新作を語った渡辺信一郎監督と森田修平監督

新作を語った渡辺信一郎監督と森田修平監督

日・中・NZ監督によるオムニバス「太
素」で新作発表 国際的人気を誇る渡
辺信一郎と森田修平、「AKIRA」に影
響受けた

新作を語った渡辺信一郎監督と森田修平監督 3月17日に開幕した「第1回新潟国際アニメーション映画祭」で、「カウボーイビバップ」「キャロル&チューズデイ」で知られる渡辺信一郎監督と、「九十九」「コイ☆セント」の森田修平監督が参加し新作を発表したオムニバス作「太素(TAISU/読み:タイスー)」が、オープニング作品としてアジアプレミア上映され、両監督がそれぞれの作品を語った。
 「太素(TAISU/読み:タイスー)」は、日・中国・ニュージーランド、3カ国の監督により、4つのエピソードで構成される映像作品で、「万物の根本にある時間と空間を超えることができる宇宙元素である太素に導かれ、時間と空間を旅しながらそれぞれの物語を目撃する」という共通コンセプトのもと、4つの時代で愛と希望の物語が描かれる。渡辺監督の「A Girl meets A Boy and A Robot」はMAPPA(「呪術廻戦」)、森田監督の「弦の舞」は森田監督が代表を務めるYAMATOWORKSがアニメーション制作を担当した。
 そのほか、中国の大物監督、さらにニュージーランドからは「ロード・オブ・ザ・リング」「アバター」のVFXを手掛けるWETAの代表であるリチャード・テイラー監督が参加する予定だ。
 作り手の持ち味を生かした映画を作りたいという中国のプロデューサーからの強い希望で、参加を決めたというふたり。あらかじめ決められた設定さえ守れば、自由に製作できたという。先に上映された森田監督の「弦の舞」は、高度な3DCG表現が印象的なフルCGアニメーションで、戦乱の時代のふたりの女性が時空を超えて出会う物語だ。「この話の件で上海に行って、中国の妖怪の話で盛り上がって、日本の奈良平安時代の頃にも近いと思った。そして、戦争が起きそうだという今の時代に投げかけられるような話になった」と本作のコンセプトを語る。
 渡辺監督は「僕の作品は人類最後の一人を描きたいっていうコンセプト。(このオムニバスから)誰もが連想するのは『火の鳥』だと思う。超常的な火の鳥と言うエネルギーを持ったある存在が共通して登場し、あとは遥か過去から未来までのいろいろな時系列の話を描く。その中国版のような物語だと思っていただければ理解しやすいかな」と解説した。「A Girl meets A Boy and A Robot」は手描きの持ち味を生かしたアニメーション。戦争によりほぼ人間がいなくなった世界で出会う少女と男を描く。「昔から絵本のようなアニメーションを作りたいという気持ちがあったが、なかなか機会がなかったので、良いチャンスだった」と話した。
 とりわけ今作では、9割近く外国人アニメーターを起用したという。「最近はアニメのデジタル化が進んで、日本に住んでいないアニメーターとも仕事ができるようになってきた。今回、作画監督はフランスに住んでいる方で、僕は1度も会ってないんです。オンラインで打ち合わせをして、あと現場もデジタルで送ってもらってチェックして、つたない英語でリテイクを出すみたいな感じ。いろんな国の方が参加しているので、予想外の原画が上がってきたりして、そこがちょっと大変だったけれど面白かった」と国際的なスタッフによる制作を振り返る。
 その後、両監督の製作プロセスや技術の話に続き、日本アニメのグローバル化を意識するかという話題に。「海外で評価されている先輩方の映像を見ると、何かが違うと気づいていた。僕も何かをぶっこみたいと思っていたけれど、だからといって海外にウケようとは思っていなくて」と森田監督。渡辺監督は「AKIRAには多大な影響を受けた。アニメを作るスタッフの中でに影響を受けている人は多いのでは」と言うと、森田監督も「ぼくも一番影響を受けました」と明かし、本映画祭でレトロスペクティブ特集が行われる大友克洋の偉業を讃えていた。第1回新潟国際アニメーション映画祭は、22日まで開催。

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