「ほんまに透ける」幽霊×熱血アナウ
ンサー、ブラッシュアップして大阪と
長崎に上陸ーー舞台『午前0時のラジ
オ局』福田悠太×浜中文一インタビュ

福田悠太(ふぉ~ゆ~)と浜中文一が、初のダブル主演を務めている舞台『午前0時のラジオ局』。長崎放送のアナウンサーで作家としての一面も持つ村山仁志による同名の小説を原作とし、ラジオ局で働く人や幽霊の奮闘を現役アナウンサーが描く物語となっている。3月17日(金)~3月19日(日)に大阪の松下IMPホールにて、3月21日(火・祝)〜3月22日(水)に長崎の長崎市民会館にて上演される。千秋楽は原作の舞台となった長崎で行われる同公演について、東京公演を経ての意気込みを訊いた。
冒頭にさらりと書いたが、同公演には幽霊が登場する。福田扮する蓮池陽一は、28歳で亡くなった後も、30年間ラジオディレクターを務める陽気な幽霊。役作りについて福田は「幽霊役をできるというのは楽しみでしたが、透けたり浮いたりするにはどうすれば良いのか……」と苦労をあらわに。これを受けて浜中は「ほんまに透けるからすごい」と半分ジョークを飛ばしつつ「本物の幽霊は見れないのに、どうして透けているように感じられるのかが不思議です。お客さんもびっくりされていましたよ。陽一には憑依とか写真の写り込みとか、もっと幽霊を極めてもらって一般的に知られるキャラクターになってもらいたい」と絶賛。
対して浜中は、ラジオ担当に異動したタイミングで「午前0時に始まる新番組」に抜擢された、若手アナウンサーの鴨川優を演じる。優は「元高校球児の熱血漢」と紹介されているが、そのキャラクター像について浜中は「原作を読んだ時に、熱血男とはあまり感じなかったんですよ。優というキャラクターよいうよりも、他のキャラクターや物語を回す役割が大きくて。個性的な方が役作りはしやすいけど本当に普通の人なので、演じる上では難しいんですよね」と語る。そんな浜中の演技を、福田は「まるで生田斗真とお芝居しているかのようでした」と冗談で返す。「この前テレビで生田斗真くんが「ライバルは浜中文一だ」と言ったのは嘘じゃないんだと。お芝居をしているのか、その場に本当に(優が)いるのかわからない」と称賛した。
浜中は大阪出身のため、役作り以上に標準語のイントネーションに苦労したそうだ。「誰が決めたんやろう」と日本語の厳しさに疑問を残しながら「アナウンサーということで、ちゃんとした言葉遣いと、辞典に載っているような正しいイントネーションを学ばせていただきました」(浜中)と大阪弁で話す。一方、陽一は長崎弁を使うことから「長崎弁の先生が3人くらい来てくださって指導を受けました。長崎公演があるので長崎の方の前では緊張するのですが、少し修正いただいたら意外と大丈夫そうだねとなって」(福田)とのことで、イントネーションに期待できそうだ。
千秋楽が行われる3月22日は、1925年に日本で初めてラジオ放送が始まった日。二人ともラジオ番組に携わったことがあるということで、舞台、テレビ、ラジオのどのメディアへの出演が自身に向いているか聞いたところ、福田は「自分はここが向いていると限定しない方がいい気もするし、限定した方がいい気もするし。まだ自分はここからだと思っているので、可能性は自分で絞らずに「全部向いている」と言ってやりたいですね」と意気込む。さらに浜中は「僕は人見知りやし、自信もないから、仕事をしていない時の僕は何も向いていないと思っています。でも仕事が始まると無敵になれる」と強い言葉を残す。
さらに陽一が亡くなってからラジオディレクターを続けていることから、二人が思い描く30年後を聞くと浜中は「衰えていたくない。反射神経とか動体視力は絶対衰えているじゃないですか。機械の使い方もわからなくなってくるとか。そういうのが嫌だなと思います。元気に30年後も舞台に立っていられるようにと思っています」と意欲を見せる。さらに福田は「浮けるようになっていたら、浮いていみたいなと思いますね。今はハーネスをつけて浮いているように見せるしかないけど、車に乗ったりして浮けるような何かがあれば演劇の演出も変わってくるかもしれないし。そのシステムができていたら体験してみたいです」と幽霊役ならではの視点で未来を語った。
最後に大阪公演への意気込みについて、福田が「東京で約1週間の公演を重ねて大阪に上陸します。大阪の時はさらにブラッシュアップしていい作品になっていると思いますので、東京でご覧になられた方も、大阪でも楽しんでいただける良い作品を持っていけるように頑張ります」とし、浜中が「原作はもちろん素晴らしいのですが、自分たちが思っている以上にお客さんに何かが届く舞台なんだなと思います。東京では泣いてるお客さんもいらっしゃったみたいで少し安心しました。また僕自身が、大阪での舞台に出演するのも久々なので楽しみにしています。時間があればいらしてください」と誘った。
取材・文=川井美波

アーティスト

SPICE

SPICE(スパイス)は、音楽、クラシック、舞台、アニメ・ゲーム、イベント・レジャー、映画、アートのニュースやレポート、インタビューやコラム、動画などHOTなコンテンツをお届けするエンターテイメント特化型情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着