交えて僕たちも楽しむので、トーチを全力で振ったりして楽しんでもらえたらいいなと思います。
――今パフォーマンスのお話が出ましたが、全編を通しての見どころはどこでしょう。
1時間半ほどの公演に歌もダンスも芝居もぎゅっと詰まっていて、キャストは8人のみ。ずっと出ずっぱりで感情が途切れることもないので、僕自身やりやすさがあります。個性的なキャラクターが多く、相手のセリフで取っている芝居もあるので、そこも重視して見てもらえたら嬉しいですね。
――先ほどから皆さん個性が強いというお話が出てきていますが、特に好きなキャラクターは誰ですか?
好きなのはディですね。明るくて自分より人を優先するようなタイプのキャラクターはすごくかっこいいなと思います。演じてみたいのはジュード。裏があるようなタイプは楽しそうだなと思います。でも、ちゃんとできたら演じるのが楽しいだろうなと思うのはダムです。
――その理由は。
ディは自分より人を優先するし、その気持ちも全面に溢れています。でもダムは表には出さずにずっと不満を抱えていて、それを後からぶつけていく。その緩急は楽しいと思います。今までダムのようなタイプを演じたことはあまりなくて。感情を表に出さないキャラは今までも演じてきましたが、結局出さずに終わったり、別の言い方にしたりという感じでした。ダムは最終的に本心をバーンと言えるタイプなので、そこはすごく楽しみですね。
――本作の楽曲やダンスパフォーマンスの魅力を教えてください。
さっきも言った通り、ディとダムの曲からキングとビートの曲、最後にジャッジメントと3曲連続で披露するんですが、その一連の流れはやっていて楽しいです。1回本編から離れるわけじゃないですが、ショーをしてお客さんに楽しかしんでもらうシーンで、自分自身もやっていて自然と楽しめる曲になっています。お客さんにも楽しんでもらえるんじゃないかと思います。
――最後に、観にくる皆さんへのメッセージをお願いします。
何度も言いますが、歌・ダンス・芝居全ての魅力が詰まっています。芝居もショーも楽しめるポイントが満載なので、ぜひ楽しんでいただけたら。そして、作品全体を通して魅力的なキャラクターがたくさんいるので、一人ひとりに注目してもらいたいですし、ストーリー全体も楽しんでいただけたらと思います。
取材・文=吉田沙奈 撮影=池上夢貢

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